名城大学、高校生が未来のロボットに触れる「サイエンス実践塾」で最先端研究を体験

ロボットと共存する未来への一歩

この体験研究室は、高校生が研究開発施設での実習や見学、理工系大学生・研究者との交流を通じて、将来のキャリアビジョンを考えるきっかけを提供するために、2022年度から開催されています。今年度は、「名古屋大学・オークマ株式会社」「中京大学・三菱電機株式会社」「名城大学・株式会社シンテックホズミ」の3コースが設けられました。

名城大学のコースでは、大原教授が「人と共存するロボット」をテーマに、ロボットの仕組みとその可能性について解説しました。

VRヘッドセットを装着した学生が仮想現実コンテンツを操作しており、他の学生たちがその様子を見守っている。研究室のような環境で、VR技術のデモンストレーションか授業が行われている様子。

ロボットが「賢く」なるための4つの要素

講義の中で大原教授は、「AIがどんなに進歩しても、ロボットは人から教えられなければ何もできない」と語り、サービスロボットシステムを構成する主要な要素について詳しく説明しました。

会議室で男性がマイクを持ってプレゼンテーションを行っており、聴講者が熱心に耳を傾けている様子。

ロボットが周囲を認識し、行動するための要素は以下の4つです。

  • Vision(視覚): カメラやセンサーを使って、周囲の環境や物体を認識する技術。人の「目」に当たります。

  • Manipulation(操作): ロボットアームなどを使って物体をつかんだり、動かしたりする動作を生成する技術。まだ課題が多い研究領域です。

  • Communication(対話): 音声認識などによって、人からの指示を理解し、他の機能に動作を伝える技術。

  • Navigation(移動): 地図情報とセンサーデータから自分の位置を推定し、目的地まで移動する技術。壁や障害物を避けながら進みます。

これらの技術はそれぞれが大きな研究領域であり、一台のロボットを作るには、これらを組み合わせて活用する必要があります。技術の進歩やAIの活用によりロボットは進化していますが、特に「Manipulation」の分野には、まだ多くの研究課題が存在します。

サービスロボットシステムの構成要素について解説するプレゼンテーションスライドの画像。ロボットの通信、ナビゲーション、視覚、マニピュレーション機能が図解されており、聴衆が画面を見ている様子が捉えられています。

高校での学びが未来を拓く

大原教授は、高校で学ぶ各科目が大学での研究にどのように繋がるかについても言及しました。AIの基礎には数学が不可欠であり、物理で学ぶ力学や電磁気学は、ロボットの制御やモーターの知識に直結します。また、研究には国境がなく、コミュニケーションや研究成果を発表するためには、英語や国語の力も重要であると強調しました。「受験のためだけでなく、将来に役立つという意識を持って学習に取り組んでほしい」と高校生に呼びかけました。

講義の終盤では、「30年前には、スマートフォンで通話するような世界は誰も想像できませんでした。皆さんが今の私の年齢になる2050年には、どのような世界が広がっているでしょう。ぜひ、一緒に研究開発に取り組みましょう」と語りかけ、未来への期待と参加を促しました。

ロボットとの対面と実践体験

講義後には、大原研究室で実際に研究されているロボットのデモンストレーションが行われました。参加した高校生たちは、興味深そうに目の前で動くロボットの様子を見学しました。

研究室で学生が白いヒューマノイドロボットを操作している様子。卓上の物体を動かすロボットを、別の学生が見守っている。

テーブルを挟んで人物とヒューマノイドロボットが向かい合っている。ロボットはトレイを持ち、テーブルには除菌ウェットティッシュが置かれている。サービスロボットの活用やデモンストレーションの場面を示す一枚。

研究室らしき場所で、数人の学生や関係者が見守る中、ロボットアームがオレンジ色の容器の上で作業を行っています。棚には包装された食品のようなものが見え、ロボットの動作を観察している様子が伺えます。

さらに同日午後には、大原教授が共同研究を行う株式会社シンテックホズミにて、「無人搬送ロボットを動かそう!」と題した体験プログラムも実施されました。これにより、高校生たちは最先端の研究だけでなく、実際に現場で活用されているロボット技術にも触れることができました。この経験が、彼らが将来の理工系キャリアを考える上で、大きな刺激となったことでしょう。