
管理職614人に聞いた「部下のAI活用」の現在地
部下は職場でAIをどの程度使っているのか。組織開発・人材育成支援を手がけるALL DIFFERENT株式会社と、同社の研究機関であるラーニングイノベーション総合研究所は、課長クラス以上の管理職614人を対象に「管理職意識調査」を実施しました。調査期間は2026年8月19日~9月2日で、調査会社によるインターネット調査です。ALL DIFFERENTは、累計20,000社470万人以上の組織開発・人材育成を支援してきた企業です。
部下が日常業務でAIをどの程度活用しているかを尋ねた結果は、次のとおりです。
- 頻繁に使用している:13.1%
- 時々使用している:43.0%
- ほとんど使用していない:40.3%
- わからない:3.6%
「頻繁」と「時々」を合わせると56.1%となり、半数以上の職場で部下がAIを使っていることになります。一方で、「ほとんど使用していない」も約4割にのぼり、職場によって活用状況に差があることが明らかになりました。従業員数による企業規模別に比べると、規模が大きい企業ほど部下のAI活用が進んでいる傾向も見られました。

AIをよく使う部下を持つ管理職ほど「目標達成」「成長」を実感
部下のAI活用頻度別に、部門の目標達成度も比較されています。「毎年、部門目標や部門計画を達成している」と答えた割合は、部下がAIを「頻繁に使用している」とした管理職で62.5%、「時々使用している」で41.4%でした。これに対し、「ほとんど使用していない」では34.7%、「(使用しているのか)わからない」では5.0%にとどまり、活用頻度が高いほど達成していると答える割合が高い傾向が示されました。
部下の成長についても同様の傾向が出ています。部下がAIを「頻繁に使用している」と答えた管理職の84.7%が、部下は「非常に成長している」「成長している」と回答しました。活用頻度が低くなるほどこの割合は下がり、部下のAI活用頻度と部下への成長実感には相関関係があったとしています。

課題のトップは「スキルの個人差」、使うほど見えてくる悩みも
部下のAI活用で管理職が感じている課題は、「AI活用スキルに個人差が大きい」が27.9%で最多でした。2番目は「内容の妥当性・信頼性の確認が不十分である」の22.7%です。使いこなす力の差に加え、AIが出力した情報を適切に検証する力にも課題があることがうかがえます。一方で「特に課題は感じていない」も25.4%と約4人に1人を占め、管理職の課題意識には幅がありました。
活用が進む職場ほど課題意識が高まる
課題を部下の活用頻度別に見ると、部下がAIを「頻繁に使用している」と答えた管理職ほど、「内容の妥当性・信頼性の確認が不十分である」「AI活用スキルに個人差が大きい」「AIに依存し、思考力が低下している」を挙げる割合が高くなりました。反対に、部下がAIを「ほとんど使用していない」「わからない」とした管理職では、「特に課題は感じていない」と答える割合が高い結果でした。同社はこれについて、AIを使う職場ほど問題が多いという意味ではなく、実務での利用が増えたことで、成果物の質や社員間のスキル差など、導入前には見えにくかった課題が表面化したものと考えられるとしています。

求められるのは「AI活用の質」を高める人材育成
ALL DIFFERENTは今後の企業の取り組みとして、AIの利用を促すだけでなく「AI活用の質」を高めることが求められると指摘しています。操作方法やプロンプト作成のポイントを学ぶ機会に加えて、AIの回答をうのみにせず、目的や根拠に照らして妥当性を検証し、最終的に適切な判断ができる社員を育てる必要があるとの考えです。同社は、業務の目的を的確に把握するスキル、情報を適切に収集・整理するスキル、さまざまな要素を考慮して決断を下す力など、AI時代にこそ求められる根幹的なスキルを「バイタルスキル🄬」と呼んでいます。こうしたスキルを階層や習熟度に応じて体系的に育てなければ、業務処理が速くなっても十分に検証されていない成果物が増え、管理職の確認・修正の負担が高まり、かえって組織全体の生産性を損なうおそれがあるとしています。
管理職に対しては、部下のAI活用状況を把握し、成果物の質を高めるためのフィードバックを行う役割が求められるとしています。生成AIの進化が加速するなかで管理職自身も新しいマネジメントを学び続け、どの業務でAIを使い、どの段階で人が確認・判断するのかを明確にすることが重要だと述べています。そのうえで企業には、管理職が活用状況に応じた指導・評価・業務設計を学べる環境を整え、組織として安全かつ効果的なAI活用を支えることが求められるとまとめています。



