建設現場の未来を変える「無人化」への挑戦
建設業界では、技能労働者の高齢化や人手不足が大きな課題となっています。特に、危険が伴うトンネル工事の現場では、人が直接作業しなくても済む「無人化」技術への期待が非常に高まっています。
このような状況の中、西松建設株式会社は、トンネル施工に使用される重機の遠隔操作や自動運転を実現するプロジェクト「Tunnel RemOS(トンネル・リモス)」を推進しています。今回、このプロジェクトを技術面から加速させるため、アジアクエスト株式会社がAI人材の育成を支援しました。

なぜ「内製化」が重要なのか
従来、こうした高度なAI開発は外部のベンダー(システム開発会社)に依存することが一般的でした。しかし、西松建設は自社のエンジニアがAIの仕組みを深く理解し、プロジェクトを主導する「内製化」を選択しました。現場の事情を一番よく知っている社員自身がAIを開発することで、より建設現場に即した柔軟で実用的なシステム構築が可能になります。

AIに「経験」を教える強化学習とは
今回、育成プログラムで中心となったのは「強化学習」という技術です。これは、AIが試行錯誤を繰り返しながら、より良い結果(報酬)を得るための行動を自ら学習していく手法です。例えるなら、子供が自転車の乗り方を覚えるように、AIが何度もシミュレーションを行うことで、最適な運転操作を身につけていく仕組みです。

今回の講習では、以下の3ステップで段階的にスキルを習得しました。
- 強化学習の基礎知識の習得
- 操作体験を通じた実践的な理解
- 実際のモデル開発

実機とシミュレーターを組み合わせたハイブリッド学習
開発環境には、特定のクラウドサービスに依存しない工夫が凝らされました。これにより、将来的に実機で運用する際も、環境の変化に左右されにくい持続可能なスキルが身につきます。
プログラムの最後には、安全性評価指標(コース逸脱率や衝突回避数など)を用いたモデルの改善が行われました。受講者は、理論だけでなく、照明や摩擦、バッテリーといった現実の環境で発生する「ノイズ」にも対応できる実践的な開発手法を学びました。

今後の展望:建設現場の生産性と安全性の向上へ
今回の取り組みにより、西松建設の技術研究所メンバーは強化学習のノウハウを習得しました。今後は、多視点カメラやLiDAR(ライダー:レーザー光を照射して距離を測るセンサー)を搭載した、より高度な自動運転モデルの内製開発を目指しています。
将来的には、これらの技術が実際のトンネル工事現場で活用され、生産性の向上とさらなる安全性確保が実現されることが期待されます。

今回の人材育成プログラムに関する詳細は、以下のリンクから確認できます。



