日本の次世代半導体市場が急成長!EVやデータセンターを支えるGaN/SiC技術の未来

日本のGaNおよびSiCパワー半導体市場が急成長、2035年には75億米ドル規模へ

電気自動車(EV)の普及やデータセンターの需要拡大、そして持続可能な社会の実現に向けた動きが加速する中、日本の次世代パワー半導体市場が大きな注目を集めています。

Research Nesterの調査レポートによると、日本のGaN(窒化ガリウム)およびSiC(炭化ケイ素)パワー半導体市場は、2025年に18億米ドルを超え、2035年末までには75億米ドルに達すると予測されています。この10年間で年平均成長率(CAGR)15.4%という目覚ましい拡大が見込まれており、私たちの生活を支える重要な技術としてその存在感を高めています。

日本のGaNおよびSiCパワー半導体市場ーレポートの要点

GaNとSiC、「すごい」次世代半導体とは?

「GaN」や「SiC」という言葉を初めて聞く方もいるかもしれません。これらは、従来の半導体の主流であったシリコン(Si)に代わる新しい材料を使った「パワー半導体」です。

パワー半導体とは、電力の変換や制御を行う電子部品のことで、電気自動車のモーター制御や充電器、データセンターの電源など、身の回りの多くの電気製品やインフラに不可欠な存在です。

GaNやSiCの「すごい」点は、従来のシリコンに比べて、より高い電圧や電流、そして高温に耐えられることです。これにより、電力の無駄を減らして効率を高め、機器をより小さく、よりパワフルにすることが可能になります。例えば、EVの充電時間を短縮したり、データセンターの消費電力を抑えたりと、私たちの暮らしをより豊かに、そして環境に優しくする可能性を秘めています。

カーボンニュートラルとEV普及が成長を加速

日本のGaNおよびSiCパワー半導体市場の成長を牽引する大きな要因の一つが、2050年までのカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)実現という目標です。

この目標達成には、電気自動車(EV)の普及が不可欠であり、それに伴う充電インフラの整備が急務とされています。具体的には、公共利用向けの急速充電器3万基を含む、合計15万基の充電設備を設置することが最終的な目標です。EVの充電サービス産業の拡大も予想されており、GaNやSiCパワー半導体は、EVの効率的な電力変換や急速充電器の小型・高効率化に貢献することで、この大きな流れを強力に後押ししています。

データセンターとAI需要が東京市場を牽引

もう一つの成長ドライバーは、産業システムやAIデータセンターからの需要増加です。

データセンターとは、大量のサーバーやネットワーク機器を収容し、データ処理や情報通信サービスを提供する施設のこと。インターネットやAIが私たちの生活に深く浸透するにつれて、データセンターの重要性は増すばかりです。国内のデータセンター市場は、2022年の3.2兆円規模から2026年には4.0兆円を超えると予測されており、年平均成長率は5.5%に達する見込みです。

特に東京は、企業戦略や技術革新、そしてデータセンター需要の集中により、日本のGaNおよびSiCパワー半導体市場において最大のシェアを占めると見込まれています。政府によるデジタル化推進や積極的な投資も、この市場の成長を加速させています。

車載分野でSiCパワーモジュールが主役に

製品カテゴリー別に見ると、「SiCパワーモジュール」が予測期間中に43.2%という最大のシェアを占めると予測されています。

SiCパワーモジュールは、高い電圧や高温環境下でも安定して動作する堅牢性(壊れにくさ)と熱効率の高さが特徴です。特に電気自動車のトラクションインバーター(バッテリーの電力をモーターに変換する装置)や車載充電器といった、高い性能が求められる用途で極めて重要な役割を果たしています。

既存のパワートレイン設計への組み込みが容易であることも、自動車メーカーでの採用を加速させています。一方、GaNデバイスは、データセンター用電源やスマートフォンの急速充電器など、低電圧で高速なスイッチングが必要な用途で強みを発揮しています。

国内企業も次世代半導体開発を加速

日本の主要企業も、この次世代半導体技術の開発と実用化に積極的に取り組んでいます。最近の具体的な動きとしては、以下のような事例が挙げられます。

  • 2025年3月、サンケン電気株式会社は、低発熱・高速スイッチング・高耐圧を実現するGaNパワーデバイスの開発を加速させるため、株式会社パウデック(POWDEC K.K.)の株式を取得しました。

  • 2022年11月、ローム株式会社は、電気自動車(EV)の電動駆動ユニットに搭載するSiCパワーモジュールおよびインバータについて、マツダ株式会社および株式会社今仙電機製作所と共同開発契約を締結しました。

これらの動きは、GaNおよびSiCパワー半導体が既に研究段階を超え、実用化が加速していることを示しています。

未来を形作る日本の技術

日本のGaNおよびSiCパワー半導体市場は、今後も私たちの生活に深く関わる様々な分野でイノベーションを推進していくことでしょう。EVの性能向上や充電時間の短縮、データセンターの省エネルギー化による環境負荷の低減、さらには電子機器の小型化や高効率化など、その恩恵は多岐にわたります。高効率で高速なデバイスの普及に伴い、最新の測定・試験ソリューションや、正確な測定・熱管理を実現する革新的な技術へのニーズも高まっています。

日本の企業がこの次世代半導体技術をリードし、持続可能でより便利な社会の実現に貢献していく未来は、きっとすぐそこまで来ています。

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