地図に範囲を描くだけで訪日客の動きを定点観測 ナビタイム『インバウンドプロファイラー・フォーカス』提供開始

地図に範囲を描くだけで訪日客の動きを定点観測 ナビタイム『インバウンドプロファイラー・フォーカス』提供開始

株式会社ナビタイムジャパン(代表取締役社長:大西 啓介、本社:東京都港区)は、2026年10月29日(木)から、法人向けWeb分析サービス『インバウンドプロファイラー・フォーカス』の提供を始めました。地図上で登録した任意の範囲(地点)を対象に、訪日外国人観光客の滞在状況や周遊動向を分析できるサービスです。店舗や施設、観光地など分析したい地点ごとに、訪日外国人の来訪者数や国・地域の構成、時間帯や季節ごとの変化を継続して把握できます。

(図1)『インバウンドプロファイラー・フォーカス』地点別分析の地点情報(表参道)
(図1)『インバウンドプロファイラー・フォーカス』地点別分析の地点情報(表参道)

単位にとらわれず「知りたい場所そのもの」を分析

同社はこれまで、訪日外国人観光客向けナビゲーションアプリ『Japan Travel by NAVITIME』から利用者の同意を得て取得したインバウンドGPSデータや属性アンケートを使い、全国・都道府県・市区町村・メッシュ単位で観光動向を可視化する『インバウンドプロファイラー』を提供してきました。ただし、このサービスはあらかじめ定めた単位で集計する仕組みです。そのため、分析したい場所が決まっている事業者からは「自社の店舗や施設、特定のエリアに来る訪日外国人の動きを継続して把握したい」という要望が寄せられていました。その場所を訪れた旅行者の前後の立ち寄り先や、組み合わせて訪れる場所まで含めて周遊状況を分析したいという声もあったといいます。新サービスはこうした要望に応えるために開発されたもので、市区町村やメッシュなどの単位にとらわれず「知りたい場所そのもの」を継続して分析でき、周遊や旅程まで把握できます。

(図2)地点別分析の結果(表参道):周辺エリアとの比較/来訪者数の推移/国・地域別内訳/時間帯別分布
(図2)地点別分析の結果(表参道):周辺エリアとの比較/来訪者数の推移/国・地域別内訳/時間帯別分布

3つの分析機能と「前日分まで」のデータ集計

  • 地点別分析:訪日外国人の来訪者数、国・地域別の構成、時間帯や季節ごとの変化を地点ごとに把握できます。地点は地図上で範囲を描くだけで登録でき、店舗単体から商業施設・観光施設・駅などの大規模な施設、商店街や観光地といったエリアまで自由に設定できます。
  • 地点間分析(オプション機能):登録した複数の地点について、来訪者数や国・地域の構成、時間帯別の傾向を比較できます。3地点以上の組み合わせ来訪まで分析できるため、自社拠点間の比較や拠点間の送客の把握、重点拠点の選定に活用できます。
  • 旅程分析(オプション機能):指定した地点を訪れた旅行者が前後にどのエリアに滞在しているか、旅程の何日目に訪れているかを把握できます。自施設やエリアが旅程の中で目的地として訪れられているか、どの場所と組み合わせて回られているかがわかり、周辺地域・施設との連携や周遊ルートづくり、滞在を延ばす施策の検討に生かせます。

データは前日分まで集計できるため、イベントやキャンペーンの翌日から来訪の変化を確認し、会期中や次の施策にすぐ反映できます。分析期間は2023年以降のうち、最長1年間を自由に指定できます。

(図3)旅程分析の滞在ヒートマップ(表参道)と、地点間分析の結果(表参道・銀座):国・地域別の構成比/時間帯別分布/相関マトリクス
(図3)旅程分析の滞在ヒートマップ(表参道)と、地点間分析の結果(表参道・銀座):国・地域別の構成比/時間帯別分布/相関マトリクス

