日本のMID(成形回路部品)市場、急成長予測!AIとEVが牽引する未来の電子部品とは?

MID(成形回路部品)とは?その「すごさ」を解説

MIDとは、樹脂製の部品そのものに直接、電気を通すための回路を形成する技術のことです。これまでの電子機器では、プリント基板と配線を別々に作り、それらを組み合わせていました。しかし、MID技術を使うと、樹脂部品の表面や内部に立体的な回路を直接描けるため、以下のような画期的なメリットが生まれます。

    • 究極の小型化と軽量化: 部品点数を減らし、従来の基板や配線が占めていた空間を有効活用できます。これにより、製品全体の小型化と軽量化が実現します。

    • 設計の自由度向上: 複雑な形状の部品にも回路を組み込めるため、デザインの幅が広がります。

    • 組み立てコストの削減: 部品点数が減ることで、製造工程がシンプルになり、組み立てにかかるコストも抑えられます。

この技術は、電気自動車(EV)のセンサー、医療機器の超小型化、産業用ロボットの高度化など、高性能かつ省スペースが求められるあらゆる分野で不可欠な存在となり、私たちの生活をより豊かにする新しい製品やサービスを生み出す可能性を秘めています。

市場成長を牽引する日本の強み

日本のMID市場の急成長は、いくつかの重要な要因によって支えられています。

    • 半導体・AI関連への大規模投資: 半導体産業や人工知能(AI)分野への投資が活発化しており、これに伴い高性能な電子部品の需要が高まっています。米国国際貿易局(ITA)は、日本のAI市場が2024年の89億米ドルから2029年には279億米ドルへと拡大すると予測しており、AIのイノベーションと導入を促進する政府の取り組みも市場を後押ししています。
    • データセンターの増設: 大規模なデータセンターが増設されることで、そこで使われるサーバーやネットワーク機器にMID技術が活用される機会が増えています。
    • 自動車の電動化と産業用ロボット: 日本が強みを持つ自動車の電動化(EV化)や、産業用ロボット、医療機器の小型化といった分野では、MID技術が実現する極めて小型で軽量、立体的な集積回路が不可欠です。

注目の技術「LDS(レーザー・ダイレクト・ストラクチャリング)」

MID技術の中でも特に注目されているのが、LDS(レーザー・ダイレクト・ストラクチャリング)です。この技術は、コンピュータ制御されたレーザーを使って、複雑な形状の樹脂部品に高精度な3D回路パターンを直接形成します。これにより、従来の基板やワイヤーハーネスが不要になり、部品の軽量化と組み立てコストの大幅な削減が実現します。

LDS技術はすでに実用化が進んでおり、2025年10月にはDIC株式会社の多機能ロボットフィンガー「MoR®(MID on Robotic finger)」が科学誌『Nature』で取り上げられました。これは、柔軟かつ精密な把持能力、自己センシング機能、そして多様な環境への適応性を持つロボットフィンガーで、MID技術がロボット分野の進化に貢献している事例です。また、住友ベークライトは2021年2月にLDS-MID向けの熱硬化性成形材料を開発しており、耐熱性と寸法安定性を向上させつつ、3D回路の形成を可能にしています。この技術は、自動車、医療、電子機器、半導体といった分野での小型・軽量部品の実現を支えています。

MID市場の要衝、三重県

日本のMID市場において、三重県は非常に重要な役割を担っています。同地域は、先端エレクトロニクスおよび自動車製造の主要な産業拠点であり、世界的な自動車ティア1サプライヤー、半導体関連施設、精密電子部品メーカーが集中しています。特に、近隣の愛知県と連携する主要な自動車産業ネットワークにおいて重要な生産ハブとしての機能を果たしており、次世代EV(電気自動車)用部品、先進運転支援システム(ADAS)、統合型センサーモジュールといった、3D成形回路を多用する分野での需要拡大に大きく貢献しています。

三重県は、半導体や先端材料企業からの投資を呼び込む技術エコシステムや、有利な産業立地政策によってもMID市場での優位性を確立しています。高精度なプラスチック射出成形や高度なレーザー加工技術に強みを持つ製造拠点は、LDSプロセスの規模拡大に必要な精密な技術基盤を提供しています。このような専門性の高いサプライチェーンの近接性は、物流コストや設計から生産までの期間(リードタイム)を最小限に抑えることを可能にし、国内の自動車・ハイテク大手企業が電子機器の小型化やスマートファクトリー化(自動化)を進める上で、高信頼性MIDの大量生産を行う最適な産業集積地となるでしょう。

未来を形作るMID技術

MID技術は、今後も私たちの身の回りの製品をより高性能で使いやすいものへと進化させていくでしょう。電気自動車のさらなる普及、より高度な医療機器の開発、そしてAIを搭載したスマートデバイスの進化など、MIDは多くの分野で革新を支える基盤技術となることが期待されます。

日本のMID(成形回路部品)市場における主要なプレーヤーには、以下の企業が含まれます。

    • Taiyo Holdings Co., Ltd.

    • Sankyo Kasei Co., Ltd.

    • Nissei Co., Ltd.

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