# 110km離れた場所から「髪の毛の10分の1」の血管を縫う！IOWN APNが拓く未来の遠隔医療

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- カテゴリ: テックニュース
- 公開日: 2026-09-16
- 更新日: 2026-09-16

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## 遠隔手術の常識を覆す挑戦：IOWN APNで実現する精密医療

約110km離れた二つの病院間で、超精密な手術を遠隔で行うという画期的な実証実験がスタートしました。国立大学法人九州大学は、一般社団法人日本外科学会、F.MED株式会社、NTTドコモビジネス株式会社、NTTイノベーティブデバイス株式会社、株式会社セランと協力し、九州大学病院（福岡市）と九州大学病院別府病院（大分県別府市）を次世代ネットワーク「IOWN® APN」で接続。マイクロサージェリー（微細外科手術）用手術支援ロボットの遠隔操作と、手術映像に直接指示を書き込める「アノテーション技術」を使った遠隔指導の検証を進めます。

この取り組みは、IOWN® APNを活用したマイクロサージェリー用手術支援ロボットの遠隔操作実証としては世界初（2026年8月31日現在、九州大学研究グループ調べ）となります。この実証を通じて、地域による医療格差の解消につながる医療提供体制の実現を目指しています。本実証は総務省の「令和8年度 地域社会ＤＸ推進パッケージ事業」に採択されており、2026年度から2027年度までの2年間をかけて実施されます。

![眼鏡をかけた中高年のアジア人男性の顔のアップ。彼は白衣を着てネクタイを締め、穏やかな笑顔を浮かべています。専門職のような印象を与えるポートレート写真です。](/wp-content/uploads/2026/09/f887a323256da2c2615ebf0bb00012e3.webp)

## IOWN APNとは？未来の通信技術が医療を変える

IOWN® APN（オールフォトニクスネットワーク）は、NTT株式会社が提唱する次世代のネットワーク技術です。従来の電気信号ではなく、光信号をそのまま利用することで、超低遅延（通信の遅延が極めて少ないこと）と高速大容量通信を実現します。遠隔地からロボットを操作する場合、高精細な映像を遅れなく伝送し、操作者の動きをリアルタイムに反映させる通信品質が不可欠です。IOWN® APNは、まさにこのような要求に応える通信基盤として注目されています。

その特徴を活かし、遠隔医療やロボットの遠隔操作など、「離れた場所をまるで近くにあるかのように」つなぐ技術への活用が期待されています。

![専門医が九州大学病院からIOWN APNを介し、別府病院の手術支援ロボットを遠隔操作してマイクロサージェリーを行う実証の図。高速・低遅延・安定した光ネットワークで、将来の遠隔高度医療を目指すシステムを紹介している。](/wp-content/uploads/2026/09/ba1293bb80ca6675cc9542fbab4853a1.webp)

## 髪の毛の10分の1以下の血管を縫う、超精密ロボット手術

### 遠隔操作でマイクロサージェリーに挑む

本実証の最大の目玉の一つは、F.MEDが開発したマイクロサージェリー（手術用の顕微鏡を使い、直径1ミリ以下の血管・神経・リンパ管などを縫い合わせる外科手技）用の手術支援ロボットを遠隔操作することです。九州大学病院から約110km離れた別府病院に設置されたロボットを操作し、細い血管の縫合操作が可能かを検証します。

この操作には、非常に厳しい通信条件が求められます。手術中に糸や血管壁の微妙な質感を正確に判断するためには、映像を圧縮せずに送る必要があり、ロボットの操作には往復0.005秒以下という極めて短い応答速度が不可欠です。本実証では、IOWN® APNの大容量・低遅延という特徴を活かし、この遠隔操作に必要な通信品質が確保できるかを検証します。

実証は段階的に進められ、2026年度には映像伝送の基礎検証が行われ、2027年度に手術支援ロボットの遠隔操作検証が実施されます。この検証には、NTTドコモビジネスが提供する「docomo business APN Plus®」が用いられ、NTTイノベーティブデバイスは映像伝送装置「MediaRouterX®」などを提供します。NTT株式会社はIOWN® APNおよび遠隔手術支援に関する技術協力を行っています。

F.MED株式会社の取締役CTOである小栗 晋氏は、「私たちが開発しているロボットは、12-0（直径0.001～0.009ミリで、髪の毛の10分の1以下の細さ）という縫合糸を扱い、直径1ミリ以下の血管をつなぐためのものです。この精度を遠隔でも損なわずに実現できるかという次の課題に挑みます。IOWNという通信基盤を得たことで、患者さんのその後の人生を大きく変える可能性が現実的な射程に入りました」とコメントしています。

![先進的なロボットアームが医療処置を行っている様子。複数のディスプレイで状況を監視しながら、精密な作業が進められており、最新の医療技術の活用を示唆しています。](/wp-content/uploads/2026/09/b8dd377c17cc7cc47314d884cda5b292.webp)

### 縫合糸の細さ「12-0」とは？

「12-0（じゅうにゼロ）の縫合糸」とは、手術用の糸の太さを表す規格で、直径0.001～0.009ミリという、現在使われている中で最も細い部類の糸を指します。ちなみに髪の毛の太さは約0.15ミリなので、12-0の縫合糸は髪の毛の10分の1以下の細さということになります。この極細の糸で直径1mm以下の血管を縫い合わせるのが、マイクロサージェリーの精度です。

