比較サイトに載るAI開発会社63社、公式サイトでPoC・開発・月額の価格を確認できたのは2社 価格を公表する26社のうちPoCの価格を示した9社の下限は8万〜300万円とゴムマリが調査

比較サイトに載るAI開発会社63社、公式サイトでPoC・開発・月額の価格を確認できたのは2社 価格を公表する26社のうちPoCの価格を示した9社の下限は8万〜300万円とゴムマリが調査

ゴムマリ株式会社(東京都、代表取締役: 村山悠太)は、AI開発会社がPoC(実証・試作)、開発、月額の開発支援などの価格をどの程度公表しているかを調査しました。AI開発会社の比較・紹介サイト3つに載る会社のうち、データ収集や研修を主に請け負う会社などを除き、公式サイトを読めた63社を調べたところ、トップページを含む1社3ページまでにこれらの価格を載せていたのは2社(3.2%)でした。あわせて、2025年10月18日から1年間に発表配信サービスで価格つきの発表を出した会社などを加え、価格を公表していた26社について区分ごとに価格の下限を並べると、PoCは8万円から300万円(9社)という結果です。なお、いずれも各社が示す価格の下限であり、相場や実際の取引額ではありません。

価格を公表するAI開発会社の、区分ごとの価格の下限: PoC 9社・8万〜300万円・中央値80万円、開発 16社・10万〜300万円・中央値50万円、月額 13社・月5万〜80万円・中央値20万円
価格を公表するAI開発会社の、区分ごとの価格の下限: PoC 9社・8万〜300万円・中央値80万円、開発 16社・10万〜300万円・中央値50万円、月額 13社・月5万〜80万円・中央値20万円

比較サイト掲載会社から絞り込んだ63社、PoC・開発・月額の価格を載せていたのは2社(3.2%)

対象は、AI開発会社の比較・紹介サイト3つ(AI総合研究所、AI Market、BOXIL)に掲載されている会社です。このうち、データ収集・GPUの提供・研修を主に請け負う会社と一般社団法人を除いた64社の公式サイトを、2026年10月18日に、トップページを含めて1社あたり3ページまで確認しました。読むことができた63社のうち、AIのPoC・開発・月額の開発支援などの価格を載せていたのは2社(3.2%)でした。2社のうち1社は比較サイトを運営する会社で、その価格は見積もりシミュレーターの初期表示の金額です。

残りの会社の内訳は、研修やツールの利用料など別の価格だけを載せていた会社が3社、自社の価格の記載がなかった会社が58社です。63社には大手のSIer・ITベンダー7社も含まれます。除外した会社も含めた掲載会社(一般社団法人を除く76社のうち読めた75社)で見ても、PoC・開発・月額の開発支援などの価格を載せていたのは2社(2.7%)でした。ただし、4ページ目以降のページや画像・PDFの中、ページを開いた後に読み込まれる料金表にだけ価格がある会社は「価格なし」として数えています。そのため、同社は価格を載せている割合が実際より低めに出ている可能性があるとしています。

価格を公表する26社、区分ごとの下限は

次に、比較・紹介サイトの掲載会社に、発表配信サービスで価格つきの発表を出した会社(25社)と、AI開発の料金に関する語のWeb検索で上位に出た会社(15社)を加えました。このうち、公式サイトか発表のなかでAIのPoC・開発・月額の開発支援などの価格を載せていた26社について、区分ごとに各社が示す価格の下限を並べています。26社のうち19社は価格つきの発表を出した会社、7社はWeb検索の上位に出た会社、2社は比較・紹介サイトの掲載会社です(重なりがあります)。価格を公表している会社を選んで集めているため、AI開発会社全体を代表するものではありません。

  • PoC(実証・試作): 9社、8万円から300万円、中央値80万円
  • 開発(構築・導入): 16社、10万円から300万円、中央値50万円
  • 月額(開発の伴走・顧問・AI部門の代行と、月払いのPoC・開発の1か月あたりの料金): 13社、月5万円から80万円、中央値20万円

