名城大学がカーボンニュートラル研究交流会を開催、脱炭素社会実現へ向けた最新研究が集結
2026年7月29日、名城大学天白キャンパスにて「第11回学内研究交流会」が開催されました。名城大学カーボンニュートラル研究推進機構が主催するこの交流会には、教員や学生61名が参加し、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質的な排出量をゼロにすること)に関する研究成果や最新動向について理解を深め、分野を超えた活発な交流が行われました。

開会にあたり、大野栄治カーボンニュートラル研究推進機構長は、学内連携を通じた研究のさらなる発展の重要性を強調しました。
脱炭素社会の鍵を握るエレクトロニクス技術
交流会の第1部では、2014年ノーベル物理学賞受賞者である名城大学特別栄誉教授・学術アドバイザーの天野浩教授が、「脱炭素社会実現に向けたエレクトロニクスの役割」と題して講演しました。

天野教授は、地球温暖化やエネルギー問題の深刻化を背景に、カーボンニュートラルを実現するためには、エネルギーをいかに効率よく利用するかが不可欠であり、その中心的な役割をエレクトロニクス(電子工学や電子技術全般を指し、半導体や電子部品を用いた技術)が担うと説明しました。
かつて青色LED(青い光を発する発光ダイオード)の開発が照明の省エネルギー化を大きく進めたように、「次の段階は電力をいかに効率よく制御し、利用するか」であると指摘。脱炭素社会を支える次世代半導体技術の重要性について解説しました。

再生可能エネルギーの導入拡大やAI・データセンターの普及に伴い、今後さらに電力需要が高まることが予想されます。この電力需要の増加に対応し、社会全体の電力変換効率を向上させることが大きな課題です。その解決策として、天野教授は窒化ガリウム(GaN)や炭化ケイ素(SiC)を用いた次世代パワー半導体(電力の変換や制御を行う半導体素子)を紹介しました。
これらの新素材を用いた半導体は、従来のシリコン半導体に比べて電力損失を大幅に低減し、機器の小型化と高効率化を実現します。これにより、再生可能エネルギーの有効活用や送配電システムの高度化に貢献することが期待されています。

窒化ガリウムを用いたパワーデバイスの開発は、文部科学省の支援を受けたオールジャパン体制での研究や企業との共同開発が進められている段階です。天野教授は「研究成果を社会実装(研究で得られた成果を、実際に社会で役立つ製品やサービスとして実現すること)につなげるためには、大学・企業・行政が連携して取り組むことが重要である」と述べ、名城大学も参画する産学連携の取り組みの意義を強調しました。
気候変動対応と次世代材料の探求
第2部では、2025年度FS共同研究採択課題の研究成果が報告されました。薬学部の坂井健男教授は「気候変動時の適応策として:広い抗菌スペクトラム獲得に向けたアニオン性抗菌活性化合物の構造活性相関研究」と題して発表。気候変動によって変化する感染症リスクに対応するため、新たな抗菌活性化合物(細菌の増殖を抑えたり、殺菌したりする作用を持つ化学物質)の創製に向けた研究成果が紹介されました。

続いて、理工学部の丸山隆浩教授が「カーボンチェーンの高効率合成と物性評価」について講演しました。カーボンチェーン(炭素原子が鎖状に連なった構造を持つ物質)は、次世代材料として注目されており、その高効率合成技術や物性評価に関する最新の研究成果が示されました。基礎研究の段階から将来的な幅広い応用可能性が提示され、参加者は熱心に聴講しました。

研究成果報告の後には、カーボンニュートラル研究推進機構からFS共同研究費の募集について説明が行われ、研究分野の枠を超えた新たな共同研究の創出に向けた積極的な応募が呼びかけられました。

今回の交流会は、脱炭素社会の実現に向けた最先端の研究や学内の研究成果が共有される貴重な機会となりました。教員と学生が分野を超えて交流することで、新たな研究のアイデアや連携が生まれるきっかけとなるでしょう。




