日本の超音波診断装置市場が大きく成長へ!AIとポータブル化で医療はどう変わる?
医療現場で欠かせない役割を果たす超音波診断装置は、私たちの体の内部を安全に画像化し、病気の早期発見や健康状態の把握に貢献しています。この重要な市場が、これから大きく成長していくことが予測されています。
2035年には8億3,460万米ドル超へ
Research Nesterの調査によると、日本の超音波診断装置市場は、2025年には5億1,310万米ドルの規模でしたが、2035年末までには8億3,460万米ドルを超えると予測されています。2026年から2035年までの予測期間中、この市場は年平均成長率(CAGR)4.7%で成長を続ける見込みです。CAGRとは、ある期間における年間の平均的な成長率を示す指標で、着実な市場拡大を示唆しています。
この成長の背景には、日本の急速な高齢化があります。高齢になると、心血管疾患やがんといった慢性疾患のリスクが高まります。World Heart Observatoryのデータでは、2024年時点で日本における心血管疾患による死者数は41万300人に上り、高血圧の有病率も高いことが報告されています。こうした状況から、非侵襲的(体を傷つけない)で安全な診断ツールである超音波診断装置の需要が、今後ますます高まると考えられます。
また、病気になる前に予防する「予防医療」への注目が高まっていることや、病気を早期に発見することの重要性が広く認識されていることも、市場の成長を後押しする要因です。
AIとポータブル化がもたらす革新
超音波診断装置の進化は目覚ましく、特に以下の2つの技術が注目されています。
1. AI(人工知能)による画像解析の高度化
AIとは、コンピューターが人間の知能を模倣する技術のこと。超音波診断装置にAIが導入されることで、撮影された画像の解析がより高度になり、病変の自動検出や診断支援が可能になります。これにより、医師はより正確で迅速な診断を下せるようになり、見落としのリスクを減らすことにもつながります。これは、診断の質を飛躍的に向上させる「すごい」進化と言えるでしょう。
2. ポータブルなポイント・オブ・ケア(POC)システムの普及
ポイント・オブ・ケア(POC)システムとは、医療現場で患者さんのすぐそばで行われる検査や診断のことです。従来の超音波診断装置は大型で据え置き型が主流でしたが、最近では持ち運び可能なポータブル型の開発が進んでいます。これにより、病院の診察室だけでなく、救急現場、地域医療、さらには在宅医療など、さまざまな場所で手軽に超音波診断が行えるようになります。これは、医療へのアクセスを改善し、必要な時に迅速な診断を受けられるようになる点で、私たちの生活に「役立つ」大きな変化です。

最新の製品発表
このような技術革新は、すでに具体的な製品として実用化が進んでいます。
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2026年5月には、オリンパス株式会社とキヤノンメディカルシステムズUSA社が、最新の「超音波内視鏡画像処理技術」を搭載したプレミアム超音波診断装置「Aplio i800 EUS」を発表しました。超音波内視鏡とは、内視鏡の先端に超音波装置がついており、消化管の内側から病変をより詳細に観察できる技術です。
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2025年9月には、Southwood社がPremo Partner社と共同で、ポータブル超音波診断装置「Butterfly iQ3」の日本での販売を開始しました。これにより、より多くの医療従事者が手軽に高性能な超音波診断を行えるようになります。
これらの新しい製品は、診断の精度を高めるとともに、医療現場の効率化にも貢献することが期待されます。
東京が牽引する市場と未来への期待
Research Nesterの分析では、日本の超音波診断装置市場において、東京が最大のシェアを占めると見込まれています。東京には、革新的な医療技術を推進する医療機関や研究機関が集積しており、高齢者人口も多く、心血管疾患の有病率も上昇傾向にあります。
また、東京都は「医工連携ハブ」のような施策を通じて、医療と工学の連携を積極的に推進しています。これは、製造技術力と臨床現場のニーズを結びつけ、新しい医療機器の開発や技術の高度化を促進する取り組みです。このような環境が、超音波診断装置のさらなる進化と普及を後押しし、医療アクセスの課題解決にも貢献していくでしょう。
超音波診断装置の進化は、私たちの健康寿命を延ばし、より質の高い医療を身近なものにしてくれる可能性を秘めています。AIによる診断支援やポータブル機器の普及によって、病気の早期発見が加速し、予防医療がさらに充実する未来がきっと訪れるでしょう。