区分ごとに価格を載せている会社の顔ぶれが異なるため、区分どうしで中央値を比べることはできません。金額は各社の表記のままで、税別・税込はそろえていません。下限として使った38件のうち26件には、「80万円〜」「月額10万円から」のような下限を示す表記の文がありました。それ以外は、金額の幅の下の値か、決まった1つの金額です。先着の社数や期間を限った特別価格も含まれます。

同じ「PoC」でも、受け取るものと期間は会社ごとに違う

試作中心か、検証・評価までか

PoCの下限を出していた9社について、価格と同じ文や前後の文に書かれていた受け取るものと期間を整理しています。受け取るものとしてプロトタイプ・試作を挙げていたのは5社で、下限は8万円から100万円でした(うち1社は先着の特別価格)。評価結果のまとめや、検証・チューニングまでの作業を挙げていたのは2社で、下限は200万円と300万円です。残る2社は受け取るものを書いていませんでした。期間を書いていた6社では、最短3日から1か月以上まで幅がありました。

PoCの前後の段階を、PoCとは別の価格で示す会社もありました。1社はPoCの前の実現性の評価と、後の本番レベルのシステムを作る段階を、もう1社は要件整理と本格展開を、それぞれPoCとは別の価格で示していました。PoCの後の本番の開発を別に見積もると書いていた会社も2社ありました。

ゴムマリが挙げる「比べる前にそろえるべき点」

プロトタイプ・試作を挙げた会社の下限(8万〜100万円)と、検証や評価の作業まで挙げた会社の下限(200万円と300万円)は重なっていませんでした。同社は、PoCの下限の幅の大きな部分は「どこまで受け取るか」の違いから来ていると見ています。ただし、プロトタイプ・試作の中でも8万〜100万円の開きがあり、9社のデータでは期間や会社の規模、作る対象の違いと切り分けられないとしています。そのうえで同社は、比べるには少なくとも次の点をそろえる必要があると考えています。いずれも、同社が提案や案件で範囲と進め方を決める前に確かめている点です。

  • 確かめる問いと合格の数字(どの業務の、どの判定が、どの数字に届けば本番に進むのかを着手前に決めているか)
  • 受け取るものと終わり方(動くプロトタイプだけか、検証・評価の作業と結果までか。合格に届かなかったときに何が納品されるか)
  • 評価に使う正解の件数と中身(正解つきの事例を何件、誰が作るか)
  • 正解を持つ人の時間(専門家や現場の担当者が、何に、どれだけ関わる前提か)
  • 受け取れるデータと権限(どのデータが、どの順番で、加工前の形で届くか)
  • 例外の範囲(例外をどこまで今回に入れ、どこを後に回すか)
  • 期間と前後の段(何週間かかるか。PoCの前の整理と後の本番化が別の価格になっているか)
  • 支払いと契約の形(作業時間に払うのか、決めた成果に払うのか。一括か月額か、先着や期間を限った特別価格か)

同社が法務領域のSaaS企業で行ったPoCでは、評価用の事例を版で管理し、正解が変わるたびに全件を測り直して、本番に進むかを数字で判断しました。約100件の評価用の事例に判断が割れるものを厚く入れたところ、弁護士の確認で正解そのものが見直され、精度の数字も動いたといいます。期間は2〜5週で、価格は着手前に確定し、Goの判定から本実装へ進みました。また、調べた9社のうち4社はPoCの前後の段階を別の価格で示すか、本番の開発を別に見積もると書いており、PoCの金額だけでは本番で使うまでの費用は分からないと同社は指摘しています。63社のうち61社は公式サイトの3ページでPoC・開発・月額の価格を確認できなかったため、多くの会社では金額とあわせてこれらの点も問い合わせて確かめることになる、としています。

代表取締役の村山悠太氏は、AIの開発を外部に頼む際、いくらかかるのかは検討の最初に知りたいことの一つだとコメント。今回の調査で、比較・紹介サイトに載る63社のうち公式サイトにPoC・開発・月額の価格を載せていたのは2社だったこと、同じPoCでも会社によって受け取るものと期間が違うことを確かめたとし、何を作り、何を確かめ、確かめた後にどう進むかを先に決め、金額と並べて示すことを続けていくと述べています。

出典:ゴムマリ