身体能力を拡張する「産業用外骨格」市場が急成長!2032年には1.7兆円規模へ、未来の働き方を変えるウェアラブルデバイスの今

2032年には1.7兆円規模へ!急成長する産業用外骨格市場

株式会社マーケットリサーチセンターの調査レポートによると、産業用外骨格の世界市場は、2025年の2億9,100万米ドル(約291億円)から、2032年には17億2,000万米ドル(約1,720億円)へと、驚異的な成長を遂げると予測されています。これは、2026年から2032年にかけて、年平均成長率(CAGR)29.0%という高い伸び率で市場が拡大していくことを意味します。CAGRとは、ある期間にわたる成長率を年間の平均で示したもので、この数値からも市場の活況ぶりがうかがえます。

2025年には、世界中で11,900台の産業用外骨格が生産され、平均単価は約25,000米ドル(約250万円)でした。この高成長の背景には、人手不足や高齢化社会といった社会課題があり、作業者の負担軽減と生産性向上が急務となっている現状があります。

「何がすごい?」産業用外骨格が変える働き方

産業用外骨格は、特に製造、組立、資材運搬、物流といった、力仕事や繰り返し作業が多い現場で活躍するウェアラブルデバイスです。着用することで、人間の筋力や持久力を強化し、身体的な負担を大幅に軽減します。これにより、作業効率が向上し、労働災害のリスクも減少するというメリットがあります。

外骨格には、大きく分けて二つのタイプがあります。

  • アクティブ外骨格: モーターやセンサー(物体の動きや向きを測る装置)を用いて、作業者の動きを補助し、重い物を持ち上げたり、長時間の作業を行ったりする際の負担を大幅に軽減します。まるで自分の体の一部のように自然に動けるよう設計されています。

  • パッシブ外骨格: 特殊な素材やメカニズムを利用して身体の動作をサポートしますが、自ら動く力は持ちません。主に重さを分散させたり、姿勢を保持したりするために使用されます。

これらの外骨格は、自動車や航空宇宙、電子機器組立といった製造業の生産ラインで、長時間の組立作業や高所作業の負担を減らします。また、宅配便や倉庫などの物流・倉庫業では、荷物の持ち運びやピッキング作業員の腰への負担を軽減し、効率を高めます。さらに、建設現場では、重い建築資材の運搬や工具の長時間保持を助け、作業員の身体的負荷と安全上のリスクを減らすことができます。

未来を支える技術の進化と課題

産業用外骨格は、様々な最先端技術が組み合わさってできています。

  • 素材技術: アルミニウム合金や炭素繊維といった、軽くて丈夫な素材が使われ、装着時の快適さを高めています。

  • センサー技術: 作業者の動きや意図を正確に読み取り、外骨格がそれに合わせて動くための重要な役割を果たします。慣性計測ユニット(IMU)や圧力・トルクセンサーなどが用いられます。

  • 動力システム: モーターや減速機、あるいは油圧・空圧システムといったアクチュエータ(電気や油圧などのエネルギーを物理的な動きに変える装置)が、外骨格の動きを生み出す力となります。高エネルギー密度のリチウムイオン電池(スマートフォンなどにも使われる高性能な充電式電池)も不可欠です。

  • 制御システムとAI: 外骨格の「頭脳」となる制御システムは、センサーからの情報を統合し、各関節のアクチュエータをリアルタイムで制御します。近年では、人工知能(AI)や機械学習(コンピューターがデータからパターンを学び、予測や判断を行う技術)が導入され、個々の作業者や作業条件に合わせて補助レベルを自動で調整できるようになっています。

しかし、この技術の普及にはまだいくつかの課題があります。高性能な外骨格システムは高価であり、多くの中小企業にとっては大きな投資リスクとなる可能性があります。また、既存の外骨格デバイスは重量があり、長時間の装着には慣れが必要な場合もあるため、快適性や適応性の向上が今後の重要なテーマとなっています。

労働環境を改善し、社会の課題を解決する可能性

人件費の高騰が進む中で、多くの企業が労働者の負担を軽減し、効率を向上させる解決策を求めています。産業用外骨格は、反復的な肉体労働による健康への影響を大幅に軽減し、従業員により快適で安全な働き方を提供します。また、労働力の高齢化が進む日本のような社会では、高齢の従業員がより長く、より良いサポートを受けて働けるようにすることで、貴重な労働力を維持することにも貢献するでしょう。

政府や企業が従業員の安全をますます重視するようになるにつれて、産業用外骨格の導入を促進する政策的支援も期待されます。これにより、外骨格の市場浸透は今後数年間でさらに加速すると予想されています。

産業用外骨格は、単なる作業補助ツールにとどまらず、生産性の向上、労働災害の削減、そして高齢化社会における労働力の確保といった、多岐にわたる社会課題を解決する可能性を秘めています。今後の技術の進展と普及によって、私たちの働き方は大きく変わっていくことでしょう。

レポート詳細

本調査レポート「産業用外骨格の世界市場2026年~2032年」に関するお問い合わせ・お申込みは、下記より可能です。

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