「Human Physical Intelligence」とは?
近年、AI技術の進化により、デジタル空間だけでなく、ロボットを通じて現実世界に働きかける「Physical AI(フィジカルAI)」(ロボットが物理的な行動を通じて現実世界に影響を与えるAI)への関心が高まっています。しかし、人と直接関わり、身体活動を支援するロボットには、ただ環境を認識して自律的に動くだけでなく、人の身体特性や動き、力、そして「意図」を理解し、その人に合わせて安全かつ自然に支援することが求められます。
HPIが提唱する「Human Physical Intelligence(ヒューマンフィジカルインテリジェンス)」は、人が持つ身体的な知能と、ロボットが持つセンシング(情報を感知する技術)・制御・AI技術を組み合わせ、人とロボットが身体を通じて協調するための新たな知能のあり方を指します。これは、人をロボットに置き換えるのではなく、人が本来持つ能力を活かしながら、必要な部分をロボットが支援することで、一人ひとりの可能性を広げることを目指しています。
研究から「使われるプロダクト」へ
HPIは、九州工業大学の研究成果や技術を基盤に、人の身体活動を支援するロボットのプロダクト開発に取り組んでいます。大学での研究は新しい技術や原理を生み出す場ですが、それを社会で実際に使われる製品として届けるには、使いやすさ、安全性、コスト、製造、サービス提供方法など、多くの課題を乗り越える必要があります。
HPIは、大学で生まれた技術を研究室に留めることなく、社会で利用される製品・サービスへと発展させる役割を担います。今回の九州工業大学によるスタートアップ支援(詳細はこちら)を活用し、大学との技術・研究面での連携を強化。プロトタイプ(試作品)の開発や改良、ユーザーによる検証、実証フィールドでの評価などを進め、人の身体活動を支援するロボットのプロダクト開発を加速していくとのことです。

社会実装に向けた取り組みも推進
HPIは、九州工業大学との連携に加え、一般財団法人トヨタ・モビリティ基金の「Mobility for ALLプロジェクト」にも採択されています(2026年度採択チームに関するニュースリリース)。これにより、人の移動や身体活動を支援する技術の社会実装に向けた取り組みも進めています。
人の身体活動を支援するロボットの社会実装においては、実際の生活環境で利用者の声やデータを収集し、それを次のプロダクト開発に反映していくことが重要です。HPIでは、こうした実証の機会を活用しながら、技術を一方的に提供するのではなく、実際に使う人や現場とともにプロダクトを作り上げる「共創型」の開発を進めています。九州工業大学で生まれた研究成果を起点に、大学、企業、財団、自治体、医療・福祉関係者、そして実際にプロダクトを使用する人々との連携を広げながら、研究からプロダクト、プロダクトから社会実装へとつながるエコシステム(共同で価値を創造し、発展していく仕組み)の構築を目指しています。
関係者からのコメント
Human Physical Intelligence株式会社 代表取締役CEO 樋口藍氏は、今回の選定について次のように述べています。
「私たちの原点には、九州工業大学で培われてきたロボティクスや人の身体活動を支援する技術に関する研究があります。研究として優れた技術であっても、それだけで社会の中で使われるものになるわけではありません。私たちが目指す『すべての人々が生き生きとした社会』を実現するため、大学で生まれた研究成果を論文やプロトタイプで終わらせるのではなく、会社として挑戦することとしました。ユーザーの皆様とともに深め、末永く愛される『製品』として社会にお届けし、あたかも前々から日常の一部であったかのように馴染む世界をつくりたいと考えております。人とロボットが手をとって、人が本来持っている能力を活かしながら必要な部分を支援する。そんな人とロボットの関係性を、『Human Physical Intelligence』という考え方を通じて実現し、『人に優しい社会変革』を生み出したいと考えています。九州工業大学をはじめ、さまざまな企業・組織、そして実際にプロダクトを使っていただく方々と一緒に、人の身体活動を支援するロボットの全く新しい未来に向けて歩んでまいります。」

国立大学法人九州工業大学 教授 柴田智広氏は、HPIの新たな一歩に期待を寄せています。
「人を支援するロボットの研究では、人の身体特性や行動、そして人とロボットの関係性を踏まえて技術を設計することが重要です。大学で生まれた研究成果が企業を通じて社会へ展開され、現場から得られた知見が再び研究へ還元されることで、研究そのものも発展していきます。HPIが多くの方々との共創を通じて、人とロボットが自然に協調できる社会の実現に挑戦していくことを期待しています。」

今後の展望
HPIは今回の選定を新たなスタート地点とし、九州工業大学との連携をさらに強化し、人支援ロボットのプロダクト開発を進めていきます。また、トヨタ・モビリティ基金をはじめとする外部機関との取り組みや、企業・自治体等との共同開発・実証を通じて、研究成果を実際の利用環境で検証し、社会から得られた知見を再びプロダクトへ反映する開発サイクルを構築していくとのことです。
研究からプロダクトへ。プロダクトから、実際に人々が使う社会へ。
HPIは、九州工業大学から生まれた技術と研究を起点として、人とロボットが互いの能力を活かしながら協調する「Human Physical Intelligence」の社会実装に挑戦していきます。
Human Physical Intelligence株式会社について
Human Physical Intelligence株式会社は、九州工業大学発の研究成果・ロボティクス技術を基盤として、人とロボットの身体知能をつなぐ「Human Physical Intelligence」の社会実装を目指すスタートアップです。人の身体特性や動作、意図に適応しながら身体活動を支援する人支援ロボットを中心に、研究成果のプロダクト化と社会実装に取り組んでいます。
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会社名: Human Physical Intelligence株式会社
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代表者: 代表取締役CEO 樋口藍
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所在地: 北九州市戸畑区仙水町1-1九州工業大学未来テラス(事務所)/福岡県遠賀郡水巻町高尾13-2(研究所)
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設立: 2026年5月
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事業内容: 人の身体活動を支援するロボットおよびHuman Physical Intelligenceに関する研究開発・プロダクト開発
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Webサイト: https://www.humanphysical.ai/
関連情報
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Human Physical Intelligence株式会社 Webサイト:
https://www.humanphysical.ai/ -
九州工業大学リリース:
https://www.kyutech.ac.jp/whats-new/press/entry-12333.html -
九州工業大学未来思考実証センター Notice:
https://www.ccr.kyutech.ac.jp/themes/innovation/f_venture/notice/detail/2026-08-28.html -
主要関連論文:
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“Designing of low-DoF robot system from low-dimensional latent space” DOI: https://doi.org/10.1186/s40648-026-00336-7
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“Investigating the Optimal Assistive Strategy for Freezing of Gait: A Comparison of Unilateral and Bilateral Artificial Muscle Assistance” DOI: https://doi.org/10.1109/SII64115.2026.11404522
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“J-PAS fleairy®の介護施設での活用評価” DOI: https://doi.org/10.7210/jrsj.43.954
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“Effects of Gait Inducing Assist for Patients with Parkinson’s Disease on Double Support Phase During Gait” DOI: https://doi.org/10.20965/jrm.2020.p0798
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関連特許:
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特開2026-046939 「動作データ設計システム,ロボット設計システム,動作データ設計方法およびロボット設計方法」
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PCT/JP2026/011959 「歩行支援装置」
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