大阪・関西万博の41万人データが示す新発見:AI解析で「BMIが高いほど顔の赤みが強い」傾向が明らかに

大阪・関西万博のビッグデータから紐解く、肥満と顔の赤みの意外な関係

2025年に開催された大阪・関西万博では、最先端の技術が健康管理にも活用されました。その一つが、「大阪ヘルスケアパビリオン」に設置された「カラダ測定ポッド」です。このポッドで収集された41万人を超える来場者の健康測定データを、近畿大学医学部と大阪大学大学院の研究グループがAI(人工知能)を用いて詳細に解析。その結果、私たちの健康状態を示す指標であるBMI(ボディマス指数)が高い人ほど、AIが算出した顔面の「赤みスコア」が高い傾向にあることが明らかになりました。

41万人超のデータが示す新たな知見

顔の赤みは、血流、紫外線、飲酒、ホルモン、皮膚の炎症など、様々な要因によって引き起こされます。一方、肥満は全身の炎症と関連があることが知られていますが、大規模な集団において肥満と顔の赤みの関連が詳しく調べられたことはこれまでありませんでした。

今回の研究では、万博の来場者から得られた顔の皮膚データ、血管や脈拍に関するデータ、そして基本的な身体情報を匿名化した上で活用。AI搭載の肌測定システムが顔画像から算出した「赤みスコア」(画像上の顔の赤みの程度を数値化した指標)と、BMI(体重を身長の2乗で割った体格の指標)との関係が調べられました。

身体測定と顔画像を組み合わせ、BMIと画像上の赤みとの関連を解析

解析対象となったのは、成人410,384人という非常に大規模なデータセットです。その結果、BMIが高いグループほど、高い赤みスコアを示す人の割合が増加していることが確認されました。

  • BMIが正常なグループでは2.1%

  • 肥満1度(BMIが少し高い)のグループでは6.5%

  • 肥満2度以上(BMIがかなり高い)のグループでは11.4%

この傾向は、年齢の影響を考慮しても同様で、BMIが正常なグループと比較すると、肥満1度のグループでは約3倍、肥満2度以上のグループでは約6倍も高い赤みスコアを示すオッズ(ある事象の起こりやすさを群間で比べる指標)が高いことが分かりました。

BMIが高い群ほど、割合が高い傾向を示すグラフ

特に、30歳から59歳の女性において、BMIと赤みスコアの関連がより強く認められる傾向がありました。

研究の意義と未来への期待

これまでの研究では、これほど大規模なデータを用いて、肥満と顔の赤みの関連をAIで解析した例はほとんどありませんでした。今回の研究は、AIによる画像解析とビッグデータを組み合わせることで、これまで見過ごされてきた身体のサインに気づく可能性を示しています。

ただし、この研究は「横断研究」(ある一時点のデータを調べて関連性を探る研究)であるため、肥満が顔の赤みを直接引き起こす「因果関係」を明確に示すものではありません。また、飲酒量、化粧、肌の色調、紫外線への曝露、特定の薬剤の使用、あるいは「酒さ」(顔に赤みやブツブツが生じる皮膚疾患)など、顔の赤みに影響を与える他の要因については、十分に調整されていません。

研究グループは、今後、皮膚科専門医による詳しい診察結果や、標準化された撮影条件を組み合わせることで、AIが算出する赤みスコアが持つ臨床的な意味や、その背景にある要因について、さらに深く検証を進める予定です。この研究はまだ基礎的な段階ですが、「皮膚は内臓を映す鏡」という言葉があるように、顔の赤みが体の内部の状態を示す重要な手がかりとなるかもしれません。

この発見が、将来的に赤ら顔の改善方法の解明や、より早期の健康状態の変化を捉える技術へとつながる可能性を秘めており、今後の研究の進展に大きな期待が寄せられています。

論文情報

この研究成果は、皮膚科学の国際的な学術雑誌”JAAD International”に掲載されました。

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