フィリピンでグリーン基地局の実証成功!天気予報で電力最適化、脱炭素と通信安定を両立する新技術

NTTドコモ、フィリピンで「天気予報連動型リチウムイオン電池制御」実証に成功

NTTドコモは、フィリピンの通信事業者PLDTおよびSmart Communications, Inc.と共同で、フィリピンにおいて「天気予報連動型リチウムイオン電池制御」技術を活用したグリーン基地局の実証実験を実施し、大きな成果を上げました。

天気予報で蓄電池を最適制御!太陽光発電の利用効率が23ポイント向上

今回の実証実験で注目すべきは、NTTドコモが国内で培った「天気予報連動型リチウムイオン電池制御」技術を海外で初めて展開した点です。この技術は、太陽光発電などの再生可能エネルギー(太陽光や風力など、繰り返し利用でき発電時に温室効果ガスを排出しないエネルギー)と、天気予報の情報を組み合わせることで、通信基地局で使用する蓄電池(電力を貯める装置)の充電と放電を自動で最適化します。

その結果、実証実験開始前の太陽光発電利用効率が38%だったのに対し、61%へと23ポイントも向上したことが確認されました。これは、これまで活用しきれていなかった余剰太陽光発電量3,905kWhを有効に利用できるようになったことを意味します。

グリーン基地局のシステム構成イメージ

今までと何が違う?賢いエネルギーマネジメントシステム

一般的な太陽光発電設備だけの基地局では、夜間や悪天候時には商用電力に頼らざるを得ず、停電時には通信が途絶えるリスクがありました。しかし、この新しいシステムは、大容量の蓄電池と、天気予報連動型リチウムイオン電池制御技術を組み合わせることで、その課題を解決します。

具体的には、NTTドコモが開発したエネルギーマネジメントシステム基盤(EMS基盤:電力の使用状況を把握し、発電・蓄電・給電を最適に制御するシステム)が、電力需要や天気予報と連動し、発電・蓄電・給電を24時間最適な状態に自動で制御します。例えば、翌日が晴れ予報であれば夜間の放電量を増やして充電の余地を確保し、曇り予報であれば放電を抑えて電池残量を維持します。また、大雨や災害で停電のリスクがある場合は、事前に満充電にして停電に備えるといった賢い運用が可能です。

天気予報連動型リチウムイオン電池制御のイメージ

この技術は、2016年にNTTドコモが独自に開発したもので、停電時の通信確保用(バックアップ容量)と、太陽光発電による通常時の充放電用(サイクル容量)の比率を固定せず、天気予報に基づいて柔軟に変更することで、蓄電池の充放電の損失を最小化します。

関連情報:天気予報と連動したリチウムイオン電池の制御技術を開発

フィリピンの異なる環境で検証、脱炭素化へ大きな一歩

今回の実証実験は、電力供給環境が異なるマニラ近郊(商用電源があるオングリッド局)と、電力供給が不安定な離島であるセブ島(商用電源がないオフグリッド局)の2拠点で行われました。これにより、さまざまな環境下での技術効果が検証されました。

2026年4月から実施されたフィールド検証では、この技術の活用により電力消費量において前年比600kWh、前月比1,000kWhの節電を達成。さらに、2026年4月から7月までの100日間で累計約2,854kgのCO₂排出量削減を実現しました。

将来どう役立つのか?持続可能な通信インフラの構築へ

この実証実験の成功は、通信基地局の脱炭素化を大きく推進するものです。再生可能エネルギーの利用効率を高めることで、商用電力の使用量を削減し、CO₂排出量の低減に貢献します。また、蓄電池の活用により、夜間や停電時にも安定した通信サービスを継続できるため、通信インフラのレジリエンス(回復力)向上にもつながります。

NTTドコモは、PLDTとの長年にわたる提携関係を基盤に、この技術をフィリピンおよび周辺地域における持続可能な通信インフラの構築に役立てることを目指しています。また、二国間クレジット制度(JCM:途上国への優れた脱炭素技術等の普及を通じた排出削減への貢献を、両国で適切に評価する制度)も活用し、フィリピンと日本双方の温室効果ガス削減に貢献することが期待されます。

この実証で提供されたNTTドコモのEMS基盤は、2026年9月9日(水)から幕張メッセで開催される「Smart Energy Week」に出展される予定です。今回の成果は、地球規模での脱炭素社会の実現と、どこにいても安定した通信サービスを享受できる未来に向けた、大きな一歩と言えるでしょう。