NTTデータ先端技術、「Hinemos」でAIエージェントによる障害対応の自律化を実証実験 特定のユースケースで復旧時間を約80%短縮

NTTデータ先端技術、「Hinemos」でAIエージェントによる障害対応の自律化を実証実験 特定のユースケースで復旧時間を約80%短縮

株式会社NTTデータ先端技術は、統合運用管理ソフトウェア「Hinemos」で、AIエージェント技術を使った新しい実証実験を始めました。期間は2026年10月1日から同年12月31日までの予定です。AIエージェントが障害の原因分析から復旧、結果報告までを自律的に進める仕組みが実現できるかどうかを、中心テーマとして検証します。この障害対応の自律化については、すでに特定のユースケースで、復旧時間を従来の人手作業と比べて約80%短縮する成果を確認しています。

「AIドリブン運用」に向けて3つの業務で検証

同社は、AIを活用してシステムを自律的に運用する「AIドリブン運用」をHinemosで実現することを目指しています。今回の実証実験では、次の3つの運用業務を対象に、AIエージェントを適用できるかどうか、その適用可能性を検証します。

  • 障害対応の自律化
  • ジョブ異常発生時の影響・原因調査
  • アラートメッセージの抑制・集約ルール作成

背景には、クラウド化やサービス連携の広がりによってITシステムの複雑化が進む一方で、障害対応などの運用業務がいまも運用者の経験やスキルに頼っているという現状があります。その結果、対応品質のばらつきや復旧時間の長期化が課題になっています。Hinemosは「収集・蓄積」「見える化・分析」「自動化」といった幅広い機能を持つ統合運用管理ソフトウェアです。同社はこれまでも、Hinemosと生成AIサービスとの連携や過去ナレッジの活用など、AIドリブン運用に向けた取り組みを進めてきました。今回の実験は、その流れをさらに発展させたものです。

障害の検知から結果報告までをAIエージェントが担う

中心となる障害対応の自律化では、Hinemosが障害を検知したことをきっかけに、AIエージェントがHinemosから必要な運用情報を集めて原因を分析します。そのうえで対処方法を選んで実行し、復旧を確認し、結果を報告するところまでを担います。対処方法はルールベースで選ぶことで説明可能性を確保します。影響の大きい対処については実行前に人が承認するプロセスを設け、重要な判断に人が関わる「Human-in-the-loop」(AIが処理を実行する際に人が確認や承認を行う仕組み)を取り入れています。これにより、運用者の経験に依存していた作業品質を安定させ、復旧時間を短縮できると同社は見込んでいます。

検証は現在、社内開発環境での障害復旧を対象に進めています。特定のユースケースでは、有識者に頼って人手で行っていた従来の復旧作業と比べ、復旧時間を83%短縮する効果を実現しています。今後は対象とする障害パターンを広げながら検証を続け、実運用に適用できるかどうかを評価する方針です。

ジョブ異常の調査とアラートのルール作成も対象に

ジョブ異常発生時の影響・原因調査では、AIエージェントがジョブやリポジトリの依存関係をもとに影響範囲を特定します。あわせて、異常が起きた時間帯の性能情報や監視情報を分析して原因を調べる仕組みを検証し、原因調査や影響調査に要する時間の短縮への寄与を確認します。大規模で複雑なジョブを運用するシステムで、特に効果が期待されています。

アラートメッセージの抑制・集約ルール作成で対象となるのは「Hinemosメッセージフィルタ」です。これは、ルールエンジンを使って管理対象システムから出る大量のメッセージを抑制・集約し、重要なイベントを効率よく抽出するAIOps機能です。このルール開発について、過去イベントの分析や運用者が入力した要件をもとに、AIエージェントがルールの提案から作成、適用までを行う仕組みを検証します。ルール作成を効率化するとともに、運用者が重要なメッセージへの対応に注力できると見込んでいます。

2027年度上期をめどにサービス化を推進

同社は実証実験の結果をもとに、2027年度上期をめどにHinemosでのサービス化を推進します。今後は、システム運用の高度化を目指すユーザ企業とのトライアルにも取り組み、実運用での有効性や課題を検証します。ほかの運用作業へのAIエージェントの適用も広げる計画です。将来的には、専門領域を扱う複数のAIエージェントが連携して運用業務を担い、システム全体の自律運用を実現することを目指しています。

なお、2026年11月26日(木)に東京・品川で現地開催される「Hinemos World 2026」では、この実証実験で現時点までに得られた中間成果の報告とあわせて、AIエージェントを活用した運用のデモンストレーションが予定されています。イベントでは、Hinemosの最新動向や機能、事例、製品戦略が講演・展示・体験を通じて紹介されます。

出典:NTTデータ先端技術