宇宙港の未来を拓く:スペースデータ、デジタルツインでロケット高頻度打上げと地域共存を支援

宇宙輸送の新時代へ:高頻度打上げを支えるデジタル技術

ロケット打上げの需要が世界的に高まる中、日本でも宇宙輸送能力の確保は重要な課題となっています。民間に開かれた商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」では、ロケットの高頻度打上げを目指す動きが加速しています。

この実現には、単に技術的な進歩だけでなく、宇宙港が立地する地域社会との協力が不可欠です。

株式会社スペースデータは2026年7月31日、HOSPOを運営する北海道大樹町、およびSPACE COTAN株式会社と、ロケット高頻度打上げの実現性検討に関する基本合意書(MOU)を締結しました。この合意に基づき、スペースデータは、デジタルツインやフィジカルAIといった先進技術を駆使し、ロケット打上げが地域の環境や既存産業に与える影響やリスクを「見える化」することで、関係者間の合意形成を強力にサポートします。

北海道スペースポートの高頻度打上げに向けた基本合意書締結

目に見えない影響を可視化する重要性

衛星コンステレーション(多数の衛星を連携させて運用するシステム)の構築が進む現代において、ロケット打上げの回数を増やすことは、宇宙ビジネスの成長に欠かせません。しかし、打上げ回数を増やすためには、安定した運用技術はもちろんのこと、地域の自然環境や漁業・農業といった既存産業への影響、そして万一の際のリスクを、地域社会が受け入れられる形で検証する必要があります。

これらの影響やリスクは、通常は目に見えないため、専門的なシミュレーション結果や数値だけでは、自治体、事業者、そして地域住民が同じように理解し、合意を形成することは容易ではありません。そこで求められるのが、誰もが直感的に状況を把握できるような「共通の対話基盤」です。

基本合意書にみる三者の役割

今回の基本合意書により、大樹町、SPACE COTAN、スペースデータの三者は、それぞれの専門性を活かして高頻度打上げの実現に向けた検討を進めます。

  • 北海道大樹町:地域内の関係自治体との連携調整、地域の自然環境や既存産業との両立性の整理、住民説明や合意形成プロセスの整理、災害時・緊急時の対応方策の整理、財源の整理、地域における協議体の検討を担います。

  • SPACE COTAN株式会社:HOSPOの商業打上げ運用モデルの検討に必要な内容やプロセス、宇宙港ビジネスモデル、運用コンセプト、システム、運営体制の検討、安全基準案の策定(例:HOSPO Range Safety Manual)、海外先行事例の調査を行います。

  • 株式会社スペースデータ:デジタルツイン技術を活用した環境影響やロケット打上げに対するリスクの可視化手段の検討、そしてステークホルダー(関係者)間の合意形成手段の検討を担当します。

ここでいう「デジタルツイン」とは、衛星データや現実世界の建物、設備、都市などのデータをもとに、現実の環境をデジタル空間上に再現する技術のことです。これにより、デジタル空間内で高精度なシミュレーションや予測が可能になります。

基本合意書締結式の様子

基本合意書締結式の集合写真

スペースデータが描く「見える化」の未来

スペースデータは、衛星データとAI(人工知能)を組み合わせ、都市や地形を自動で3D化するデジタルツイン技術を開発してきました。さらに、飛翔体の軌道・衝突・破壊といった物理現象を扱う「フィジカルAI」(物理シミュレーションをAIと融合させた技術)も活用し、現実の環境をデジタル空間上で精密に再現・検証する技術基盤を構築しています。

同社は、3Dモデルの自動生成(特許第7232552号)、3Dテクスチャーの自動生成(特許第7353690号)、ビジュアルと物理演算を両立する環境シミュレーション技術(特許第7850469号)といった特許も取得しており、これらの技術はすでに宇宙分野、防災分野、防衛分野などで社会実装が進んでいます。

今回の取り組みでは、これらの技術基盤をHOSPOに適用し、ロケット打上げに伴って発生する可能性のある「音」「落下物」「環境負荷」などの影響範囲や、想定されるリスクの広がりを3D空間上で可視化する手法を検討します。これにより、数値や報告書だけでは伝わりにくい情報を、関係者全員が同じ画面を見ながら確認できるようになり、自治体、事業者、地域住民間の合意形成にかかる時間と負担を大きく減らすことを目指しています。

株式会社スペースデータの代表取締役社長である佐藤航陽氏は、宇宙輸送の高頻度化には技術や需要だけでなく、地域社会との合意形成が鍵となると述べています。同社の技術を通じて、データに基づいた対話を重ねることで、地域から信頼される宇宙港の実現に貢献していく考えです。

日本、そして世界の宇宙港へ:未来への展望

宇宙輸送は、通信、観測、測位、さらには安全保障や防災といった社会基盤を支える機能の根幹をなします。日本国内にその打上げ能力を確保し続けることは、国のレジリエンス(回復力や適応力)に直結する重要な課題です。スペースデータは今回の合意を通じて、高頻度打上げの実現に不可欠な「地域との共存」を技術で支えていく方針です。

この「宇宙港と地域社会の合意形成」という課題は、世界各国の宇宙港が共通して直面しているものです。スペースデータは、HOSPOでの取り組みから得られる知見を、地球規模(プラネタリースケール)でデータを扱う技術基盤と合わせて体系化し、将来的には国内外の宇宙港や自治体への展開も視野に入れて取り組みを進めていくとのことです。

北海道スペースポート(HOSPO)について

HOSPOは、北海道大樹町に位置する民間に開かれた商業宇宙港で、2021年4月に本格稼働しました。大樹町は、東と南に海が広がり、射場拡張が可能な広大な土地を持つという地理的優位性から、約40年前から航空宇宙産業の誘致に取り組んできました。現在、人工衛星の打上げに対応する「Launch Complex 1(LC1)」の整備が進められており、今後は高頻度打上げに対応する「Launch Complex 2(LC2)」の整備検討も予定されています。

HOSPOを核とした宇宙のまちづくりの取り組みは高く評価されており、2026年2月には大樹町とSPACE COTANが第7回宇宙開発利用大賞で内閣府特命担当大臣(宇宙政策)賞を受賞しています。

株式会社スペースデータについて

株式会社スペースデータは「宇宙を誰もが活用できる社会へ」を理念に掲げ、宇宙とデジタル技術の融合により新たな産業や社会基盤を創造するテクノロジースタートアップです。

地球・宇宙環境を精密に再現するデジタルツイン技術を活用し、宇宙から都市開発、防災、安全保障に至るまで、未来を支えるデジタルプラットフォームの構築を目指しています。さらに、宇宙ロボットや宇宙ステーションの運用基盤開発を通じて、宇宙社会の実現にも取り組んでいます。

最新の情報は、スペースデータの公式サイトをご覧ください。

本件に関するお問い合わせは、下記お問い合わせフォームからご連絡ください。
https://spacedata.jp/contact