なぜ今、新たな資源循環モデルが必要なのか?
プラスチックの資源循環は、資源の枯渇、廃棄物の削減、そして海洋プラスチックごみ問題への対策として、世界中で重要性が高まっています。日本でも回収・再資源化が進む一方で、再生プラスチック(「再生材」と呼ばれる、使用済みプラスチックを再利用した材料)の品質向上、製造コストの競争力強化、そして安定した供給体制の確立が大きな課題です。
これらの課題を解決するため、近年、「剥離・脱墨技術(はくり・だつぼくぎじゅつ)」という新しいリサイクル技術の開発が進められています。これは、使用済みプラスチックからラベルやインクなどを効率的に取り除き、より高品質な再生材を生み出すための技術です。しかし、この技術を社会全体で広く活用するには、技術そのものだけでなく、事業者間の連携や運用体制の構築も不可欠とされています。
複数企業で「設備や技術を共同利用」する画期的な仕組み
本実証の最大のポイントは、複数の「動脈事業者(製品の製造・流通を担う企業)」と「静脈事業者(廃棄物の回収・再資源化を担う企業)」が、設備や技術を共同で活用する「協創型プラットフォーム(きょうそうがたプラットフォーム)」モデルの成立可能性を検証することにあります。
これまでのリサイクルは個々の企業がそれぞれ技術や設備を開発・運用することが多かったため、コストや効率、品質の面で限界がありました。しかし、この協創型プラットフォームでは、企業が垣根を越えて協力し、それぞれの強みを持ち寄ることで、より高品質な再生材を、より安く、より安定的に供給できる仕組みを目指します。
具体的には、以下の2つの取り組みを通じて、このモデルの有効性と課題を探ります。
- 協創型プラットフォームモデルの有効性評価:個社でリサイクルを行う場合と、プラットフォームで共同利用する場合を比較し、再生材の品質、コスト、供給安定性への効果を検証します。また、回収から再生利用までのサプライチェーン全体を対象に、関係事業者の役割分担や連携のあり方、運用上の課題を整理します。
- 共通サンプルを用いた剥離・脱墨技術の実証:複数の企業が開発する剥離・脱墨技術を、共通の軟包装材サンプルで実証します。これにより、それぞれの技術がプラットフォームに組み込まれた際の課題や検討事項を把握することを目指します。

この取り組みが拓く未来
MRIは、この実証を通じて得られる知見を整理し、協創型プラットフォームモデルの成立条件や運営上の課題を明確にしていきます。そして、その成果を社会実装や事業化、さらには他の分野への横展開へと繋げていくことを目指しています。
このモデルが確立されれば、再生プラスチックの利用が大きく拡大し、新たなプラスチックの使用量を減らすことができます。結果として、ごみ問題の解決だけでなく、地球温暖化対策にも貢献する持続可能な社会の実現に一役買うことでしょう。これはまさに、プラスチック資源循環の未来を大きく変える可能性を秘めた、知的でワクワクする挑戦と言えます。
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三菱総合研究所、プラスチック資源循環戦略に関する調査・検討を開始(2026年4月21日 MRIニュースリリース)
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