イネーブラー株式会社の子会社であるSIVION株式会社は、インフラ点検用ドローン「SIVION Wing(シヴィオン ウィング)」で、GPS(GNSS)を活用した自動飛行機能の提供を2026年10月から始めました。新たに提供されるのはGCS自動飛行機能です。GCSはGround Control Stationの略で、Lidar SLAMとGNSSを組み合わせた自動飛行管制システムを指します。

GPSが届かない場所に強いLiDAR、開けた空間で生じていた課題
SIVION Wingは、回転型LiDAR SLAM技術を使っています。この技術により、橋梁の下部やトンネルのようにGPSを受信できない環境でも、安定した自動飛行と点検を行ってきました。
ただし、海上や上空のように開けた空間では、LiDARが手がかりにする地形や構造物の特徴点が少なくなります。そのため、こうした場所では自動飛行を適用しにくいという課題がありました。
今回のGCSは、イネーブラーが培ってきた測位技術の知見をもとに、GNSS(衛星測位)による自動航行を加えたものです。開けた空間ではGNSSによる自動航行、構造物に近づく場面ではLiDAR SLAMによる飛行と使い分けます。これにより、沿岸部から山間部までの一連の点検を自動飛行でカバーできるようになります。

新機能のポイント
GNSSによる自動航行で海上・開空間に対応
橋梁の上空や海上など、地形の特徴点が少ない開けた空間でも、GNSS信号を併用した自動飛行ができるようになりました。あらかじめ設定した点検ルートを安定して再現できます。さらに、RTK補正情報を活用すると、より精度の高い位置情報を取得できます。
近接飛行やGPS不感環境でのLiDAR SLAM飛行も強化
LiDARによる周辺形状の計測と位置推定の機能が大幅に改善されました。これにより、橋脚や桁下など構造物に近づいて飛行するときの自己位置推定、姿勢の安定性、障害物との衝突安全性が向上しています。GNSSが不安定になる環境では、GNSS航行からLiDAR SLAM飛行へ連続的に切り替わり、点検を続けられます。
想定される活用シーン
- 沿岸部・港湾:離岸堤・消波ブロック・防波堤の点検や測定
- ダム、鉄塔、風力発電設備の点検や測定
- 橋梁:桁下・橋脚の点検

高知県須崎市で実証試験を実施
SIVIONは機能の性能を検証するため、2026年10月に高知県須崎市にある島嶼間の連絡橋と離岸堤で実証試験を行いました。構造物に近接する橋梁と、海上で地形が単調な離岸堤という、特性の異なる2つのフィールドで自動飛行できることを確認しています。
新機能の対象製品は、LiDARを搭載したインフラ点検用ドローン「SIVION Wing」です。SIVIONは2026年6月に設立された企業で、代表取締役社長は弘田増巳氏が務めています。事業内容は、AI・ロボティクスを活用したインフラ点検ソリューションの開発・提供、ドローンやロボットによる点検業務の自動化、デジタルツインや3Dモデリング技術を活用したソリューションの開発・提供、AI画像解析・データ分析サービスです。
出典:イネーブラー株式会社



