飛行船型HAPS(高高度プラットフォーム)を手がけるSkySense株式会社が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のスタートアップ支援事業「NEP(NEDO Entrepreneurs Program)」の躍進コース「NEP躍進3000」に採択されました。同社はJAXAの飛行船技術を基盤に、飛行船型HAPSの研究・開発・製造・運用を行っている企業です。本社は東京都港区にあり、代表取締役はアドディン パヴェル氏が務めています。

成層圏から「高解像度・高精度」の観測データを取得
採択された事業名は「成層圏地球観測用高解像度・高精度技術の研究開発」です。実施期間は2026年度から2027年度で、高度20kmから解像度10cm以下、位置精度1m程度の地球観測データを取得する技術を開発します。あわせて、そのデータを各用途で活用できるかどうかも検証します。
地球観測の分野では、観測衛星のデータが現在の主流です。ただし地表解像度は30cm〜1m級で、解像度と観測頻度が足りないという課題があります。一方、航空機を使った測量はデータの取得コストが非常に高いという課題を抱えています。SkySenseは、衛星と航空機それぞれの長所を併せ持つ「HAPSによるデータ」の提供を目指しています。
今回の事業では、従来の航空データと同等の解像度・位置精度を持つデータを取得します。さらにデータ処理によって商用データ並みの品質を確保したうえで、地図作成を含むさまざまなアプリケーションで検証を進めます。
主な実施項目
- 成層圏(20km)から観測できる装置の開発
- 高高度気球を使った成層圏での観測実験
- 取得したデータの処理
- 各アプリケーションでの解析と検証

ディープテック起業家を伴走支援する「NEP躍進コース」
NEP躍進コースは、技術シーズを持ち、一定のビジネスモデルを拡大したい起業家候補人材をNEDOが支援するコースです。経験豊富な伴走支援者「カタライザー」とともに事業拡大を目指します。対象分野は人工知能、ロボット、材料、宇宙航空、エネルギーなどで、原子力分野を除くディープテック全般が含まれます。
代表取締役のアドディン パヴェル氏は、今回の採択について「大変光栄に思います」とコメントしています。そのうえで、衛星の継続性と航空機の精細さを併せ持つ成層圏からの観測は地球観測の新しい選択肢になると考えていると述べました。本事業を通じて高解像度・高精度な観測技術を確立し、飛行船型HAPSによるリアルタイム地球観測の実現に向けて開発を加速していく方針です。

JAXAから移管された技術を持つ東工大発ベンチャー
SkySenseは2024年1月に設立された東工大発ベンチャーです。JAXAから移管された飛行船技術を基盤に、飛行船型HAPSの研究・開発・製造・運用と、リアルタイム地球観測データサービスの提供を手がけています。成層圏に滞空する飛行船から特定エリアを継続的に観測し、衛星や航空機では難しい「地球をリアルタイムに観る、新しいレイヤー」の実現を目指しています。
同社の強みは、飛行船の設計・空力・推進、軽量で耐候性のあるエンベロープ素材、制御・地上局システム、そして飛行許可・運用申請のノウハウです。これらに航空宇宙・AI・画像処理・通信の技術を掛け合わせ、意思決定に役立つ観測データを届けるとしています。純国産の航空宇宙プロダクトとして、日本から世界への展開を目指しています。
出典:SkySense株式会社



