未来の乗り物を動かす「非晶質モーター」が急成長の兆し!2032年には市場規模が約597.82百万ドルに拡大予測

未来の乗り物を動かす「非晶質モーター」が急成長の兆し!

電気自動車(EV)や電動航空機など、次世代のモビリティが注目を集める中、その心臓部となるモーター技術も進化を続けています。中でも「非晶質モーター(Amorphous Drive Motor)」は、従来のモーターにはない高い効率性で、未来の電動化社会を大きく変える可能性を秘めています。

LP Informationの最新分析レポートによると、世界非晶質モーター市場は2025年の1.21百万米ドルから、2032年には597.82百万米ドルへと急拡大し、年平均成長率(CAGR)は87.61%に達すると予測されています。これは、既存市場の安定的な成長というよりも、技術の実用化と用途の広がりによる構造的な市場の立ち上がりを示しています。

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非晶質モーターとは?何がすごいのか?

非晶質モーターは、その名の通り、モーターの主要部品であるステータやロータの「コア材料」に「非晶質金属合金(アモルファス合金)」という特殊な金属を用いる電動モーターです。この非晶質金属合金は、原子の並びが不規則なガラスのような構造をしており、これがモーターに驚くべき特性をもたらします。

具体的には、以下の点が非晶質モーターの「すごい」ポイントです。

  • エネルギー損失が少ない(低コア損失):モーターが動く際に発生する無駄な熱(エネルギーロス)を大幅に削減できます。これにより、少ない電力でより多くの力を生み出すことが可能になります。

  • 磁気を通しやすい(高磁気透過率):効率よく磁力を利用できるため、モーターの性能を最大限に引き出せます。

  • 電気抵抗が大きい(高電気抵抗率):電流が流れる際に発生する渦電流損失を抑え、さらなる効率向上に貢献します。

これらの特性により、非晶質モーターは同等出力の従来モーターに比べて、より小型で、発熱が少なく、静かに動かすことができるのです。

未来のモビリティにどう役立つのか?

非晶質モーターの高い効率性は、特に「航続距離」「熱設計」「重量制約」が重要となる分野で大きな価値を発揮します。

電気自動車(EV)

EVにおいて、モーターの効率向上はバッテリーの消費を抑え、航続距離を伸ばすことにつながります。また、発熱が少ないため冷却システムを簡素化でき、車両全体の軽量化や設計の自由度を高めることが可能です。すでに中国のGAC Aionは、2026年4月に開催された北京モーターショーで、非晶質合金電気駆動技術を搭載したモデル「AION N60」を発表しており、量産車への採用が進んでいます。

電動航空機・eVTOL

電動航空機や垂直離着陸機(eVTOL)にとって、軽量化と高効率は安全性と飛行性能に直結します。非晶質モーターは、そのコンパクトさと低発熱性により、これらの次世代航空機の開発に不可欠な技術となるでしょう。オーストラリアのKite Magneticsは、モナシュ大学発の技術を基盤に、電動航空機向けの高効率モーターと推進システムの開発を進めていると報じられています。これはまだ研究開発の段階ですが、実用化されれば空の移動に革命をもたらすかもしれません。

ハイブリッド車への応用も

純粋なEVだけでなく、ハイブリッド車への応用も進んでいます。英国のHorse Powertrainは2026年3月に、非晶質鋼をステータに用いたハイブリッド向けモーターを発表し、98.2%という高い効率性を訴求しています。これは、非晶質材料が幅広い電動化技術に貢献できる可能性を示しています。

市場の現状と今後の展望

現在の非晶質モーター市場は、少数の先行企業が技術の実装を主導する、高度に集中した初期段階にあります。

非晶質モーター市場の競争環境と機会

主要な完成品メーカーとしては、GAC、Kite Magnetics、BYDなどが挙げられます。これらの企業が現在の市場のほとんどを占めている状況です。また、非晶質材料のサプライヤー側では、Proterial、Qingdao Yunlu、Advanced Tech & Materialの3社が世界市場の75%以上を占めており、材料供給網も競争の重要な要素となっています。

地域別に見ると、2025年の販売市場では中国が98.70%を占めており、電気自動車と電動航空機での採用拡大が世界の需要を牽引する構図です。今後も中国を中心とするアジア太平洋地域の存在感が高まると予想されます。

一方で、従来のモーターに比べて初期コストが高いことや、加工・量産ノウハウの不足が普及速度を抑える要因となる可能性もあります。しかし、今後量産技術が確立され、コストが低減していくにつれて、市場はさらに拡大していくことでしょう。

日本企業への示唆

日本企業にとって、非晶質モーター市場に関する情報は、新規事業の検討、電動化部品の技術ロードマップ策定、海外提携先の選定に役立つでしょう。

完成モーターメーカーだけでなく、非晶質材料、磁性部品、加工装置、熱設計、評価試験といった周辺領域まで視野を広げることで、より現実的な参入機会を見出すことができます。また、材料サプライヤーの集中度を把握することは、将来の供給リスク評価にもつながります。

経営戦略や投資判断においては、GACやKite Magnetics、BYDといった先行企業の量産化や用途展開の動向を継続的に追跡することが、重要な判断材料となるはずです。

レポートの詳細情報

今回の記事は、LP Informationが発行した「非晶質モーター市場規模マップ+シェア+フレームワーク」レポートに基づいています。より詳細な情報や分析にご興味がある方は、以下のリンクからレポートをご確認いただけます。