ロボットの作業範囲を劇的に広げる「第7軸」とは
工場や物流の現場で活躍するロボットは、私たちの生活を支える重要な存在です。「ロボットアーム」と聞くと、多くの方が精密な作業をこなす機械の腕を想像するでしょう。これらのロボットの多くは「6軸ロボット」と呼ばれるタイプです。これは、人間の腕のように6つの関節を持ち、様々な角度や位置で器用に動くことができます。
しかし、この6軸ロボットには一つの制約がありました。それは、基本的に設置された場所から移動できない、という点です。例えば、広い工場で多くの部品を扱う場合、複数のロボットを設置するか、ロボットが届く範囲に合わせて生産ラインを設計する必要がありました。
そこで今、このロボットアームに、さらに「第7軸(だいななじく)」という新たな動きが加わり、その可能性が大きく広がろうとしています。第7軸とは、従来の6軸ロボットに追加される「外部の動きの軸」のこと。人間でいうと、腕の動きに加えて、体を移動させるための足や胴体のような役割を担います。これにより、ロボットは自身の作業空間を大きく広げ、これまでリーチできなかった場所での作業や、より大規模な対象物への対応が可能になります。
市場は2032年に7,101万米ドル規模へ拡大予測
株式会社マーケットリサーチセンターが発表した最新の調査レポート「ロボット用第7軸の世界市場(2026年~2032年)」によると、ロボット用第7軸の世界市場は、2025年の4,983万米ドルから2032年には7,101万米ドルへと拡大すると予測されています。この期間における年平均成長率(CAGR)は5.3%と見込まれており、今後も安定した成長が期待されています。
このレポートでは、ロボット用第7軸が「スライドキット」や「リフトキット」といった形態に分類され、それぞれの市場動向や予測が詳しく分析されています。スライドキットは直線的な移動を可能にし、床設置型やガントリー型などの構成で一般的に利用されます。リフトキットは、ロボットの高さ方向の移動を可能にし、より立体的な作業空間に対応します。
産業製造から物流まで、広がる活用分野
第7軸がロボットに加わることで、その用途は飛躍的に広がります。主な活用分野としては、以下の点が挙げられます。
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産業製造: 自動車の組み立てラインでは、ロボットアームの可動範囲が広がることで、大型部品の取り付けや溶接作業がより効率的に行えます。また、多様な製品を少量ずつ生産する「多品種少量生産」の現場では、柔軟なレイアウト変更や、より広い範囲での作業が可能となり、生産性が大きく向上するでしょう。
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倉庫・物流: 広大な倉庫内での荷役作業や、商品のピッキング作業において、ロボットが自ら移動できることで、作業効率が格段に向上します。人手不足が深刻化する物流業界において、第7軸を持つロボットは、より高度な自動化を実現する鍵となるでしょう。
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その他: 塗装、組立、検査など、さまざまな作業シナリオに適応し、これまで人間の手作業に頼っていた多くの工程を自動化できるようになります。医療分野や宇宙開発といった特殊な環境での応用も期待されており、ロボットの活躍の場はますます広がるでしょう。
進化を支える関連技術
第7軸ロボットの普及と進化は、様々な関連技術によって支えられています。例えば、ロボットが周囲の環境を認識し、障害物を避けるための「センサー技術」。より効率的に動作し、自律的に判断するための「AI(人工知能)」や「機械学習」。ロボットの動作プログラムを簡単に設計できる「CAD/CAMソフトウェア」。そして、複数の軸を正確に同時に制御する「モーションコントロール技術」などが挙げられます。これらの技術が連携することで、第7軸ロボットはさらにスマートで高性能なシステムへと進化していきます。
未来を形作るロボット技術の進化
ロボット用第7軸は、製造業や物流、医療など幅広い分野で活用され、今後その重要性がさらに増していくと考えられます。より効率的で柔軟な生産システムの構築が求められる中で、第7軸は高度な自動化と多様なニーズに応えるロボティクス進化の中心的な役割を果たすことでしょう。この技術の発展が、私たちの社会にどのような未来をもたらすのか、その可能性に知的なワクワク感を抱かずにはいられません。
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