![マイクロサージェリーの精度を示す図で、髪の毛、縫合糸の針、縫合糸の直径を比較しています。直径1mm以下の血管を極細の縫合糸で縫い合わせる精度を遠隔で実現できるか検証する内容です。](/wp-content/uploads/2026/09/7d1620ccf9dd9728391d9db9f73d66a8.webp)

## 手術映像に直接指示！アノテーションによる遠隔指導

本実証では、遠隔手術支援ロボットの操作だけでなく、「アノテーション」（手術映像の上に、指導する医師が線やマークを描き込むこと）による遠隔指導も検証されます。九州大学が開発し特許を取得したこの技術では、指導する医師が手術映像上に描いた線やマークが、臓器の動きや画面の拡大に合わせて自動的に追従します。

これにより、これまでのオンライン指導では難しかった「どこを、どのように」といった具体的な指示が可能になります。株式会社セランは、この技術を手術室に置いたままにできる装置として実装し、映像送受信、双方向音声、手術中の電源操作を「ONEボタン電源装置」として一体化。医療スタッフに負担をかけずに短時間で利用を開始できるようにします。

このアノテーションによる遠隔指導の仕組みは、専用の光回線を必要とせず、インターネット回線があれば全国どの手術室でも導入できる点が大きな特徴です。将来的には接続をより簡単にする機能も開発される予定です。この技術は、専門医の知見を広く共有し、外科医の教育・育成を支援することで、医療水準の向上に貢献すると期待されています。

## 地域医療の未来を拓く連携体制

本実証は、各機関がそれぞれの専門性を活かして連携することで成り立っています。九州大学は代表機関として実証全体を統括し、臨床評価や指導医の提供、アノテーション技術の提供を行います。日本外科学会はガイドラインとの整合性の確保や責任の整理、保険適用に向けた協議を担います。F.MEDは手術支援ロボットの開発・供給と薬事承認申請を進めます。

NTTドコモビジネスはIOWN® APN回線の敷設や通信基盤の構築、通信品質検証を担当し、NTTイノベーティブデバイスは映像伝送装置「MediaRouterX®」等の提供と技術支援を行います。セランはアノテーションシステムの構築・運用設計、「ONEボタン電源装置」の開発、全国展開の支援を行います。

![九州大学を代表機関とし、日本外科学会、F.MED、NTTドコモなどが連携する実証プロジェクトの実施体制図。医療ロボット開発、通信インフラ、アノテーション技術を活用し、九州大学病院を拠点に実証を行う。](/wp-content/uploads/2026/09/0b154696db63877c78ae355608bf8226.webp)

## 専門家が語る、未来への期待

九州大学病院 先端医工学診療部 教授の沖 英次氏は、「遠隔手術は通信の質がすべてです。今回、九州大学で開発されたマイクロサージェリーのロボットとIOWN® APNを使い遠隔手術を行うシミュレーションを行います。世界のロボット開発に一石を投じる試みです」と、その意義を強調しています。

一般社団法人日本外科学会 理事長の武冨 紹信氏は、「外科医の減少と高齢化は、外科医療の持続性に関わる構造的な課題です。とりわけマイクロサージェリーのような高難度手技は、熟練医による直接指導なしには継承が困難であり、遠隔手術のみならず、実践的な教育手法の確立は学会としても重要なテーマと位置づけています」と、本実証が外科医療の未来に与える影響に期待を寄せています。

NTTドコモビジネス株式会社 執行役員 九州支社長の吉田優子氏は、「本実証は福岡と別府の医療機関を結び、遠隔手術を想定した国内でも先駆的な取り組みであり、九州から医療の未来を切り拓くことに、地域に根ざす通信事業者として大きな意義を感じています。今後は実証にとどまらずIOWN®を活用した地域医療を支えるICTプラットフォーム提供を推進し、誰もが質の高い医療を受けられる社会の実現に貢献してまいります」と述べています。

NTTイノベーティブデバイス株式会社 取締役 第四事業部長の山田 智広氏は、「当社のMediaRouterX®は、光回線を活用した高品質・低遅延な映像伝送を支える通信装置です。今回の実証を機に、遠隔医療の社会実装に向けた技術的有効性を示すとともに、将来的にはMediaRouterX®をはじめとする当社の映像伝送ソリューションが、遠隔医療のみならず幅広い分野で活用され、様々な社会課題解決に貢献できることを期待しています」と、技術的な展望を語っています。

株式会社セラン 代表取締役の掛田 憲吾氏は、「IOWN®による遠隔ロボット手術は、医療の到達点を引き上げる取り組みです。私たちが担うのは、インターネット回線さえあれば、どの手術室でも専門医の指導を受けられる仕組みを、導入しやすい価格で届けることです。F.MEDのロボットと組み合わせることで、遠隔手術の未来は一部の先進施設のものではなく、地域医療の日常になると考えています」と、より広範な医療現場への普及を見据えています。

## 研究段階から実用化へ、未来の医療が動き出す

本実証はまだ研究段階であり、2026年度から2027年度にかけて様々な検証が行われる予定です。しかし、この取り組みが成功すれば、遠隔地からでも高度な手術を提供できるようになり、地域ごとの医療格差を解消する大きな一歩となるでしょう。また、熟練した外科医の技術と知見を遠隔で共有できるようになることで、若手外科医の教育・育成にも大きく貢献し、日本の医療全体の質の向上につながることが期待されます。
