【2026年8月29日】近畿大学先端技術総合研究所が一般公開!生命科学・生物工学の「ふしぎ」を体験

科学技術の楽しさと魅力を体感できる一日

「オープン・ラボ」は2000年から開催されており、今回で27回目を迎えます。近畿大学先端技術総合研究所と生物理工学部の教員による講演、体験・展示コーナー、そして大学院生によるポスターセッションを通じて、研究成果を身近に感じ、科学技術の楽しさや魅力を体感する機会が提供されます。

注目の講演内容

第1部では、二つの講演が行われます。

講演1:「動物たちの未来をまもる~動物園のやさしい科学~」

安齋政幸教授は、動物園や水族館で行われている「遺伝資源保存」の研究について紹介します。これは、動物たちの精子や卵子、胚(受精卵が成長を始めた初期の段階)などをマイナス196℃の液体窒素で冷凍保存し、将来の繁殖に役立てる研究です。講演では、飼育下の鯨類の妊娠関連物質の解析など、動物たちの未来を支える「やさしい科学」の役割と可能性が語られます。この研究は、絶滅の危機にある動物たちの種を守るための重要な取り組みであり、私たちの知らないところで進む科学の力が、動物たちの未来に希望の光をもたらすかもしれません。

講演2:「カヤの分子遺伝学解析によって明らかにされた空海の足跡」

堀端章教授は、和歌山県紀美野町の町の木である「カヤ(榧・栢)」の分子遺伝学解析(生物の遺伝子やその働きを詳しく調べて、生物の特性や進化の歴史を解き明かす研究)を通じて、弘法大師空海にまつわる伝説に科学的な光を当てます。良質な油が取れるヒダリマキガヤが紀美野町に多数存在する背景には、高野山への年貢としてカヤの油が納められていた歴史があります。研究の結果、ヒダリマキガヤの種子がある特定の時期にこの地に広められたことが判明し、空海による種子配布の伝説の一部が事実であった可能性が示唆されています。遺伝子レベルの解析が、歴史の謎を解き明かす一例となるでしょう。

サイエンスツアー:体験・展示コーナーとポスターセッション

第2部のサイエンスツアーでは、最先端の研究を体験できる展示と、大学院生によるポスターセッションが開催されます。

創薬を目指したがん関連タンパク質の研究

米澤康滋教授と櫻井一正准教授は、がん関連タンパク質(生物の体を構成し、様々な生命活動を担う高分子。酵素やホルモン、抗体など多様な種類がある)の分子運動と機能に関する研究を紹介します。細胞分裂の制御に関わるタンパク質に異常が生じるとがんにつながるため、研究室では、がん特有の糖代謝に関わる酵素「NTPDase」の分子運動と機能の関係を調べています。計算科学(シミュレーションやAI)と実験(NMR:原子核の磁気的な性質を利用して、物質の構造や動きを調べる分析手法)を組み合わせ、がんの治療薬開発を目指しています。これは、新しい薬がどのようにして生まれるのか、その最前線に触れる機会となるでしょう。

ダイアウルフは本当に復活したのか?

加藤博己教授は、2025年4月に米国コロッサルバイオサイエンシズ社が発表した、約1万年前に絶滅したダイアウルフの「復活」について科学的に検討します。この発表では、現生のタイリクオオカミの細胞からゲノム編集(生物のDNAを狙った場所で正確に改変する技術)によって遺伝子を改変し、体細胞核移植(体細胞の核を、核を取り除いた卵子に移植する技術)で胚を作製、代理母に移植することで産子を得たとしています。この技術が「絶滅動物の復活」と言えるのかどうか、生殖生理学や分子生物学の観点から解説が行われます。これは、生命倫理や科学の限界について深く考えるきっかけとなるかもしれません。

吸血昆虫サシバエの基礎研究への展開

瀧川義浩准教授、白木琢麿准教授、松橋珠子講師は、吸血昆虫であるサシバエを新たなモデル動物(特定の研究目的のために、生物学的な現象や病気を調べるのに適した動物)として活用する研究を紹介します。これまで発生学などの基礎研究ではショウジョウバエが多く用いられてきましたが、サシバエは吸血性という異なる生理特性を持っています。研究室では、サシバエを年間通して実験室内で飼育する技術を確立しており、この新しいモデル動物を用いることで、吸血という特異な生活様式に基づく生理機構の理解など、これまでわからなかった生命の仕組みの解明につながる基礎研究が期待されています。

大学院生によるポスターセッション

近畿大学大学院生物理工学研究科の大学院生たちが、自身の研究成果をポスター形式で発表します。成熟に伴う香気特性の変化、不凍タンパク質とリン脂質膜との相互作用、コラーゲンの二量体化メカニズム、パーキンソン病に関わるドーパミン分解酵素MAO-Bの動力学など、多岐にわたるテーマが紹介され、未来の研究者たちの熱意と成果に触れることができます。

開催概要

  • 日時: 2026年8月29日(土)13:00~16:00(受付開始12:30~)

  • 場所: 和歌山県看護協会(和歌山県海南市南赤坂17番地、JRきのくに線「海南駅」からバス約10分)

  • 対象: 一般の方(1部・2部定員各90名、入場無料、要事前申込、先着順)

  • 申込方法: WEBサイトから申込み

  • 申込締切: 2026年8月24日(月)23:59

  • 後援: 和歌山県教育委員会、海南市教育委員会、紀美野町教育委員会

  • お問合せ: 和歌山放送内 近畿大学生物理工学部公開講座係 TEL(073)428-1431

このオープン・ラボは、生命科学や生物工学の最先端に触れ、普段知ることのできない研究の世界を体験できる貴重な機会です。ぜひこの機会に、科学の奥深さと可能性を肌で感じてみてはいかがでしょうか。