日本の中小企業として初、二足歩行型ヒューマノイドロボットを「新卒総合職」として採用
長野県に本社を置く株式会社カクイチと、東京都の株式会社Play Roboticsは、二足歩行型ヒューマノイドロボットを「新卒総合職」として採用する共同プロジェクトを立ち上げました。この画期的な取り組みは、日本国内の中小企業において初となります。
2027年4月には、二足歩行型ヒューマノイドロボット「宮澤ノア」(Unitree社製 G1)が、人間の新卒社員と同じようにカクイチに入社する予定です。このロボットは、特定の部署や業務に限定されず、工場、営業、教育、安全管理など、複数の部門で研修と実務経験を積みながら、継続的に育成されていく計画です。

なぜ今、ロボットを「新卒総合職」として迎えるのか
このプロジェクトの背景には、日本が直面する人口減少と人手不足という社会課題があります。今後、人とロボットが一緒に働くことは、ごく当たり前の光景になっていくと予想されています。しかし、ただロボットを導入するだけでは、現場の課題解決にはつながりません。ロボットの特性を理解し、自社の仕事に合わせてロボットを「育て」、使いこなせる人材が社内にいることが不可欠であると考えられています。
本プロジェクトでは、カクイチの社員が二足歩行型ヒューマノイド(人間のような形をしたロボット)を扱う技術や発想を習得し、工場や営業所など、それぞれの現場が抱える課題に応用できるようになることを目指しています。これは、ロボットを「道具」としてではなく、「共に成長する仲間」として捉える新しい働き方の提案と言えるでしょう。
プロジェクトの進捗と未来への展望
プロジェクトには、株式会社カクイチ、カクイチ建材工業株式会社、株式会社カクイチ製作所の3社から10名以上の社員が参加しています。Play Robotics取締役CTOの横山皓大氏の技術支援のもと、二足歩行型ヒューマノイドの基礎技術を学び、実機を使った開発が進められています。

最初の大きな目標は、宮澤ノアが人間の新入社員と共にカクイチの入社式に出席することです。入社式はあくまでスタート地点であり、その後は実際の現場で様々な仕事を経験し、できることを増やしていく研究段階です。宮澤ノアが新しい技術や仕事を身につけていく過程は、両社のニュースリリースやホームページなどを通じて継続的に発信される予定です。
将来的には、このプロジェクトで得られた技術、安全性、組織づくりに関する知見を蓄積し、同じような課題を抱える中小企業への二足歩行型ヒューマノイド導入・活用支援を事業化することも検討されています。
新しい仲間「宮澤ノア」に込められた意味
新入社員として迎えられる二足歩行型ヒューマノイドには、「宮澤ノア」という名前が付けられました。「宮澤」は、農業と芸術を結びつけ、生涯を通じて人と自然のよりよいあり方を問い続けた宮沢賢治に由来しています。カクイチグループは宮澤家と縁があり、宮沢賢治の思想が、農業に深く関わりながら人や社会の未来を考え続けてきたカクイチの姿勢と重なる部分があるため選ばれました。
そして「ノア」には、カクイチのミッションである「こたえのない問いにこたえ続ける」から、「No Answer」という意味が込められています。ヒューマノイドとの共働にはまだ明確な「正解」がないため、最初から答えを決めるのではなく、人と一緒に学び、失敗し、可能性を広げながら、これからの働き方をつくっていきたいという思いが込められているのです。

株式会社カクイチの代表取締役社長である田中離有氏は、「ヒューマノイドを単なる機械としてではなく、一人の新卒社員として迎える。社員が仕事を教えながら、できることを一つずつ増やし、ともに育っていけばいい」とコメントしています。このプロジェクトが、予期せぬ発想や新しい事業を生み出す「余白」となることに期待が寄せられています。
株式会社カクイチについて

株式会社カクイチは、1886年に長野県で創業しました。ガレージ・倉庫などの鉄鋼製品や産業用ホースの製造・販売を中心に、太陽光発電、農業改善、ミネラルウォーター、ホテルなど多岐にわたる事業を展開しています。創業以来培ってきたものづくりの力を基盤に、AIやロボティクスなどの新しい技術を積極的に取り入れ、人とテクノロジーが共に成長できる企業づくりを進めています。
- 公式サイト: https://www.kaku-ichi.co.jp/
株式会社Play Roboticsについて
株式会社Play Roboticsは、二足歩行型ヒューマノイドロボットに関する技術と安全設計の知見を提供し、本プロジェクトにおいて、メンバーの育成から実機を用いた開発、現場への導入・運用までを継続的に支援しています。
- お問い合わせフォーム: https://play-robotics.com/contact
このプロジェクトは、人口減少社会における新しい働き方を模索し、人とロボットが共存する未来の職場環境を創造する、日本における重要な一歩となるでしょう。



