スペースデータ、陸・海・空の統合作戦を可視化する「JOINT OPERATION SIMULATOR」をリリース
株式会社スペースデータは、宇宙AIプラットフォーム「SpaceBrain(スペースブレイン)」の安全保障・作戦運用領域における新機能として、「JOINT OPERATION SIMULATOR(ジョイント・オペレーション・シミュレーター)」をリリースしました。この新しいシミュレーターは、陸・海・空の各領域を横断する統合作戦(ジョイント・オペレーション:複数の部隊や組織が連携して行う作戦)を、高精細なデジタル3D地図上で現実に近い形で可視化し、統合COP(共通作戦状況図:作戦に関わるすべての情報を一元的に表示するシステム)として表現することで、指揮官の迅速かつ的確な意思決定を支援します。

現代の防衛作戦を支える「共通の状況図」
現代の防衛作戦は、陸・海・空それぞれの領域で個々に対応するだけでなく、これらを横断する統合部隊による領域横断作戦が主流となっています。さらに、宇宙、サイバー、電磁波、そして認知といった新たな領域も加わり、状況認識と意思決定の重要性は増すばかりです。2025年3月には自衛隊の統合作戦司令部が発足するなど、日本でもその動きが加速しています。
このような背景において、陸・海・空にまたがる情報を単一の画面上で共有するCOP(共通作戦状況図)は、作戦の基盤となります。しかし、領域が拡大し続ける中で、どのような情報を重ね合わせれば、各階層の指揮官の意思決定に貢献できるのかを予測することは、これまでの方法では困難になっていました。
「AMATERASU」の進化と「JOINT OPERATION SIMULATOR」
スペースデータは、作戦運用領域のAIプラットフォーム「AMATERASU(アマテラス)」のもと、これまでも統合防空・ミサイル防衛(IAMD)シミュレーションや航空作戦運用シミュレーション(AIR OPERATION SIMULATOR)、着弾・衝突被害シミュレーション(GROUND IMPACT SIMULATOR)といった安全保障領域のソリューションを提供してきました。「JOINT OPERATION SIMULATOR」は、これらの単一領域・単一事象に特化したシミュレーションで培った技術を、陸・海・空へと拡張・統合したものです。
今後は、さらに宇宙、サイバー、電磁波、認知といった複数のドメイン(領域)が同時に動く統合作戦の全体像を扱う段階へと「AMATERASU」を進化させていくことが期待されます。
「JOINT OPERATION SIMULATOR」の主な特徴
「JOINT OPERATION SIMULATOR」は、日本とその周辺の海空域を舞台に、国土地理院の地図タイルと3D地形データに基づいた実デジタル地図を使用します。その上に、拠点、部隊、脅威、リスクといった情報を重ね合わせることで、さまざまな統合作戦を模擬(シミュレーション)できます。今回デモとして提供される二つの訓練シナリオを時系列で再生することで、ウォーゲーム(図上演習:地図や模型を用いて作戦を机上で検証する訓練)やミッション・リハーサル(任務予行:実際の任務を想定して事前に演習を行うこと)の基盤となる状況認識環境をブラウザ上で体験できます。なお、表示される部隊・拠点・脅威・リスク・アセットはすべてデモ用の架空データであり、実在の部隊や施設の配置とは関係ありません。

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陸・海・空を統合したCOP(共通作戦状況図)表示
歩兵や車両のスケールで3D地形を見る「陸」、本島と沿岸全体を俯瞰する「海」、周辺空域を含む「空」の3つの視点を切り替え、同一の状況を異なるスケールで把握できます。特に海ビューでは、背景を黒とし、海岸線や道路などを線画で描くワイヤーフレーム基図を採用することで、脅威ルートや防衛ラインといった重ね合わせる情報を強調し、視認性を高めています。 -
NATO標準シンボルによる164種のアセット
戦車、自走砲、地対空ミサイル、レーダーなどの陸上アセット80種、護衛艦、潜水艦、海上保安艦艇などの海上アセット52種、戦闘機、哨戒機、無人機などの航空アセット32種の合計164種を、NATO(北大西洋条約機構)の標準記号規格に基づいたシンボルで描画しています。これにより、多数のアセットを一覧で識別することが可能です。 -
軍用COPトラック表記の再現
マーカーを選択すると、トラック番号、敵対識別、対象分類、方位、速度、高度、情報経過時間、識別信頼度など、軍用航跡(軍事作戦における部隊や物資の移動経路)の標準的な諸元表記が右パネルに表示されます。実際の表記形式に沿って、COP画面が扱う情報の構造を体験できます。 -
ウォーゲームの基盤となる2つの訓練シナリオの時系列再生
「着上陸対処」「統合防衛展開(沿岸阻止線)」という2つの架空シナリオ(それぞれ4フェーズ、時間ごと)を再生・シークできます。脅威ルート、防衛ライン、部隊移動、イベントログなどがフェーズに連動して展開するため、関係者が同じ状況図を囲みながら推移を確認でき、ウォーゲームやミッション・リハーサルにおける共通の作戦図として機能します。
実装を支える技術と今後の展望
「JOINT OPERATION SIMULATOR」は、地図描画エンジンを用いた単一のHTMLファイルとして実装されています。基図には国土地理院の空中写真、色別標高、陰影起伏、実験的ベクトルタイルなどが使用され、標高データによる3D地形が再現されています。アセットの配置や運動諸元、信頼度は擬似値として生成されており、同一条件での再現が可能です。
スペースデータは「AMATERASU」の開発において、ある行動や脅威がもたらす結果を事前に見通し、根拠をもって判断できる状態を高速に生成することで、指揮官の意思決定の優越に貢献することを重視しています。「JOINT OPERATION SIMULATOR」は、その基盤となる統合的な状況認識を陸・海・空で可視化したものであり、今後はシナリオの拡充や各シミュレーターとの連携を通じて、ウォーゲーム・ミッションリハーサルの実施基盤へと発展させていきます。
また、この統合COPの情報構造は、防衛にとどまらず、災害対応における状況図の共有など、幅広い危機管理の現場にも応用できる可能性を秘めています。いずれの取り組みにおいても、最終的な判断は人間が担うことを前提としています。さらにその先には、宇宙、サイバー、電磁波、認知といった新領域への拡張及び連携も視野に入れています。
「JOINT OPERATION SIMULATOR」の詳細については、下記のお問い合わせフォームよりご連絡ください。
株式会社スペースデータについて
株式会社スペースデータは、「宇宙を誰もが活用できる社会へ」という理念のもと、宇宙とデジタル技術の融合により新たな産業や社会基盤を創造するテクノロジースタートアップです。地球・宇宙環境を精密に再現するデジタルツイン(現実世界の物理的な対象物をデジタル空間に再現し、シミュレーションや分析を行う技術)技術を活用し、宇宙から都市開発、防災、安全保障まで、未来を支えるデジタルプラットフォームの構築を目指しています。また、宇宙ロボット・宇宙ステーションの運用基盤開発を通じて、宇宙社会の実現にも取り組んでいます。
スペースデータの公式サイトでは、最新の取り組みや発表が紹介されています。
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