社員食堂のレジでステーブルコイン決済を実証、TISIとCARDNETが精算・経理まで運用性を確認

社員食堂のレジでステーブルコイン決済を実証、TISIとCARDNETが精算・経理まで運用性を確認

TISインテックグループのTISI株式会社と、株式会社日本カードネットワーク(CARDNET)は、2026年9月にステーブルコインを使った店頭決済の実証実験を行いました。舞台はCARDNETが入居するオフィスビル内の社員食堂です。有人レジで日本円建てステーブルコインと米ドル建てステーブルコインによる決済を行い、取引はすべて正常に完了しました。検証したのは決済処理だけではありません。加盟店精算、取引突合、経理業務までを実運用に近い形で確認し、一連の業務として運用できることを確かめています。

なぜ「店頭」でステーブルコインを試したのか

ステーブルコインは、国内外で新しい決済手段として活用の広がりが期待されています。今後は送金や金融取引に加えて日常の買い物でも使われるようになり、社会インフラとして定着することが見込まれています。店舗側にとっては、決済手数料の抑制、精算の迅速化、訪日外国人の決済ニーズへの対応といった利点が見込まれます。ただし実際の店舗で使うには、決済処理に加えて、加盟店精算や取引突合などの業務運用まで含めて実現できるかを確認する必要があります。

TISIはこれまで「ステーブルコイン決済支援サービス」の事業化に向けて関連企業との連携を進め、決済システムの構築に必要な技術と知見を蓄積してきました。今回はステーブルコインの普及を見据えた店頭決済の場面を想定し、TISIがシステム技術面、CARDNETが業務面を担当しました。決済のスピードが求められる実店舗に近い環境として社員食堂を選び、利用者、店舗運営、業務、経理の各観点から検証しました。決済事業としての可能性を探るとともに、事業化に向けた課題を具体化することが目的です。

実証の概要

実証は、利用者、加盟店、収納代行事業者による実運用を想定した環境で行われました。決済機能に加え、加盟店精算や取引管理などの業務面と、決済性能などの技術面からも評価し、事業化に向けた課題の抽出と改善点の整理を行いました。主な実施条件は次のとおりです。

  • 実施期間:2026年9月1日(火)~9月8日(火)、平日8:30~17:00
  • 実証場所:高田馬場オフィス 5階社員食堂
  • 利用ステーブルコイン:日本円建てステーブルコイン、米ドル建てステーブルコイン
  • 利用ウォレット:利用客は一般的な個人向けウォレット、CARDNETはビジネスウォレットSaaS
  • 対応レジ:有人レジのみ(POSとは連動せず、専用決済端末を単独で操作)
  • 利用者:オフィスに入館制限があり、CARDNETおよび協力会社社員など
  • スキーム:利用者、PoC協力店(食堂)、CARDNETの3者による収納代行型。技術面はTISIがサポート

評価は3つの方法で行われました。1つ目は利用者とPoC協力店のスタッフ・管理者を対象としたアンケート調査、2つ目は業務担当や経理担当などによる実務評価、3つ目はログ解析による決済性能とガス代(手数料)の技術評価です。

137件の決済が正常に完了、ガス代の中央値は0.1円未満

店頭決済が業務面・技術面の両方で実現可能と確認

6営業日で62名が参加し、計137件の決済が正常に完了しました。決済、売上確認、加盟店精算、取引突合、資金管理といった店舗運営に必要な業務の流れを検証した結果、今回の実証の範囲では事業化を阻害するような重大な課題は確認されませんでした。店頭決済について、業務面と技術面の両方で実現できることが確認されています。

決済処理時間は実運用が可能な水準、ガス代は費用面の基礎データに

実証期間中の決済処理時間は支障のない水準で、実運用が可能であることが確認されました。ガス代は1取引当たりの中央値が0.1円未満となり、費用面での事業性を検討するための基礎データが得られています。さらに、加盟店精算、モニタリング、会計処理など実運用を想定した評価を通じて、必要な運営プロセスの有効性も確認されました。

今後の展開、TISIは2027年度中の事業化を目指す

TISIとCARDNETは今回の知見を活用し、ステーブルコイン決済の導入や検証を検討する企業・団体に向けて、実証実験の企画・運営支援と決済システムの提供を共同で進める予定です。今回の実証をベースにしたデモンストレーションも企画中で、さまざまな業種・業態でのユースケース検証を通じて、ステーブルコインを活用した新たな決済体験の創出と普及拡大に取り組むとしています。

TISIは今回の結果をふまえ、「ステーブルコイン決済支援サービス」の2027年度中の事業化を目指しています。実証で得られた成果や課題をもとに、利用者と加盟店向けのUI/UXの改善や運用面の高度化を進めながら、事業化に向けた検討を続けるとしています。

出典:TISインテックグループ