「環境価値の可視化」が企業にもたらす変革
Spatial Pleasureの講演の中心となるのは「その削減は、誰のものか」という問いです。これまで、公共交通の利用や電動化によって生まれるCO₂削減という「環境価値」は、主に交通事業者、つまり削減を「つくる側」の取り組みとして認識されてきました。
しかし、通勤や出張、物流といった企業活動に伴う移動は、その企業のサプライチェーン排出量(Scope 3)に深く関わります。サプライチェーン排出量(Scope 3)とは、自社が直接排出するCO₂だけでなく、原材料の調達から製品の廃棄まで、企業活動全体で間接的に発生するCO₂排出量を指します。企業にとって、このScope 3の削減は喫緊の課題でありながら、削減の手立てを外部から調達しにくい領域でした。
Spatial Pleasureが提唱するのは、移動によって生まれたCO₂削減量を「使う側」である企業が、自社の排出量報告に用いることができる仕組みです。この仕組みが実現すれば、企業は、公共交通の利用や電気バスの導入など、環境に配慮した移動を選択することで、自社のサプライチェーン排出量削減に直接貢献し、その成果を客観的に示すことが可能になります。これは、企業が脱炭素社会へ向かう上で、新たな選択肢と具体的な行動を促す画期的なアプローチと言えるでしょう。
GX-ETSと広がる排出量開示の範囲
2026年度に本格稼働したGX-ETS(グリーントランスフォーメーション・排出量取引制度)をはじめ、企業に求められる排出量の開示と削減の範囲は年々拡大しています。特に移動に伴う排出は、事業活動を継続する上で避けて通れないものであり、削減が難しいとされてきました。
一方で、鉄道での再生可能エネルギー由来電力の利用や電気バスの導入など、移動の現場では実際に排出量の少ない移動が生まれています。Spatial Pleasureの取り組みは、これらの削減量を正確に測定し、企業が報告に利用できる形で届けることを目指しています。これにより、企業は移動の「仕方」を変えることで、事業活動を止めずに排出量削減に貢献できるようになります。
Spatial Pleasureの具体的な取り組み
Spatial Pleasureは「Move More, Emit Less.(移動はもっと、排出はもっと少なく)」を掲げ、モビリティ領域の環境価値の創出・流通事業と、コンソーシアム「Mobility Alliance for Sustainable Abundance(MASA)」の運営に取り組んでいます。
具体的な実績としては、国内で初めて電気バス(重量車両EV)によるJ-クレジットの認証を完了しています。J-クレジットとは、省エネルギー機器の導入などによるCO₂排出削減量や森林管理によるCO₂吸収量を国が認証する制度です。また、エコドライブによる削減量をまとめてクレジット化するプログラム型プロジェクトも組成しています。海外では、二国間クレジット制度(JCM)を活用し、モビリティ由来のクレジット創出を進めています。
MASAは、移動の環境価値を「つくる側」と「使う側」をつなぐ場として、持続可能なモビリティ社会の実現に向けた枠組みづくりを進めています。移動に伴う排出の扱いについて相談したい場合は、MASAのウェブサイトから問い合わせが可能です。
- Mobility Alliance for Sustainable Abundance(MASA):https://masa.org
セミナー概要
本セミナーは、スマート社会技術推進協議会/スマート社会技術研究会の会員が対象で、無料で参加できます。

-
名称: 第51回ハイレベルセミナー「地域公共交通におけるクロスセクター効果と環境価値の可視化」(電動車両研究所 特別企画)
-
主催: 早稲田大学 スマート社会技術融合研究機構(ACROSS)
-
日時: 2026年9月3日(木)14:30〜17:00
-
形式: オンサイト+オンラインのハイブリッド開催
-
Spatial Pleasureの講演: 15:55〜16:40「環境価値の可視化」(登壇:代表取締役 鈴木 綜真)
-
参加対象: スマート社会技術推進協議会/スマート社会技術研究会の会員(参加費無料)
株式会社Spatial Pleasureについて
株式会社Spatial Pleasureは2019年5月24日に設立され、東京都世田谷区に本社を置く企業です。Mobility Alliance for Sustainable Abundance(MASA)の運営と、モビリティ領域における環境価値の創出・流通事業を展開しています。
- コーポレートサイト:https://spatial-pleasure.xyz/
本リリースに関するお問い合わせは、株式会社Spatial Pleasure 広報担当(メール:contact@spatial-pleasure.xyz)まで。



