超小型衛星ONGLAISATが世界を変える可能性
日本の宇宙スタートアップ企業、株式会社アークエッジ・スペースが、台湾宇宙機関(TASA)および東京大学と共同開発した6U級地球観測衛星「ONGLAISAT(オンライサット)」が、世界的な権威ある「Small Satellite Mission of the Year Award」を受賞しました。日本の企業・大学が開発に参画したミッションがこの賞を受賞するのは今回が初めての快挙です。
ONGLAISATは、2025年に顕著な成果を上げた小型衛星ミッションとしてファイナリストに選出され、一般投票を含む選考プロセスを経て受賞が決定しました。この受賞は、小型衛星による地球観測の可能性を大きく広げるものとして注目されています。

ONGLAISATの「何がすごいのか」
ONGLAISATの最大の特長は、約10kgと非常にコンパクトな「6U級」と呼ばれる超小型衛星でありながら、これまでは大型衛星でしか実現できなかった高精度な地球観測を可能にした点です。
具体的には、
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地上分解能2.44mの画像取得: 衛星から撮影した画像で、地上にある2.44mの物体を見分けられる精度です。この数字が小さいほど、より詳細な画像が得られます。一般的な大型衛星に匹敵する高解像度を実現しました。
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S/N比100超のTDI撮像: 「TDI(Time Delay Integration:時間遅延積分)撮像」という特殊な技術を使い、画像の品質を飛躍的に向上させました。TDI撮像とは、衛星が移動しながら撮影する際、イメージセンサー上で複数の画像を少しずつずらして重ね合わせることで、暗い場所でも明るく、ノイズ(画像の乱れ)の少ない鮮明な画像を作り出す技術です。S/N比(信号対雑音比)100超という数値は、ノイズが非常に少なく、クリアな画像が得られることを示します。
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高精度な姿勢決定・制御技術: TDI撮像で高品質な画像を得るためには、衛星の姿勢を高い精度で安定して保つ必要があります。ONGLAISATは、撮像時に数百arcsecオーダーという非常に高い精度で姿勢を制御することに成功し、わずかなブレも許されないTDI撮像を軌道上で実証しました。
これらの技術は、小型・低コストな衛星プラットフォーム上で、高解像度光学地球観測を実現する新たな可能性を提示しました。2024年12月に国際宇宙ステーション(ISS)から放出されたONGLAISATは、2025年には本格的な撮像運用を開始し、既にこれらの成果を軌道上で実証済みです。
「今までと何が違うのか」そして「将来どう役立つのか」
これまでの高解像度な地球観測は、大型で高価な衛星が主流でした。しかし、ONGLAISATが示したように、超小型衛星でも同等の性能を発揮できることが実証されたことで、地球観測の常識が大きく変わる可能性があります。
小型・低コストで高性能な衛星が実現すれば、より多くの衛星を打ち上げ、「超小型衛星コンステレーション」(多数の小型衛星を連携させて運用するシステム)を構築することが容易になります。これにより、特定の地域をより頻繁に、広範囲にわたって観測できるようになるでしょう。例えば、災害発生時の迅速な状況把握、環境変動のモニタリング、都市開発やインフラ管理の効率化など、地球上のあらゆる活動を宇宙から詳細に、そしてリアルタイムに近い形で支えることが可能になります。
アークエッジ・スペースは、ONGLAISATで培った技術を基盤に、地球観測だけでなく、船舶向けの衛星通信(衛星VDES)、光通信、低軌道衛星測位など、多様なミッションに対応する宇宙インフラの構築を目指しています。将来的には、月面活動や深宇宙探査への貢献も視野に入れており、私たちの生活や産業を宇宙から支える未来の実現に向けて、大きな一歩を踏み出しています。
受賞に寄せて
株式会社アークエッジ・スペースの代表取締役CEO、福代孝良氏は、今回の受賞について「TASA、東京大学をはじめ、ONGLAISATの開発・運用に携わり、支えてくださった多くの皆さまの力が結集した結果だと受け止めています。素晴らしいパートナーの皆さまと連携する機会をいただき、このミッションの実現に当社の衛星開発・運用技術が貢献できたことを大変誇りに思います」とコメントしています。この経験と成果を今後の衛星開発にも生かし、社会や産業を支える宇宙インフラの構築に取り組んでいくとしています。
株式会社アークエッジ・スペースについて
アークエッジ・スペースは、超小型衛星コンステレーションの企画・設計から量産化、運用まで総合的なソリューション提供を行う宇宙スタートアップ企業です。



