東急不動産が物流の新拠点「LOGI’Q神戸新長田」を竣工
東急不動産株式会社は、物流施設『LOGI’Q(ロジック)』シリーズの新たな拠点として、「LOGI’Q神戸新長田」を2026年8月31日に竣工したと発表しました。関西エリアでは、「LOGI’Q枚方」「LOGI’Q久御山」「LOGI’Q南茨木」に続く4棟目の展開となります。
3Dプリント技術で「空地」に新たな価値を創造
「LOGI’Q神戸新長田」の竣工にあわせ、東急不動産はセレンディクス株式会社と協業し、施設内の空地(使われていない土地)に屋外休憩スペース「Green Port」を整備しました。東急不動産が3Dプリント技術を建設に用いるのは今回が初めての試みです。

この取り組みは、産業用不動産の空地に新しい価値を生み出すための実証として行われます。物流業界では「2024年問題」(トラックドライバーの時間外労働の上限規制強化に伴い、人手不足や輸送能力の低下が懸念される問題)が進行しており、長距離輸送規制の強化が進む中で、関西圏は関東と九州を結ぶ重要な中継地点としての存在感を高めています。
「LOGI’Q神戸新長田」は、こうした長距離ドライバーの時間外労働規制に対応する新たな「中継輸送」(長距離輸送を複数のドライバーで分担し、途中の拠点で荷物や車両、あるいはドライバーを交代する輸送方式)拠点としての価値と、国際港湾都市・神戸のポテンシャルを兼ね備え、グローバルとローカル双方の物流インフラを支えることが期待されます。
物流を支える新拠点の機能と環境への配慮
「LOGI’Q神戸新長田」は、阪神高速3号線「湊川IC」から約2.3km、JR「神戸貨物ターミナル駅」から約1.7km圏内という交通の便に優れた立地に位置しています。1階と2階には、大型トラックが直接荷物の積み降ろしができる「トラックバース」(接車スペース)を44台分備え、最大6テナントに対応する「マルチテナント型」(複数の企業が共同で利用できる物流施設)の施設です。これにより、神戸市内全域や大阪市内の大部分を1時間配送圏とし、「ラストワンマイル」(物流において、拠点から最終的な届け先までの最後の区間の配送)の都市型配送にも対応します。

また、施設内には屋内の休憩室が2部屋整備されており、24時間稼働する物流現場で働く人々のリフレッシュ環境の拡充にも配慮されています。環境面では、屋根上に最大出力1,500kWの太陽光発電設備が設置されており、発電された再生可能エネルギー電力は外部売電を予定しています。これらの取り組みにより、「CASBEE A認証」(建築物の環境性能を評価するシステム「CASBEE」において、環境負荷が少なく環境性能が高いと認められた建築物に与えられる認証の一つ)を取得しています。
3Dプリント技術がもたらす建設の未来
「Green Port」の柱とベンチは、セレンディクスの3Dプリント技術によって製造されています。この技術は、コンピュータのデータをもとに材料を一層ずつ積み重ねて立体物を作り出すもので、狭い土地でも柔軟なデザインが可能です。巨大な3Dプリンターのノズルから特殊なモルタルを層状に打ち出すことで、柱1本を1時間以内で製造できるといいます。

製造された部材は現地へ輸送され、組み立てとコンクリート打設を経て約1日半で完成します。3Dプリントは、型枠を使わずに必要な形状を必要な資材だけで製造するため、型枠廃材などの廃棄物を抑制できます。さらに、短期間での組み立てが可能で、現場作業の省人化にもつながるため、「低人工・低工数・低環境負荷」(少ない作業員で、短い期間で、環境への負担を抑えながら建設ができること)で建設が進められます。東急不動産とセレンディクスは、今後も3Dプリント技術の活用を検討していくとのことです。
セレンディクスは、日本初の3Dプリンター住宅メーカーとして知られ、2022年3月には日本初の3Dプリンター住宅「serendix10」を発表。2024年9月には2人世帯向け住宅「serendix50」の販売第1号棟を石川県珠洲市に復興住宅モデルとして建築するなど、すでに実用化を進めています。2025年には世界初の3Dプリンター製駅舎の建設も予定されており、住宅にとどまらない建設ロボティクスソリューションを国内外に提供しています。
東急不動産が描く産業インフラの未来
東急不動産は、事業活動を通じて社会課題の解決と独自の価値創造に挑戦しています。同社のインダストリー事業本部では、物流施設やデータセンター、植物工場などの「産業不動産」(物流施設、工場、データセンターなど、企業の事業活動に利用される不動産)の開発を中核としています。
2025年7月には「産業まちづくり事業(GREEN CROSS PARK)」を始動しました。この事業では、開発・運営ノウハウと、環境エネルギー事業による再生可能エネルギーの供給・脱炭素経営の支援を通じて、日本全国に新たな産業インフラを提供し、企業の「サプライチェーン強靭化」(原材料の調達から生産、流通、販売までの一連の流れを、災害や予期せぬ事態にも対応できるよう強くすること)をサポートしていきます。
今回の「LOGI’Q神戸新長田」の竣工と3Dプリント技術の実証は、物流業界の課題解決と環境負荷低減、そして未来の産業インフラのあり方を提示する重要な一歩と言えるでしょう。先進技術の導入が、働きやすい環境づくりと持続可能な社会の実現に貢献していく未来が期待されます。



