AI、ソフトウェア、ハードウェアを組み合わせた「クロスソリューション」を手がける株式会社ロビット(本社:東京都板橋区、代表取締役:橋本 優希)は、同社のAI外観検査装置「TESRAY Gシリーズ」がユニオン商事株式会社(本社:愛知県名古屋市、代表取締役社長:伊藤 彰彦)のアーモンド選別ラインに導入されたと発表しました。ユニオン商事は、アーモンドやナッツ等の輸入・加工・卸売を行う企業です。今回の導入では、これまで熟練パート社員の目視に頼ってきた選別工程を自動化します。これにより、検査品質の標準化と、将来の労働力不足への対応を同時に実現するとしています。

従業員の約半数が担う選別工程に抱えていた課題
ユニオン商事では、全従業員の約半数がアーモンドの選別工程に携わっています。高い熟練度が求められる作業である一方、「人手」「コスト」「品質管理」の面で、次のような課題を抱えていました。
- ベテラン社員の高齢化と技能継承の難しさ:選別の精度は熟練度によって大きく変わるため、新しい作業員がベテランと同じ水準の精度を出すことは困難です。さらに、現場の品質を支えてきた主力パート社員の高齢化が進み、10年後には半数以上が定年退職を迎える見通しでした。そのため、属人化した工程の自動化と標準化が急務となっていました。
- 人に依存することによる品質のばらつき:目視選別は作業員の体調やコンディションによって精度に差が出やすく、人員を十分に確保しても品質を一定に保ち続けることが難しい構造でした。
- コスト増と価格転嫁の板挟み:人手と時間がかかる工程のため、本来は製品価格への転嫁が必要な状況でした。しかし、激しい価格競争が続く市場ではスムーズな価格改定が難しく、年々上昇する最低賃金などのコスト負担に対して抜本的な対策を迫られていました。
もう一つの課題が、「同系色」と「裏面付着」による選別精度の限界です。アーモンドの可食部である仁と殻は同じような色をしているため、目視選別では殻つきの粒をまれに見落とすことがありました。従来の色彩選別機でも、同じ色の異物を見分けることは原理的に難しく、十分には対応できていませんでした。加えて、コンベア上では表面に異状がなくても裏面に殻が刺さっている場合があり、目視でも機械でも見落としの大きな要因となっていました。

落下中の一瞬でAIが判定し、異常品だけをはじき出す
「TESRAY Gシリーズ」は、食品・農作物原料向けに開発されたAI外観検査ソリューションです。検査対象が空中を落下するわずかな間にAIが高速で判定を行い、着地する前に異常品だけをエア噴射などでピンポイントに排出・選別する仕組みです。
色の違いによる判定に加え、形のいびつさといった造形的な不良や、対象物と同じような色の殻・異物も、1台の装置で高精度に検出できます。過去の導入事例では、色彩選別機では検出が難しかった「殻つき」「殻ささり」「ダブル」「樹脂片」「虫ズル」といった不良を高精度に判別できることが確認されているといいます。
検査工程に必要なAI・撮像・ロボティクス等の基幹技術は、すべてロビットが自社で内製化しています。そのため、現場の処理能力や選別環境に合わせて柔軟に調整・カスタマイズできる点も特長としています。

「FOOMA JAPAN」での出会いが導入のきっかけに
ユニオン商事の生産部 執行役員 生産部長である松原誠志氏によると、アーモンドの選別は長年、ベテランパート社員の目に支えられてきた基幹工程です。しかし高齢化が進み、10年後には主力メンバーの半数が定年を迎える見通しとなる中で、選別精度を維持しながら省人化を進めることが大きな課題になっていました。特に、仁と同系色の「殻つき・殻ささり」は従来の色彩選別機でも見落としやすく、人件費の高騰も頭の痛い問題だったといいます。
そうした中、同社が「FOOMA JAPAN」で出会ったのがTESRAY Gシリーズでした。ロビットの担当者が「当社の技術なら確実に自動化できる」と答えたことが印象的だったといいます。その後、自社ワークで検証を重ねる中で、松原氏は「圧倒的な処理能力と精度」を実感したと語っています。同系色の異物まで質感で見極める技術力と、既存ラインに組み込めるコンパクトさが決め手となり、導入を決めました。今後も選別の均質化と省人化を両立させていく方針で、ロビットにはアーモンド選別にとどまらず、他商材や他拠点への展開に向けたパートナーとしての伴走を期待しているとしています。

神事を経て本格稼働、他品目・他拠点への展開も検討へ
今回の大型設備の導入にあたり、ユニオン商事は設備の安全稼働と今後の安定生産、同社のさらなる繁栄を願う神事を執り行いました。当日は奉献酒を供えて祈願した後、伊藤社長が稼働開始に向けた挨拶を行いました。続いて社長自らが生産開始ボタンを押し、設備は正式に本格稼働を始めました。プロジェクトを担当したロビットの担当者は、設備を納めて終わりではなく、長きにわたって現場の安定生産に貢献し続けることこそが自社の使命だと改めて感じたと振り返っています。
ロビットは今後も、食品・農作物業界のDX推進に取り組む方針です。「熟練者不足」「検査品質の標準化」「食の安全に対する要求水準の高度化」といった多くの生産現場に共通する構造的な課題に対し、実運用に耐える高精度なAIソリューションの提供を加速させるとしています。特に、同系色の異物・不良検出や、多品種・季節変動への対応といった領域では、AIとハードウェアを一体で設計・内製化できる技術力を強みとして打ち出します。選別工程の自動化だけでなく、検査データの収集・活用による歩留まり改善や、持続可能な生産体制の構築まで包括的に支援していく考えです。ユニオン商事とは、今回のアーモンド選別ラインで得た知見をもとに、他品目や他拠点への展開についても、今後の可能性として共に検討を進めていくとしています。
出典:株式会社ロビット



