「設計書がいつも正しい」を仕組みで保つ ルビナソフトウエアが特許出願中の開発手法「Luvina Origin」の提供を開始

「設計書がいつも正しい」を仕組みで保つ ルビナソフトウエアが特許出願中の開発手法「Luvina Origin」の提供を開始

ベトナムを拠点に日本企業向けのシステム開発を手がけるLUVINA SOFTWARE JSC(本社:ベトナム・ハノイ、日本オフィス:神奈川県川崎市、以下ルビナソフトウエア)が、システム開発の新しい進め方「Luvina Origin(日本語表記:ルビナオリジン)」の提供を開始します。設計書を「原典」と位置づけ、そこから作られるプログラム、テスト、各言語版の資料が設計書と食い違わない状態を自動で保ち続ける仕組みです。

システム開発の現場では、設計書の内容と実際に出来上がったシステムの中身が少しずつずれていきます。急ぎの修正が設計書に反映されない、海外チームに渡した資料と日本側の資料の内容が違う、担当者が交代すると何をなぜ決めたのか分からなくなる。現場では当たり前のように起きているこうした問題が、そのまま手戻りとコストになっています。Luvina Originは、この課題の解消を狙ったものです。

特許出願の対象は「AIがコードを書く技術」ではなく「開発の進め方」

ルビナソフトウエアは、この仕組みの中核となる開発の進め方について、日本国特許庁にビジネスモデル特許を出願しています(出願番号:特願2026-178143)。現在は出願中で、特許庁による審査はこれからです。取得時期は審査の結果によるため未定で、権利が確定した「特許取得済み」の状態ではありません。

出願の対象は、AIを使ってプログラムを自動で書く技術そのものではありません。「設計書がいつも正しい状態を、人の努力ではなく仕組みで保ち続ける」ために、次の4つを一つの流れとしてつなげた「開発の進め方」です。

  • 設計書をたった一つの原典にする:設計書を分散させず、変更履歴がすべて残る形で一箇所にまとめて管理し、「どれが最新版か分からない」状態をなくす
  • 設計書の一項目ずつをプログラムとテストに結びつける:どの仕様がプログラムのどの部分とどのテストに対応しているかを、あらかじめすべて結びつけておく
  • 設計書を直したら影響範囲を自動で洗い出す:修正すると、作り直すべきプログラム、各言語版の資料、やり直すべきテストが自動で特定される
  • 食い違いを見つけたら自動でやり直す:作り直した結果が設計書と合っていない場合はそれを検知し、再度作り直す

さらに、現場で見つかった失敗やレビューでの指摘を仕組み自身が覚えていき、次にものを作るときの決まりごととして反映します。一人の気づきをチーム全員の財産にし、同じ間違いが二度と通らないようにするという考え方です。

打ち合わせから納品まで、同じ仕組みの上で進む

Luvina Originでは、開発の全期間を通じて同じ仕組みの上で作業が進みます。流れは次のとおりです。

  • 会議の記録を入力すると、設計書のたたき台が組み上がる
  • 文字だけの仕様書ではなく、実際に操作できる画面で仕様を確認できる
  • いつ、誰が、何に承認したかが仕組みの中に残る
  • 承認された設計書を出どころとして、プログラムとテストを作る
  • 自動で作られたものをそのまま納めることはなく、同社の技術者が確認・修正したうえで納品する(成果物の責任は従来と同じく同社が負う)

発注側の企業にとって変わること

同社は、システムの開発・改修を発注する企業にとっての効果として、設計書にあるのにプログラムに入っていないといった反映漏れへの対応、各言語の資料を同時に作ることによる内容のずれの防止、決定の経緯が残ることで担当者交代後もたどれること、過去の失敗を仕組みが覚えることによる品質の均一化を挙げています。また、仕様変更の際も影響範囲がその場で分かるため、その日に判断できるとしています。

目標は手間「約半分」、現時点の実績は保守開発で16〜26%削減

打ち合わせから設計への反映、確認までのやりとりは数日単位に短縮され、仕様変更の判断が翌週まで持ち越しになりません。手戻りが減ることで、全体の期間そのものが短くなるとしています。同社は、要件定義からテストまでにかかる手間を約半分に減らすことを目標に掲げています。

ただし「約半分」は同社の社内試算にもとづく目標値で、成果を保証するものではなく、仕組みの全機能が稼働することを前提としています。現時点で同社が確認している削減実績は、保守開発の案件における16〜26%の削減です。内訳としては、日本語と現地語の間の翻訳にかかる手間の解消、設計資料の整備で80%超の削減、打ち合わせ記録の作成で70%の削減が挙げられています。効果は依頼の内容・規模により異なります。

コスト面では、開発を担うのがベトナムの開発チームであるため、国内の標準的な単価を前提とした体制と比べて、同じ作業量でも費用を抑えられるとしています。「かかる手間が減る」ことと「一人あたりの費用が低い」ことの二重の効果で総額を下げる設計です。オフショア開発で費用に跳ね返りやすい言葉の壁についても、開発メンバーが日本語の設計書に対して自分の言葉で質問でき、その回答が両方の言葉で残る仕組みを備えています。提供形態は、小規模に試すトライアル(4〜6週間)、専任チームを月単位で確保するラボ型(3ヶ月〜)、案件単位で引き受ける請負型の3つから選べます。

開発の背景と今後の展開

システム開発の現場ではAIを使った効率化が急速に進む一方、AIに任せるほど「設計書が正しいかどうか」が結果を左右するようになりました。2004年の創業以来20年以上にわたり日本市場でシステム開発を提供し、金融の基幹システムをはじめとする止められないシステムの領域で実績を積んできた同社は、複数の言語が混ざるチームで大規模な保守開発を続けてきた経験からLuvina Originを生み出したとしています。同社の従業員はエンジニア約750名(うち日本語対応可能 約40%)で、CMMIレベル3、ISO27001、UKAS認証を取得しています。

現在、Luvina Originは複数の実際のプロジェクトで運用されており、そこで得られた要望をもとに機能が追加されています。2026年内には、設計書の内容について画面上でそのまま質問・修正依頼ができる機能と、打ち合わせの記録から顧客の承認までを自動で進める機能の提供が予定されています。同社は資料の送付、オンラインでの説明、小規模なトライアルの相談を受け付けています。

出典:ルビナソフトウエアジャパン株式会社