横風・吊り荷・地面効果をどう制御で抑えるか スペースデータがドローンの物理シミュレーションデモ3種を公開

横風・吊り荷・地面効果をどう制御で抑えるか スペースデータがドローンの物理シミュレーションデモ3種を公開

株式会社スペースデータ(本社:東京都港区、代表取締役社長:佐藤航陽)は、ドローンを題材にした物理シミュレーションデモ3種を公開しました。ロボットの現場実装基盤「RobotBrain(ロボットブレイン)」で想定している導入前検証の考え方を示すものです。対象は「横風を受けたときの位置のずれ」「吊り下げた荷物の揺れ」「床に近づいたときの浮き方の変化」の3つです。いずれも制御の仕組みや指令の出し方を変えた2つの場合を、同じ条件のもとで比べられます。各デモは専用サイト「RobotBrain Concept & Catalog」内の「物理実験」で紹介されています。

横風・吊り荷・地面効果をどう制御で抑えるか スペースデータがドローンの物理シミュレーションデモ3種を公開

ドローンの飛び方は機体の性能だけでは決まらない

人手不足を背景に、設備の点検や定点観測、物資の搬送といった用途でドローンの活用が広がっています。ただし、ドローンの飛び方は機体の性能だけで決まるわけではありません。横風が続けば機体は流されます。荷物を吊り下げて運ぶと、機体が止まった後も荷物は揺れ続けます。床の近くでは、同じ推力の指令でも機体が浮き上がりやすくなります。そのため、周囲の条件と制御の組み合わせを確認しないまま、現場での飛行が安定するかどうかを判断することは困難です。

スペースデータはこうした認識から、ロボットの動作が成功するか失敗するかを分ける条件を、導入前に関係者が同じ画面で確かめられる物理シミュレーションデモを開発しています。今回の3種に共通するテーマは、機体や環境の条件をそろえたうえで、制御の仕組みや指令の出し方を変えた2つの場合(AとB)を比較し、位置や高度のずれ、荷物の揺れの違いを物理計算で示すことです。

横風・吊り荷・地面効果をどう制御で抑えるか スペースデータがドローンの物理シミュレーションデモ3種を公開

公開された3種のデモの中身

GustLab(横風の中での位置保持)は、設備の点検や定点観測を想定し、空中で位置を保つドローンが持続する横風を受ける場面を比べるデモです。機体と風の条件は共通のまま、位置のずれと速度に応じて機体を傾けて押し返すPD制御(A)と、残った位置のずれを積み重ねて押し返す働き(積分項)を加えたPID制御(B)を比較します。持続する横風の中では、PD制御だけでは位置のずれが残りやすく、積分項がそのずれを打ち消す方向に働きます。画面には位置のずれの時間変化、機体の傾き、推力・重力・横風の力の関係が示され、風が止んだ後に元の位置へ戻る様子も比べられます。横風による力の大きさ、機体の質量、推力の指令を変えたときの推力の追従の速さは、それぞれ個別に変更できます。

SlingLab(吊り荷の揺れの抑制)は、物資の搬送や吊り下げたセンサーでの計測を想定したデモです。ドローンが荷物を吊り下げて移動し、停止する場面で、停止後に残る荷物の揺れを比べます。索の長さと移動距離は共通にしたうえで、通常の移動指令(A)と「入力整形」を使う場合(B)を比較します。入力整形とは、移動の指令を半分ずつに分け、一方をモデルで想定した荷物の揺れの周期の半分だけ遅らせて重ねることで、残る揺れを抑える方法です。表示されるのは荷物の振れ角、機体の横方向の加速度、停止後に残る揺れの大きさです。Bでは揺れが抑えられる一方、到着までの時間が延びる点もあわせて比べられます。索の長さ、移動距離、元の移動にかける時間は個別に変えられます。

GroundLab(床付近での高度保持)は、床付近の点検や着陸前の低空での高度保持を想定し、ドローンが降下して床の近くで高さを保ち、再び上昇する場面を比べるデモです。床に近づくほど、同じ推力の指令でも機体を持ち上げる力が増える「地面効果」を可視化しています。高度を保つ制御は共通のまま、地面効果を見込まない場合(A)と、床からの高さに応じて推力の指令を下げる補正を加えた場合(B)を比較し、低空での高度のずれ、実際にかかる推力の合計、推力の増加率を示します。ローターの半径、推力の指令を変えたときの推力の追従の速さ、地面効果の強さを表す係数は個別に変更可能です。

横風・吊り荷・地面効果をどう制御で抑えるか スペースデータがドローンの物理シミュレーションデモ3種を公開

RobotBrainと今後の展開

RobotBrainは、現場で動くロボットの導入・運用・学習を支える基盤です。仮想空間で検証した機種・台数・配置・制御・安全条件を実機へ渡す「Sim to Real」と、現場で得られた走行・作業・異常などの実測データを仮想空間へ戻して空間と構成を更新する「Real to Sim」の両方向の仕組みを備えています。

スペースデータは2026年10月1日にRobotBrainの提供を開始して以降、関連するデモを順次公開してきました。10月8日には台数や配置、死角を比べられる検証デモ7種、10月14日にはロボットが失敗する条件を比べられる物理シミュレーションデモ9種、10月15日にはドローン・人型・四足・アームの物理シミュレーションデモ5種、10月20日には布や液体の揺れ、接触の力を比べられる物理シミュレーションデモ6種を発表しています。

同社は今後も、人型ロボットやドローンなど機種を問わず、現場でロボットの成否を分ける条件を物理シミュレーションで確かめる題材を拡充し、RobotBrainの導入前検証に生かしていく方針です。個別の現場の機体や環境の条件に合わせた検証については、問い合わせフォームから相談を受け付けています。

なお、スペースデータは「宇宙の民主化」を使命に掲げ、宇宙をはじめとするあらゆる空間の知能化(MAKE SPACE INTELLIGENT)に取り組むテクノロジースタートアップです。空間を情報化し、AIに物理を学ばせ、機械が自律的に動けるようにする「空間知能」の技術を活用し、宇宙開発から都市開発、防災、安全保障まで、次の未来を支えるデジタルプラットフォームの構築を国内外で進めています。

出典:株式会社スペースデータ