次世代モダリティの実用化を支える技術革新
フォーラムでは、細胞・遺伝子治療の発展に不可欠な「送達技術」と「製造技術」に焦点を当てたセッションが複数実施されました。
JCRファーマは、同社独自の血液脳関門通過技術「J-Brain Cargo®」を応用した、新しいタイプのAAVベクター(アデノ随伴ウイルスベクター:ウイルスの一種を遺伝子治療の「運び屋」として利用するもの)「JUST-AAV」の研究成果を発表しました。この技術は、遺伝子治療薬を脳に効率的に届けることを目指しており、難病治療への応用が期待されます。
また、細胞治療、in vivoアプローチ(生体内で直接治療を行う方法)、そして脂質ナノ粒子(LNP:遺伝子などを細胞の中に運ぶための微小なカプセルで、新型コロナウイルスのワクチンにも使われた技術)を活用した送達技術など、次世代モダリティの実用化を支える最先端の技術動向が紹介されました。

Cytiva Genomic Medicine Scientific DirectorのPeiqing Zhang博士は、細胞治療が大きな転換期にあると述べ、製造工程の自動化・高速化による複雑性の低減、そしてウイルスベクターやLNPを活用して体内で免疫細胞を直接改変するin vivo細胞治療の進展が、次世代の治療の姿を形作り始めていると指摘しました。さらに、この変革を実現するためには、開発企業、テクノロジープロバイダー、製造パートナー、医療機関、規制当局を含む幅広いステークホルダーとの連携が不可欠であると強調しました。
製造技術の高度化と産業基盤の強化
フォーラムでは、バイオ医薬品の製造および品質管理における課題も深く掘り下げられました。具体的には、PIC/S GMP Annex 1(医薬品の製造管理および品質管理に関する国際的な基準の一部で、特に無菌医薬品の製造に関する要求事項)への対応、PUPSIT(Pre-Use Post-Sterilization Integrity Testing:滅菌処理後に使用前に行うフィルターの完全性試験)、シングルユース技術(医薬品製造プロセスにおいて使い捨ての機器や部材を使用する技術)、製造効率化、環境負荷低減といったテーマが議論されました。
中外製薬は、Cytivaと共同開発した設備を活用した連続生産プロセスのスケールアップ事例を紹介し、製造効率の向上とコスト削減への貢献を示しました。また、日本のバイオ医薬品製造基盤の強化や、将来を担う次世代人材の育成をテーマとした講演およびパネルディスカッションも実施され、業界全体の持続的な成長に向けた議論が交わされました。


Cytivaについて
Cytivaは、ダナハーグループの一員であり、ライフサイエンス分野をリードするグローバル企業です。「治療薬開発の前進と加速(Advance and Accelerate Therapeutics)」をミッションに掲げ、約15,000人の従業員がバイオ医薬品開発・製造に携わる顧客を支援しています。



