学生が手掛けた超小型衛星「MOMIJI」、2026年冬に宇宙へ
千葉工業大学の学生が製造した超小型人工衛星5号機「MOMIJI」が、2026年冬に宇宙へと旅立つことが決定しました。2026年8月26日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)に引き渡され、国際宇宙ステーション(ISS)への打ち上げ準備が進められています。
「MOMIJI」は、学生が宇宙で確実に動くものづくりができる高度技術者を育成するための「高度技術者育成プログラム」の一環として開発されました。これまでにも4機の衛星を宇宙に送り出し、連続で運用に成功しています。
このプロジェクトは、拡大する世界の宇宙産業を支える技術者不足という課題への対応を目指しています。

プログラム初の「2Uキューブサット」に挑戦
「MOMIJI」は、プログラムで初めてとなる2Uサイズのキューブサット(10cm×10cm×20cm)に挑戦しています。キューブサットとは、1辺10cmの立方体サイズを基本単位として規格化された超小型衛星のことです。これまでの4機は1Uサイズでしたが、2Uサイズになることで、より多くの機器を搭載し、複雑なミッションが可能になります。
学生たちは2024年11月から製造に着手し、既存の2Uキューブサット用バス(衛星の骨格となる基本的な部分)を改良。衛星の打ち上げに必要となる各種申請や試験も学生自らが担当しました。

国際連携と最先端技術の実証
「MOMIJI」のプロジェクトでは、ブータン王国との初の国際連携が実現しました。ブータン王立大学科学技術校(CST)の学生チームが参加し、地球の植生撮影やオゾン層の観測といった共同ミッションに取り組みます。
また、出光興産株式会社との共同ミッションとして、新しい衛星用太陽電池セル「CIGS太陽電池セル」の宇宙実証が行われます。CIGS太陽電池セルは、銅、インジウム、ガリウム、セレンを組み合わせた次世代の太陽電池で、その性能を宇宙空間で確認することで、将来の衛星の電力効率向上に貢献することが期待されています。
さらに、千葉工業大学宇宙・半導体工学科の3つの研究室による研究技術実証も実施されます。
多彩なミッションで未来を拓く
「MOMIJI」は、宇宙空間での基本的な機能確認に加え、多岐にわたる独自のミッションに挑みます。
撮影ミッション:
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子供たちの科学的好奇心を育む「チバニー宇宙旅行」の撮影。
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花粉飛散予測に役立てるための東北地方の残雪撮影。
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ギリシャの砂漠化に対応する地球指向撮影モードの技術実証。
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ブータンとの共同ミッションとして、地球の植生の撮影。

通信・観測ミッション:
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海外向け画像ダウンリンクサービス。
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ブータンとの共同ミッションとして、オゾン層の観測と衛星の高度・姿勢の推定。
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多目的に運用されるAPRS(Automatic Position Reporting System:アマチュア無線を使って、位置情報などの生データをリアルタイムで送受信する技術)を活用し、APRS遠隔地上局を利用したキョンの生育数の把握や、新モード「APRSチャットボット」の追加。
新技術実証:
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出光興産との共同ミッションであるCIGS太陽電池セルの宇宙実証。
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宇宙・半導体工学科との共同ミッションとして、新型ダイオードの宇宙実証や軌道上温度補完実証。
「MOMIJI」に込められた想いと未来への期待
衛星の名称「MOMIJI」には、学生たちの強い想いが込められています。モミジの葉が広がる手の形になぞらえ、「多面的な機能を確実に動かし、成果を確実に掴み取る」という覚悟。役割を終えるその時まで記憶に残り、後続プロジェクトの励みとなる存在でありたいという願い。そして、初めての国際協力プロジェクトが「国境を越えて、未来へ繋がる結びつきを生んでほしい」という期待が込められています。
プロジェクトチームは、庭園で若葉から力強く美しい草花が育つように、学生自身と人工衛星が育っていくことを目標に「GARDENS(ガーデンズ)」と名付けられています。

「MOMIJI」は、2026年12月以降にアメリカ・スペースX社Falcon9ロケットで打ち上げられ、ノースロップグラマン社シグナス補給船25号機にて国際宇宙ステーションに輸送された後、軌道に投入される予定です。
この学生主導のプロジェクトは、日本の宇宙産業が直面する技術者不足の解消に貢献し、次世代のイノベーターを育成する重要な一歩となるでしょう。


