日本の透析機器市場が大きく成長へ:2035年に27.2億米ドル規模と予測
日本の透析医療は、今後大きな変革期を迎えるかもしれません。株式会社マーケットリサーチセンターが発表した最新の調査レポート「透析機器の日本市場(2026年-2035年)」によると、日本の透析機器市場は2025年の16.1億米ドルから、2035年には27.2億米ドルへと拡大すると予測されています。これは、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)5.4%で安定した成長を続けることを意味します。

なぜ市場は成長するのか?
この市場成長を牽引する主な要因は多岐にわたります。
1. 高齢化と慢性腎臓病(CKD)患者の増加
日本は世界でも有数の高齢社会であり、これに伴い慢性腎臓病(CKD)の患者さんが増え続けています。CKDとは、腎臓の機能が徐々に低下していく病気で、進行すると透析治療が必要になります。糖尿病や高血圧といった、腎臓の機能悪化につながる基礎疾患を持つ人が増えていることも、透析需要を押し上げる要因となっています。
2. 透析技術の高度化
医療技術の進歩も市場成長を後押ししています。より安全で効率的な透析機器や治療法が開発され、患者さんの負担軽減や治療効果の向上が期待されています。
3. 政府による医療インフラ・腎代替療法への支援
政府の医療インフラ整備や腎代替療法(透析や腎移植など、腎臓の機能を補う治療法)への支援も、市場の下支えとなっています。
透析機器の種類と進化:在宅治療の可能性
透析治療には主に「血液透析(Hemodialysis)」と「腹膜透析(Peritoneal Dialysis)」の2種類があります。
血液透析(Hemodialysis)
血液を体外に取り出し、人工腎臓(ダイアライザーというフィルター)で老廃物や余分な水分を取り除いてきれいにして体に戻す治療法です。日本では、専門の医療機関で行われる「施設内血液透析装置」が広く普及しており、需要の中心となっています。しかし、通院の負担を減らし、より柔軟な治療を可能にする「在宅血液透析装置」も、今後成長する余地があると考えられています。
腹膜透析(Peritoneal Dialysis)
患者さんのお腹の中にある腹膜という膜を使って血液をきれいにする治療法です。この治療は在宅で行いやすく、患者さんのライフスタイルに合わせた治療がしやすいという特徴があります。血液透析に比べると市場規模は小さいものの、患者さんを中心とした腎ケアが進むにつれて、その存在感を増していく可能性があります。
注目される携帯型・小型透析装置
未来の透析医療を考える上で、特に注目されているのが「携帯型・小型透析装置」です。これまでの透析治療は、大規模な施設で行うのが一般的でした。しかし、小型の装置が実用化されれば、患者さんは自宅や外出先など、より自由な場所で治療を受けられるようになります。これにより、通院にかかる時間や身体的な負担が大幅に軽減され、生活の質(QOL)の向上が期待されます。
市場を支える企業と技術革新
透析機器市場では、Fresenius Medical Care、Baxter、B. Braun Melsungenといった国際的な大手企業に加え、Nipro、Nikkiso、Toray Medical、Asahi Kaseiといった日本の企業も重要な役割を担っています。特にNiproは、2024年4月に人工腎臓の生産能力を倍増させるために約10億米ドル規模の投資を行い、世界的な透析需要の増加に対応する製造基盤の強化を進めているとされています。透析治療においては、装置本体だけでなく、継続的に交換・使用されるダイアライザーや血液回路といった消耗品の安定供給が非常に重要であり、生産能力は企業の競争力に直結します。
2035年に向けた透析医療の未来像
日本の透析機器市場は、高齢化や慢性腎臓病の増加という社会的な背景のもと、着実に成長していくと予測されます。施設を中心とした大規模な血液透析が主流である現状は維持されつつも、今後は在宅での治療や携帯型透析装置の普及により、患者さんの生活に寄り添った、より柔軟な腎ケアへと徐々に広がっていくでしょう。この進化は、透析を必要とする多くの人々にとって、より質の高い生活を送るための希望となるはずです。
この調査レポートについて、さらに詳しい情報やお問い合わせは、株式会社マーケットリサーチセンターのウェブサイトをご確認ください。
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