ティアフォーとAstemoが描く自動運転の未来:AI開発プラットフォーム共同開発で2030年代の自家用車搭載へ

自動運転の進化を加速する共同開発

自動運転の「民主化」をビジョンに掲げる株式会社ティアフォーと、自動車部品メーカーであるAstemo株式会社は、次世代自動運転システム向けソフトウェア開発プラットフォームの構築に向けた共同開発契約に合意しました。この共同開発は、AIが認知・判断・操作を一体で学習する「E2E型自動運転AIモデル」を、量産できる品質へと継続的に開発・改善することを目的としています。両社は、2030年頃の実用化を目指し、Astemoは2030年代前半にこのE2E型自動運転AIモデルを自家用車へ搭載することを目指しています。

TIER IVとAstemoのロゴ

E2E型自動運転AIモデルが切り開く新時代

近年、生成AIや基盤モデルの進化により、自動運転分野ではE2E型自動運転AIモデルが次世代の中核技術として注目されています。E2E型自動運転AIモデルとは、AIが周囲の状況を「認知」し、次にどう動くべきかを「判断」し、実際に車両を「操作」するという一連の流れを、一体として学習する技術です。

ティアフォーは、複雑な環境でも段階的に自動運転の適用範囲を広げていく「自動運転レベル4+」という概念を提唱しており、E2E型AIモデルはその実現に不可欠な要素となります。このモデルを実際に車に搭載できる量産品質まで高めるためには、自動車の安全基準や量産要件を満たすだけでなく、膨大な走行データを効率的に収集・加工・学習・評価し、AIモデルを継続的に改善できるような開発基盤(プラットフォーム)が不可欠です。

両社の強みが融合する開発体制

今回の共同開発は、ティアフォーとAstemoがそれぞれ持つ専門知識と技術を融合させるものです。ティアフォーは、自動運転用のオープンソースソフトウェア「Autoware」の開発を主導し、AIベースの自動運転レベル4の開発を世界的に推進しています。また、AIモデルの開発から運用までを一貫して管理し継続的に改善する「Co-MLOpsソリューション」の構築を進めています。

一方、Astemoは、ブレーキ、サスペンション、パワートレイン、先進運転支援システム(ADAS)などの量産開発や安全規格対応、車両への搭載要件に関する豊富な知見を持つ「Tier1サプライヤー」(自動車メーカーに直接部品やシステムを供給する一次請け企業)です。

両社はこれまでも、自動運転用のオープンソースソフトウェアの開発を推進する「The Autoware Foundation」や、ソフトウェア定義型車両の構築を目指す「SOAFEE」の活動を通じて協力してきました。また、ティアフォーが2024年1月に開始したCo-MLOpsプロジェクトにもAstemoは参画しており、自動運転AI開発におけるデータ共有プラットフォームの拡大で連携を深めています。

今回の合意は、ティアフォーのAI開発基盤技術とAstemoの量産車向けシステム開発の知見を組み合わせることで、E2E型自動運転AIモデルを量産品質へと継続的に進化させるための開発基盤構築を加速させるものです。

共同開発の具体的な取り組み

1. Co-MLOpsソリューションの活用による次世代開発プラットフォームの構築

ティアフォーは、共同でAIモデルの開発から運用までを管理・改善する仕組みであるCo-MLOpsソリューションの基盤技術「Co-MLOpsアーキテクチャ」のライセンスと関連技術をAstemoに提供します。両社はこれらを活用し、2030年頃の実用化を目指して、AIモデルのデータ収集、加工、学習、評価を統合し、継続的な改善を可能にするAstemoの次世代開発プラットフォームを構築します。これにより、Astemoは量産車両への搭載を前提とした品質・安全要件のもとで、E2E型自動運転AIモデルを社内で継続的に開発・改善できるようになります。

2. 自動運転レベル4+向けE2E型自動運転AIモデルの共同検討

両社は、上記の次世代開発プラットフォーム開発で得られた知見と技術資産を共有しながら、E2E型自動運転AIモデルの開発に必要な技術要件を整理し、中長期的なロードマップを協議します。Astemoは、この次世代開発プラットフォームを活用してE2E型自動運転AIモデルの高度化を進め、2030年代前半に「レベル4+」のE2E型自動運転AIモデルを自家用車へ搭載することを目指します。

両社が語る未来への期待

ティアフォーの代表取締役 執行役員CEOである加藤真平氏は、E2E型自動運転AIモデルの実用化には、量産品質の実現とAI開発基盤の進化が重要だと述べています。そして、Astemoとの共同開発を通じてオープンソースのエコシステムを広げ、安全で拡張性の高い自動運転の社会実装を推進していくことに期待を寄せています。

Astemo株式会社のエグゼクティブヴァイスプレジデント CTO & CISOである玉川裕氏は、次世代の自動運転システムにおいてE2E型AIモデルとその継続的な進化を支えるデータ中心のAI開発基盤が競争力の源泉になると考えています。ティアフォーとの技術開発を通じて、Astemoが進める「Internet of Vehicles Platform」の強化につなげ、自動車だけでなく他のモビリティ分野への展開も視野に入れているとコメントしています。

自動運転の民主化へ向けた一歩

今回の共同開発は、ティアフォーが掲げる「自動運転の民主化」というビジョンに向けた重要な一歩と言えるでしょう。オープンソースソフトウェア「Autoware」を基盤に、世界中のパートナーと連携しながら自動運転の可能性を広げ、より安全で持続可能な社会の実現を目指しています。この取り組みが、私たちの未来の移動体験をどのように変えていくのか、今後の進展に注目が集まります。