# 室温・光でがん診断薬の感度を劇的に向上！次世代MRI実現へ徳島大学らが新技術

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- カテゴリ: テックニュース
- 公開日: 2026-07-29
- 更新日: 2026-07-29

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## MRIとNMRの進化を阻む「感度」の壁

私たちの体の中を詳しく調べたり、物質の構造を分析したりするのに欠かせない技術として、MRI（磁気共鳴イメージング）やNMR（核磁気共鳴）があります。MRIは病院で病気の診断に使われ、NMRは科学研究で分子の形や動きを解き明かすのに役立っています。

これらの技術の性能は、「核スピン」という原子核が持つ小さな磁石の向きがどれだけ揃っているか（「偏極率」といいます）に大きく依存します。しかし、通常の環境では核スピンの向きはバラバラで、信号が非常に弱いため、もっと感度を高めることが長年の課題でした。

この感度を高める技術の一つに「動的核偏極（DNP）」があります。DNPは、核スピンよりもはるかに揃いやすい電子スピンの向きを核スピンに伝え、信号を大幅に強くするものです。しかし、従来のDNPは、超低温環境（液体ヘリウムなど）や非常に高価な装置が必要となることが多く、広く普及させる上での大きな障壁となっていました。

## 室温・光でスピンの偏りをリレーする新技術

徳島大学、大阪大学、金沢大学、京都大学からなる研究チームは、この課題を解決するため、「寒剤を使わず室温で核スピンの向きを揃えることができるトリプレットDNP」という技術に注目しました。トリプレットDNPは、光を当てることで一時的に分子内に生じる電子スピンの偏りを利用するため、室温かつ低磁場で動作できる可能性があります。

しかし、トリプレットDNPを直接適用できる分子は限られており、特異ながん細胞の代謝状態を調べるための重要な診断薬分子である「ピルビン酸」のような分子に、どのようにスピンの偏りを届けるかが大きな課題でした。

そこで研究チームは、「共結晶化」という現象を利用した新しい「偏極リレー」技術を開発しました。これは、ある分子で生み出したスピンの偏りを、別の目的分子へ受け渡す方法です。具体的には、まず「ピコリンアミド」という仲介分子に、光を当てることでスピンの偏りが生じる「ペンタセン」を少量混ぜ、室温で光とマイクロ波を照射してピコリンアミドの核スピンの向きを揃えました。

次に、この偏極したピコリンアミドをピルビン酸と素早く混ぜ合わせ、「共結晶」という、複数の分子が規則正しく組み上がった結晶を形成させました。この「分子が数秒で組み上がる」という共結晶化の過程を利用することで、ピコリンアミドで生み出されたスピンの偏りが、ピルビン酸へと効率的に受け渡されることを確認したのです。

![室温スピン超偏極の生成とリレーの概念図](/wp-content/uploads/2026/07/99d16b957d1d7e0de9948719a878595c.webp)

## がん診断薬「ピルビン酸」への応用と成果

ピルビン酸は、がん細胞の代謝状態を調べる上で非常に重要な分子です。このピルビン酸を超高感度MRIで可視化できれば、がんの早期診断や治療効果の判定に大きく貢献できると期待されています。今回の研究では、共結晶化を介してピルビン酸にスピンの偏りがリレーされたことで、固体状態と溶液状態の両方で、ピルビン酸に由来するNMR信号の大幅な増大が観測されました。これは、トリプレットDNPを直接適用しにくい分子にも、室温でスピンの偏りを届けられるという原理実証です。

現在、この技術は研究段階にあり、共結晶化の途中でスピンの偏りが失われやすいという課題も明らかになっています。今後は、この偏りのロスを減らし、より効率的に偏極をリレーできる分子の組み合わせを探すことで、さらに高い偏極率の実現を目指しています。

## 未来の医療を拓く可能性

本研究で実証された偏極リレー技術の効率がさらに高まり、ピルビン酸以外の多様な分子にも応用が広がれば、未来の医療や科学研究に大きな変革をもたらすでしょう。寒剤を使わない次世代の高感度NMR分析が可能になることで、様々な物質の構造解析がより手軽に、かつ高精度に行えるようになります。また、がん代謝を詳細に可視化できるMRI診断薬分子の開発が進めば、患者さんの負担が少なく、より正確ながん診断や治療効果のモニタリングが実現するかもしれません。この技術は、高感度MRIによるがん診断の未来を大きく前進させる、知的なワクワク感に満ちた一歩と言えるでしょう。

## 研究チームと支援

この画期的な研究は、徳島大学大学院社会産業理工学研究部理工学域自然科学系物理科学分野の犬飼宗弘准教授、中村浩一教授、佐藤晴紀大学院生（研究当時）を中心に、大阪大学量子情報・量子生命研究センターの根来誠教授、香川晃徳特任准教授、金沢大学理工研究域物質化学系の栗原拓也助教、京都大学アイセムスの大竹研一特定拠点准教授らのチームによって実施されました。

本研究は、文部科学省光・量子飛躍フラッグシッププログラム（MEXT Q-LEAP）、日本学術振興会科学研究費助成事業、JST 次世代研究者挑戦的研究プログラム、内閣府戦略的イノベーション創造プログラム（SIP）「先進的量子技術基盤の社会課題への応用促進」、徳島大学産業院ものづくり未来共創機構、文部科学省世界トップレベル研究拠点プログラム（WPI「ヒューマン・メタバース疾患研究拠点（PRIMe）」の支援を受けています。

徳島大学のウェブサイトはこちらです: [https://www.tokushima-u.ac.jp/](https://www.tokushima-u.ac.jp/)

## 論文情報

本成果は、令和8年7月1日に英国王立化学会の学術誌「Chemical Science」オンライン版にAdvance Article として公開されました。

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**掲載誌**: Chemical Science

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**論文名**: Room-temperature hyperpolarization via polarization relay through rapid cocrystallization

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**著者**: 佐藤 晴紀、根来 誠、香川 晃徳、栗原 拓也、大竹 研一、中村 浩一、犬飼 宗弘

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**DOI**: [10.1039/D6SC03071H](https://doi.org/10.1039/D6SC03071H)
