Carbon Xtractが新体制で資金調達:大気中のCO₂を「資源」に変える革新技術m-DAC®とは?

大気中のCO₂を直接回収する革新技術「m-DAC®」が社会実装へ加速

大気中の二酸化炭素(CO₂)を直接回収し、新たな資源として活用する技術を開発する九州大学発スタートアップ、Carbon Xtract株式会社が、2026年8月14日付でプレシリーズAラウンド(1st Close)の資金調達を実施しました。創業経営陣に加え、フェムトパートナーズ、GxPartners、国立大学法人九州大学を引受先とし、これにより経営陣が議決権の過半数を保有する新たな経営体制へと移行します。この新体制のもと、地球温暖化対策の切り札となりうる「m-DAC®」技術の社会実装を加速させます。

Carbon Xtract

「空気清浄機のようにCO₂を回収」m-DAC®の仕組み

Carbon Xtractが開発する「m-DAC®(エムダック)」は、「membrane-based Direct Air Capture」の略で、日本語では「膜分離直接空気回収技術」と訳されます。これは、特殊なガス分離膜を用いて、大気中からCO₂を選択的に分離・回収するシステムです。まるで空気清浄機が室内の空気をきれいにするように、m-DAC®は空気中のCO₂を取り除きます。

この技術の大きな特徴は、加熱を必要としないシンプルな構造にあります。従来のCO₂回収技術には、多くのエネルギーを消費するものや大規模な設備が必要なものもありますが、m-DAC®は省エネルギーで小型化が可能であり、様々な場所に分散して設置できる点が画期的です。これにより、CO₂回収のコスト削減と導入のしやすさが期待されています。

資金調達の背景と今後の展望

地球温暖化は予測を超えるスピードで進行しており、気候変動対策と脱炭素ソリューションの迅速な社会実装が強く求められています。Carbon Xtractは、こうした市場の要請に機動的に応え、事業拡大のスピードを一層高めるために今回の資金調達に踏み切りました。

調達した資金は、m-DAC®の社会実装に向けた実証実験、量産体制の構築、そして研究開発・事業開発・事業運営を担う人材の採用強化に充てられます。これにより、現在は研究開発段階にあるm-DAC®技術の実用化を加速させ、社会への普及を目指します。

なお、創業株主である双日株式会社とは、引き続き事業連携パートナーとして、技術の実装と市場開拓に向けた協業を継続していくとのことです。

CO₂を「資源」として活用する未来

Carbon Xtractが目指すのは、単にCO₂を回収するだけでなく、回収したCO₂を「資源」として活用し、炭素が循環する社会を実現することです。大気中から回収されたCO₂は、現在、農業分野での植物育成促進や、飲料の炭酸ガスとしての利用が検討されています。将来的には、燃料などへの変換も視野に入れ、幅広い用途での利活用を進めていく計画です。

同社は、「いつでも・どこでも・誰でも」炭素を資源として活用できる資源循環社会の実現を掲げています。このビジョンは、地球温暖化の進行を抑えるだけでなく、炭素を新たな価値を持つ資源へと転換することで、私たちの暮らしや産業に貢献する可能性を秘めています。

各投資家や経営陣も、この革新的な技術とビジョンに大きな期待を寄せています。

  • フェムトパートナーズ 磯崎 哲也氏は、世界トップレベルの分離膜技術を活用し、CO₂の回収・資源化を目指す経営陣の熱い志に共感し、リード投資家として投資したと述べています。

  • GxPartners 中原 健氏/大曲 俊輔氏は、Carbon Xtract社の独自膜分離技術が、省エネと量産性を両立する点でこれまでにないソリューションであると評価しています。

  • 国立大学法人九州大学 副理事 大西 晋嗣氏は、九州大学の研究成果の社会実装に向けて着実に歩みを進めていることを心強く感じ、さらなる成長と事業拡大に期待を寄せています。

Carbon Xtractの代表取締役社長である森山哲雄氏は、今回の発表を「第二創業期」の新たなスタートと位置づけ、最速での社会実装に向けて邁進していくとコメントしています。また、取締役CTOで九州大学主幹教授の藤川茂紀氏は、長年取り組んできた膜分離技術が社会実装に向けた一歩を踏み出すことに喜びを表明し、世界トップレベルの技術を確かな製品へと磨き上げることに意欲を示しています。

Carbon Xtractの取り組みは、地球規模の課題解決に貢献するディープテック・スタートアップとして、今後も注目されるでしょう。