厳しい経済状況下での増収
中東情勢の緊迫化や燃油市況の高騰、継続する円安基調という厳しい経済環境の中、国際旅客や国際貨物の旺盛な需要を捉えた機動的な価格調整、国内旅客の単価向上などが功を奏しました。一方で、燃油費の大幅な増加(前年比+58.4%)により、EBIT(イービット:企業の事業そのものの儲けを示す利益)は127億円(前年比▲72.1%)、純利益は53億円(前年比▲80.2%)となりました。

セグメント別では、航空事業(フルサービスキャリアおよびLCC)は燃油市況高騰の影響で増収減益となりましたが、マイル/金融・コマース事業はマイル発行収入の好調により増収増益を達成し、収益基盤の多角化が進んでいます。

フルサービスキャリア事業では、国際旅客の旅客数は減少したものの、燃油サーチャージスキーム(燃油価格の変動に応じて航空券運賃に上乗せされる料金の仕組み)の改定や機動的なレベニューマネジメントにより単価が大幅に上昇し、旅客収入は前年比+14.4%の増収となりました。

国内旅客も旅客数は減少しましたが、タイムセール適正化などで単価向上を実現し、旅客収入は前年比+3.6%の増収です。

貨物郵便事業では、アジア=北米間の旺盛な貨物需要を獲得し、国際貨物収入が前年比+56.4%と大幅に増加しました。

LCC事業では、ZIPAIRが高速インターネット「Starlink」の全機搭載を完了し、プロダクト価値向上と柔軟な価格戦略で前年比+6.5%の増収を達成しました。SPRING JAPANも供給減の中で単価向上を実現しています。


マイル/金融・コマース事業は、JALカード決済額の増加やグローバル提携強化によりマイル発行収入が好調で、売上収益は前年比+13.3%の563億円、EBITは前年比+17.6%の120億円と安定的に利益を伸ばしています。

未来を拓く多角的な挑戦と新規事業
JALグループは、持続的な成長と新たな顧客体験の創出に向け、多岐にわたる取り組みを進めています。
空港業務の未来を担うテクノロジー
深刻化するグランドハンドリング領域の人材不足に対し、GMO AI&ロボティクス商事株式会社と共同で、国内初となる空港でのヒューマノイドロボット活用に向けた実証実験を開始しました。既存インフラを大幅に改修することなく導入可能な人型ロボットの汎用性を検証し、省人化と作業負荷軽減を通じた持続可能なオペレーション体制の構築を目指しています。これは、空港の働き方が大きく変わる未来の第一歩と言えるでしょう。

宇宙への扉を開く「ARGO PROJECT」
株式会社ispaceが2028年に予定している月面着陸ミッションにおいて、ペイロード輸送サービス契約を締結しました。これにより、月面に地球の文化を継承する「ARGO PROJECT」を始動し、専用ボックス「Möbius Ark」の開発や搭載品の募集・販売を担うことで、宇宙輸送をより身近なものにすることを目指しています。これはまだ計画段階ですが、宇宙がより身近になる未来を想像させます。

また、三菱重工業株式会社と株式会社JALエンジニアリングの合弁会社「株式会社Aero Breath」を設立し、2026年度中のリージョナル機整備事業開始を目指しています。これにより、航空旅客需要の回復に伴う航空機整備ニーズに応え、安全な運航を支えます。

暮らしと旅を豊かにする新たなサービス連携
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モバイル通信と生活インフラの拡充: 株式会社NTTドコモとの協業による「JALモバイル powered by ahamo」の提供を開始。さらに、「JALでんき」に続き、プレミアムウォーター株式会社との「JALウォーター」、東京電力エナジーパートナー株式会社との「JALガス」の提供も開始しました。これにより、電気・ガス・水といった主要な生活インフラの利用でマイルやLife Statusポイントが貯まる仕組みを構築し、日々の生活とJALマイルライフをシームレスにつないでいます。
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JALモバイル powered by ahamo:

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JALウォーター・JALガス:

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マリオット・インターナショナルとの戦略的パートナーシップ: 相互のステイタスマッチを開始し、上位資格へのスピーディな昇格機会を提供することで、飛行機の利用から世界10,000軒以上のホテル宿泊まで、ワンランク上の快適な旅体験を提供します。

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「つながる、二地域暮らし2026」の始動: 対象地域を全国36地域へと大幅に拡大し、航空便の利用に応じたマイル付与や滞在先での交流機会を提供。東日本旅客鉄道株式会社および西日本旅客鉄道株式会社との連携により、航空と鉄道の枠組みを超えた二地域居住プログラムも始動しました。これは、新たなライフスタイルを提案し、地域の担い手不足解消や関係人口創出を目指す取り組みです。

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「JALオーベルジュ富良野」の販売開始: 株式会社日動と連携し、富良野の豊かな自然の中で一流シェフがプロデュースする本格フレンチとワインのペアリングが楽しめる宿泊施設を提供します。五感をくすぐる本物の体験を通じて、人々のウェルビーイング向上に貢献することを目指しています。


進化したJAL SKY MUSEUMの体験
JAL SKY MUSEUMでは、展示コンテンツがバージョンアップされました。AI技術を応用した高精度な「仮想試着システム」を期間限定で導入し、運航乗務員や客室乗務員、整備士の制服をバーチャルで試着できます。また、大阪・関西万博で人気を博した空飛ぶクルマの擬似搭乗シアター「そらクルーズ」をコンパクトサイズに最適化して常設化。未来の空の旅を多角的に楽しめるエンターテインメント環境が整備され、訪れる人々に知的なワクワク感を提供しています。


持続可能な航空輸送への貢献
全日本空輸株式会社とともに、SAF(サフ:持続可能な航空燃料)の現状と課題、そして社会全体での取り組みの必要性をまとめた共同レポート「2050年 航空輸送におけるCO2排出実質ゼロへ向けて(第2版)」を策定しました。SAFの普及を推進し、日本経済の持続的な成長に貢献することを目指しています。
JALグループは、燃油高騰という逆風の中、収益基盤を強化しつつ、航空事業の枠を超えた多角的な事業展開と最新テクノロジーの導入を進めています。これらの取り組みは、単なる企業の成長に留まらず、未来の空の旅、そして私たちの暮らしをより豊かに、持続可能なものに変えていく可能性を秘めています。



