未来の技術を支える高性能磁石「圧縮成形NdFeB磁石」の市場が急成長

自動車の電動化や最新のロボット技術など、私たちの生活を豊かにする多くのテクノロジーの裏側には、高性能な磁石の存在があります。特に注目を集めているのが「圧縮成形NdFeB磁石(圧縮成形ネオジム、鉄、ホウ素磁石)」です。これは、ネオジム(Nd)、鉄(Fe)、ホウ素(B)を主成分とする強力なレアアース磁石で、複雑な形状に成形しやすく、高い磁力と小型・軽量化に適しているのが特徴です。
この高性能磁石の市場は、今後大きく成長すると予測されています。QYResearchの統計・予測によると、2025年には世界全体で646百万米ドル(約960億円)だった市場売上高が、2032年には1,164百万米ドル(約1,730億円)に達すると見込まれており、2026年から2032年までの年平均成長率(CAGR)は7.43%と予測されています。CAGRとは、複数年にわたる成長率を平均化したもので、市場が着実に拡大していくことを示しています。
市場成長を牽引する中国の存在とグローバルな動向

圧縮成形NdFeB磁石の市場において、中国は生産と消費の両面で非常に重要な役割を担っています。2025年の中国市場規模は228.05百万米ドルで、世界市場の35.33%を占めており、2032年には446.08百万米ドル、世界シェア38.31%まで拡大すると予測されています。消費面では中国に続き、欧州、日本も大きなシェアを占めていますが、インドは2026年から2032年にかけてCAGR約11.34%と、主要地域の中で最も高い成長率が見込まれています。
生産面でも、2025年には中国が67.15%、欧州が14.32%の市場シェアを占めており、グローバルな供給網における中国の存在感は際立っています。今後は他の地域での生産拡大も進み、2032年にはそれらの地域の市場シェアが8.89%に達すると予測されています。
腐食から磁石を守る表面処理技術の進化
NdFeB磁石は高性能である一方で、腐食しやすいという特性があります。そのため、磁石の長期的な信頼性を確保するためには、表面を保護する処理が不可欠です。現在、電着塗装が主要な表面処理方法であり、2032年には市場シェアの54.77%を占める見通しです。
特に薄型・小型の磁石では、コーティングの均一性や、加工時に磁気性能が低下しないようにすることが技術的な課題となっています。2026年の研究では、ニッケル・銅・ニッケル(Ni-Cu-Ni)コーティングを再加工する際に、薄い磁石ほど磁気性能の低下が大きくなることが報告されており、量産工程では表面処理の条件と製品の寸法精度を一体的に管理する必要性が高まっています。この分野では、電気泳動堆積による拡散処理など、磁気特性と耐食性の両方を改善する新たな技術の研究が進められています。
自動車の電動化とロボット技術が需要を牽引
圧縮成形NdFeB磁石の需要を最も大きく牽引しているのは自動車分野です。2025年には市場シェアの24.90%を占め、2026年から2032年のCAGRは約11.01%と予測されています。電気自動車(EV)の普及に伴い、駆動モーターや電動パワーステアリング、各種アクチュエーターなど、自動車の電動化に必要な高磁力・高耐熱のNdFeB磁石の需要が高まっています。2026年の関連市場データでも、EV駆動モーターが自動車向け焼結NdFeB磁石の最大用途となっており、自動車の電動化が磁石需要の重要な成長要因であることが確認できます。
さらに、圧縮成形NdFeB磁石は、スマートフォンやタブレットなどの消費電子・オフィス機器、家電、そして「具身智能ロボット(人間のように自律的に動作するロボット)」、ドローンなどの低空飛行器、医療機器など、幅広い分野でその用途を広げています。小型化と高出力化を同時に実現する必要があるロボットや精密機器では、磁石の寸法安定性、保磁力(磁気を保つ力)、耐熱性、耐食性を総合的に最適化することが重要になります。
競争環境と今後の動向
世界の圧縮成形NdFeB磁石市場には、Neo Performance Materials、Daido Electronics、Aichi Steel、NAPAC、Max Baermann、BOMATEC、MS-Schramberg、Magnetfabrik Bonn、Kolektor Mobility、Magneti Ljubljana、IMA、Bunting Magnetics、Dexter Magnetic Technologies、The Electrodyne Company、Ningbo Yunsheng、Galaxy Magnets、Advanced Technology & Materials、Yingluohua、Dongguan Haitian Magnet Industry、San Huanなど、多くの主要企業が存在します。
2025年時点では、Galaxy Magnets、Neo Performance Materials、Daido Electronicsが市場の約36.91%を占める主要なグループを形成しています。また、San Huan、Max Baermann、MS-Schramberg、Dongguan Haitian Magnet Industryなどが合計30.85%を占める第2グループを形成しています。今後は、高性能な磁石の開発だけでなく、レアアース原料の安定的な調達、高度な表面処理技術、顧客からの認証、そして生産拠点の地域分散が企業の競争力を左右すると考えられています。実際、2026年には中国以外の国からNdPr(ネオジムとプラセオジムの混合物)原料やNdFeB磁石を供給する体制を構築する企業の動きも進んでいます。
本記事は、QY Researchが発行したレポート「圧縮成形NdFeB磁石―グローバル市場シェアとランキング、全体の売上と需要予測、2026~2032」に基づき、市場の動向と競争環境の概要を解説しました。このレポートでは、圧縮成形NdFeB磁石の世界および中国市場における生産能力、生産量、販売数量、売上高、価格、今後の動向が分析されています。また、主要企業の製品特性、仕様、価格、販売数量、売上高、市場シェアも詳細に調査されており、2021年から2025年の実績データと2026年から2032年の予測データが含まれています。
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