次世代放射線治療「Elekta Evo リニアックシステム」が日本初導入へ―AI活用でがん治療が進化

兵庫医科大学病院、次世代放射線治療「Elekta Evo リニアックシステム」で日本初治療を開始

2026年9月24日、兵庫医科大学病院において、高精度放射線治療装置「Elekta Evo リニアックシステム」による国内初の治療が開始される予定です。この革新的な装置は、エレクタ株式会社によって開発され、日本の放射線治療に新たな時代をもたらすことが期待されています。

Elekta Evo リニアックシステム

Elekta Evoとは?進化する放射線治療の最前線

「Elekta Evo リニアックシステム」は、がん治療で用いられる放射線治療装置の一種です。この装置は、高エネルギーのX線を発生させてがん細胞を攻撃しますが、従来の装置と比較して、より精密で柔軟な治療を可能にする「次世代」のシステムとして注目されています。

最大の特長は、AI(人工知能:コンピューターが人間のように学習・判断・予測を行う技術)を活用した高精細イメージング技術「Iris(アイリス)」を搭載している点です。これにより、治療中に体内の臓器の位置関係をこれまでにないほど鮮明に可視化できるようになりました。がんの治療では、患者さんの呼吸や体の動きによって臓器の位置がわずかに変化することがあり、これが治療の精度に影響を与えることがありました。しかしIrisは、そのような患者さんの状態変化を詳細に捉え、医療従事者がより適切な治療判断を下すことを支援します。これにより、がん細胞をより正確に狙い撃ちし、周囲の正常な組織への不要な放射線照射を最小限に抑えることが期待されています。

患者と医療従事者双方にメリットをもたらす多様な機能

Elekta Evoは、がんの形状に合わせて放射線の強さや当てる角度を調整する「IMRT/VMAT」、非常に高い精度でごく限られた範囲に集中的に放射線を照射する「定位放射線治療」、比較的浅い部分のがんなどに用いられる「電子線治療」、そしてより複雑な形状のがんにも対応しやすい「ノンコプラナー照射」といった、多様な治療手法に対応しています。これにより、幅広い種類のがんや病状に対して、患者さん一人ひとりに合わせた最適な「個別化医療」を提供できるようになります。

さらに、治療時間の短縮や治療準備の効率化が図られているため、患者さんの治療室での滞在時間が短くなり、身体的・精神的な負担の軽減につながります。また、医療従事者にとっても、日々のワークフローが効率化されることで、より安定した高品質な治療を提供できる環境が整います。

世界と日本での実績と未来への期待

Elekta Evoはすでに欧州、北米、アジアを中心に90台以上が稼働しており、多様ながん種に対する治療実績を重ねています。これは、この技術がすでに研究段階ではなく、世界中で実用化され、多くの患者さんの治療に貢献していることを示しています。

日本においては、このElekta Evoの導入が、放射線治療の質の向上と個別化医療の推進に大きく貢献すると期待されています。兵庫医科大学病院は、年間900症例の放射線治療を実施する「がん診療連携拠点病院」として、2026年9月24日に開院する新病院棟(病床数:801床)でElekta Evoを導入します。これにより、より多くの患者さんに対して、最先端の放射線治療を提供できる体制が強化されます。

兵庫医科大学病院 放射線科 臨床教授の冨士原 将之氏は、高齢化に伴うがん患者の増加と低侵襲治療としての放射線治療への期待が高まる中で、新病院棟開院にあたり、精度をさらに向上させつつ効率よく治療提供できる装置の導入を重視してきたと述べています。Elekta Evoの導入は、その期待に応えるものとなるでしょう。

エレクタ株式会社 代表取締役の有岡広紀氏は、世界的ながん罹患率の上昇に対応するため、放射線治療にはこれまで以上に高い精度と効率、そして患者中心の価値が求められていると強調し、Elekta Evoの導入が日本の医療現場における個別化医療の実装を加速させる重要なステップであると語っています。

Elekta Evoの国内導入は、日本の放射線治療が新たな段階へと進むことを示しています。今後、この技術が広く普及することで、多くのがん患者さんがより安心して治療を受け、生活の質の向上につながる未来が期待されます。

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