分析事例:表参道を訪れる訪日客はどう動いているか

同社は分析事例として、表参道を地点として登録し、2026年9月19日から10月18日までの30日間について訪日外国人旅行者の来訪状況を確認した結果を公開しています。来訪者数は前年同期間比で8.6%増となり、同じ期間の渋谷区(1.2%増)や東京都(5.4%増)の伸び率を上回りました。直近12か月の推移では、2025年12月と2026年3~4月に山が見られます。国・地域別の構成比は韓国(26.7%)が最も多く、中国(12.8%)、台湾(11.3%)、米国(10.0%)、豪州(5.5%)が続きます。韓国・中国・台湾の東アジア3市場で全体の約半数を占める一方、米国・豪州・カナダ・欧州各国を合わせた欧米豪も約4分の1を占め、特定の国・地域に偏らない構成です。時間帯別では来訪は主に9時台から20時台にかけて見られ、15時台が最多でした。深夜・早朝の来訪はなく、日中に集中する地点となっています。

旅程分析の滞在ヒートマップでは、表参道の来訪者が周辺のどこに滞在しているかを125mメッシュ単位で地図上に確認できます。その結果、表参道の周辺に加えて、新宿駅や渋谷駅の周辺、銀座周辺にも滞在が集まっていました。そこで銀座を同じ条件で地点登録し、地点間分析で比較しています。国・地域別の構成比はいずれも韓国が最も多く、割合もほぼ同水準でした。一方で、表参道は中国・台湾の割合が銀座より高く、銀座は米国の割合が表参道より高いという違いがあります。時間帯別の分布は対照的で、表参道の来訪が日中に限られるのに対し、銀座は深夜・早朝にも一定の来訪が見られ、日中は14時台から18時台まで高い水準が続きます。

地点間の相関マトリクスでは、表参道の来訪者の55.5%が期間中に銀座も訪れていました。これに対し、銀座の来訪者のうち表参道も訪れたのは6.5%にとどまります。両地点で来訪者数の規模が異なるため割合は方向によって変わりますが、表参道の来訪者にとって銀座が主要な立ち寄り先となっていることがわかります。

旅程についても分析しています。表参道を訪れた旅行者の旅程日数は4~6日が最も多く、7~13日が続きます。平均旅程日数は8.2日、中央値は6.0日でした。旅程の何日目に来訪したかを見ると、3日以内の旅程では2日目(66.6%)に集中し、4~6日の旅程でも2~4日目に分散しています。初日・最終日に訪れる割合は比較的小さく、表参道は旅程の中盤に組み込まれる地点であることがわかります。入国空港は成田国際空港(62.1%)、東京国際空港(羽田)(31.7%)の順で、首都圏の空港が9割以上を占めました。出国空港では関西国際空港の割合(8.1%)が入国時(3.9%)より高く、首都圏で入国して関西から出国する旅程も一定数あることがうかがえます。

旅程のフェーズごとの所在エリアを見ると、入国期・出国期は渋谷区・千代田区・新宿区・台東区など東京都内に集中していました。それ以外の期間は、東京都内に加えて京都市中京区・大阪市中央区・鎌倉市・富士河口湖町・奈良市なども上位に入っています。東京を起点に関西や近郊の観光地を周遊する旅程の中で、表参道が訪れられていることがわかります。来訪の直前・直後に滞在していたエリアはいずれも新宿区(直前22.3%、直後26.6%)が最多でした。直前は千代田区(16.5%)の割合が高く、直後は銀座を含む中央区の割合(17.4%)が直前(5.5%)より高くなっており、相関マトリクスの結果とも整合しています。

なお、事例の数値は『Japan Travel by NAVITIME』から同意を得て取得したインバウンドGPSデータと属性アンケートを用いて集計したもので、アプリ利用者の実測値をもとに拡大推計した値に基づく構成比・増減率です。地点「表参道」は、地図上で描いた約0.03km²の範囲を登録しています。地点(表参道・銀座)の数値は、登録した範囲内で10分以上連続してGPSが観測された人を基準に集計しており、この時間条件はサービス上で利用者が任意に設定できます。周辺エリア(全国・都道府県・市区町村)の数値は、同一の1kmメッシュ内に30分以上滞在した人を基準としています。

ナビタイムジャパンは今後も、サービスの機能拡充や利便性向上に努めるとともに、観光動態データの提供を通じて、インバウンド戦略の検討やマーケティングに取り組む事業者・自治体をサポートしていくとしています。

出典:株式会社ナビタイムジャパン