Physical AI開発の新たな扉を開く
近年、ロボットが人間の動きを学習したり、複雑な環境で自律的に行動したりする「Physical AI」の研究開発が世界中で進んでいます。しかし、この分野の発展には、ロボットの動作や周囲の環境を高精度に記録した「実世界データ」が不可欠です。従来のデータ収集方法では、ロボット自身がデータを収集するか、専用の設備が必要となることが多く、同期のずれや重さ、設置の制約といった課題がありました。
Orbbecが発表した新しいプラットフォームは、これらの課題を解決し、Physical AIの開発を大幅に加速させる可能性を秘めています。その最大の特長は、映像と動作データを1ミリ秒(1000分の1秒)という極めて高い精度で同期できる点と、約200グラムという軽量設計にあります。
ロボット不要で多様なデータ収集を実現
このプラットフォームは、主に以下の3つの製品を中心に構成されており、Physical AIに必要な多様なデータ収集シナリオをカバーします。
-
EGO: 第一人称視点でのデータ収集(まるで人間が見ているかのような視点)
-
WristCam: 手持ち型でのデータ収集
-
UMI: 手首に装着して、人間と物とのインタラクション(相互作用)データを収集
ROSCon JP 2026では、200万画素の魚眼カメラを2基搭載した「Dual-Egoプロトタイプ」が実演されました。このプロトタイプは、1ミリ秒以内の同期精度、最大1,000Hz(1秒間に1000回)で動作する6軸IMU(慣性計測ユニット:物体の動きや向きを測定するセンサー)、そして約200グラムという軽量設計により、モバイル環境での高精度なデータ収集を可能にします。これにより、人間が動きながらでも、同期された映像とモーションデータを正確に取得できます。
さらに、プラットフォームの中核製品の一つである「EGO RGB-D」シリーズは、独自の深度強化技術「LingBot-Depth」を組み合わせることで、透明な物体や反射する物体など、これまで深度(奥行き)情報の取得が難しかった対象物に対しても、高品質な深度データを取得できるようになりました。これは、ロボットが現実世界をより正確に認識するために非常に重要な技術です。
高品質なデータ収集を支える4つのコア技術
Orbbecは、高品質なデータ収集を大規模に展開するために、以下の4つのコア技術を強みとしています。
- 高精度マルチモーダルキャリブレーション: RGBカメラ、深度センサー、IMUなど複数のセンサー間で、空間的な位置関係をミリメートル単位で正確に合わせる技術(空間的一貫性)。
- ハードウェアレベルのマルチデバイス同期トリガー: 複数のデバイスがマイクロ秒レベル(100万分の1秒)でクロックを同期し、フレーム単位でぴったりとデータを合わせる技術(時間的一貫性)。
- 大規模量産・グローバル供給体制: 年間100万台規模の量産実績とデジタル品質管理、中国およびベトナムでの製造体制により、安定した製品供給を支えます。
- 高度な技術基盤と幅広い製品ラインアップ: RGB、構造化光、ステレオビジョン、ToF(Time-of-Flight)、LiDAR(レーザー光を使った測距技術)など、様々な方式の3Dビジョン製品を提供し、多様な用途に対応します。
すでに実用化も進行中
Orbbecの3Dビジョン技術は、すでに日本の大手企業とのパートナーシップを通じて実用化されています。例えば、日立のレジレス店舗ソリューション「CO-URIBA」(https://www.orbbec.com/case-studies/hitachi-co-uriba-empowering-retail-automation-with-orbbecs-advanced-camera-computer-technology/)や、日本の大手自動車メーカーが開発した病院向け自律搬送ロボット(https://www.orbbec.com/news/one-of-japans-top-3-automakers-ventures-into-robotics-with-orbbec-3d-vision/)にも採用され、その信頼性と性能が証明されています。
Orbbecアジア太平洋事業部責任者のFelix Zheng氏は、「日本は高度なロボット産業を有し、データ品質や導入・運用に対する要求水準も非常に高い市場です。今後も、お客様による実世界データ収集の効率的な大規模展開を支援してまいります。」と述べています。
このロボットレス型データ収集基盤は、Physical AIの研究者や開発者にとって、より手軽に、より高品質なデータを取得するための強力なツールとなるでしょう。これにより、自律型ロボットやスマートデバイスの進化がさらに加速し、私たちの日常生活や産業の未来に大きな変革をもたらすことが期待されます。
詳細はこちらをご覧ください。



