製造現場の「持ち上げのプロ」!エアバランサー市場が2035年に45億米ドル規模へ成長予測

製造現場の負担を軽減するエアバランサー

工場や倉庫では、日々多くの重い部品や製品が扱われています。これらの重量物を人力で繰り返し持ち上げたり、精密な位置に移動させたりする作業は、作業者の身体に大きな負担をかけ、怪我のリスクも伴います。そこで活躍するのが「エアバランサー」です。

エアバランサーとは、空気圧や電気の力を利用して、重い荷物をまるで無重力のように軽々と持ち上げたり、狙った位置に正確に動かしたりできる装置です。これにより、作業者の負担を大幅に減らし、作業の安全性と効率を同時に高めることができます。

成長を続けるエアバランサー市場

SDKI Analyticsが実施した調査によると、エアバランサー市場は今後も堅調な成長が見込まれています。2025年には約24.5億米ドルだった市場規模(収益額)が、2035年には約45億米ドルに達すると予測されており、この期間の年平均成長率(CAGR)は約6.3%と見込まれています。CAGRとは、ある期間における平均的な成長率を示す指標で、毎年どれくらいのペースで市場が拡大しているかを表します。

エアバランサー市場の成長予測

この成長の背景には、主に二つの大きな要因があります。

1. 工場設備の拡充と製造生産量の拡大

世界中で工場設備の近代化や生産能力の拡大が進んでいます。特に製造業では、自動車部品、電気機器、重機など、重量のある部品を効率的に製造・運搬する必要があり、エアバランサーのような昇降・資材搬送機器の需要が高まっています。

2. 労働安全意識の高まり

製造現場における労働安全の確保とリスク低減は、企業の重要な課題です。重量物の反復的な持ち上げや位置決め作業は、腰痛などの身体的な不調を引き起こす原因となります。エアバランサーは、こうした身体的負担を軽減し、作業者の安全性を向上させるための「エンジニアリング・コントロール」(技術的対策)として注目されています。エンジニアリング・コントロールとは、職場での危険を減らすための具体的な技術的工夫や装置のことです。

最新技術動向と主要企業の取り組み

エアバランサー市場では、技術革新と製品開発が活発に行われています。

  • 2025年7月、大手クレーンメーカーであるKonecranesは、フィンランドの日立エナジー新製造施設向けに、SMARTONやSシリーズを含む産業用クレーン39基を受注しました。これは、製造現場の効率化と安全性の向上に貢献するものです。

  • 2024年1月には、Endo Kogyo Co. Ltd.が「Robodex」という展示会で電動・空気圧式バランサーやサーボバランサーのデモンストレーションを実施し、その性能をアピールしました。

  • 同じく2024年1月、Ingersoll Randは、人間工学、操作の快適さ、生産性の向上を目指した「無重力世代2.0バランサー」の発売を発表しました。これらの製品は既に実用化されており、現場での作業効率と安全性を高めています。

空気圧式エアバランサーが市場を牽引

製品タイプ別に見ると、空気圧式エアバランサーが市場の大部分を占めると予測されています。その信頼性の高さ、費用対効果、そして産業オートメーションラインへの統合のしやすさが評価されており、2035年には全体の55%のシェアを占める見込みです。Ingersoll Randが発表した無重力世代2.0バランサーも空気圧式であり、この分野での技術革新が進んでいます。

世界と日本の市場動向

地域別では、北米市場が予測期間中に32%という堅調な収益シェアを占めると予想されています。米国では国内製造業の拡大と回帰が進んでおり、海外からの直接投資も増加しています。これにより、自動車部品、電気機器、重機などの製造現場でエアバランサーの需要が高まっています。

日本においても、構造的な労働力不足は深刻な課題であり、製造現場の効率化と省人化が求められています。エアバランサーは、こうした課題を解決し、作業者の負担を軽減しながら生産性を維持・向上させるための重要なツールとして、今後ますますその存在感を増していくでしょう。

エアバランサー市場のさらなる詳細については、以下のレポートをご覧ください。
エアバランサー市場レポート