日本のサイエンスが持つ潜在力とグローバル市場への課題
山口泰範博士は、日本が世界トップクラスの科学技術や研究成果で画期的な貢献をしている一方で、投資市場環境においては、ディール数(企業間の取引件数)が減少傾向にあると指摘しました。これに対し、Neil W. Gibson博士は、このギャップは科学や技術への投資額の格差によるものであり、日本のイノベーション(技術革新)発展のためには、米国への資本アクセスが非常に重要であるとの見解を示しました。

米国投資家が日本に注目する理由
対談では、米国投資家が日本の質の高いアセット(資産、ここでは優れた研究成果や技術)や、日本政府によるAMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)のようなバイオ・製薬分野への投資促進の取り組みに注目していることが明らかにされました。
山口博士は、日本が持つ「世界トップクラスの科学力」「真のイノベーション」「強固な知的財産(IP:知的財産権)」「グローバルパートナーシップの可能性」を、世界から投資を呼び込む競争力の源泉であると強調しました。
Neil博士は、米国の大手製薬企業やバイオ投資家が、パテントクリフ(医薬品の特許切れによる売上急減)や自社研究開発の課題を背景に、世界中で有望な創薬アセットを積極的に探索している状況を説明。その中で、日本政府の支援策や世界トップレベルの科学技術が高い評価を受けており、日本への関心が高まっていると述べました。また、AMEDの認定を受けた海外ベンチャーキャピタル(VC:未上場企業に投資するファンド)が15社以上存在するなど、海外投資を後押しする環境整備が進んでいることも紹介されました。

Neil博士は、投資判断で最も重視されるのは「新規性」と「イノベーション」であり、既存技術の延長ではなく、アンメット・メディカル・ニーズ(まだ有効な治療法が確立されていない医療上の必要性)に応える独創的な技術こそが、世界市場で大きな価値を生み出す成長機会になるとの見解を示しました。
NANOホールディングスが目指す「日本と世界をつなぐゲートウェイ」
山口博士は、日本には世界トップクラスのサイエンスと有望な創薬アセットが多数存在するものの、それらを世界市場へつなげる仕組みが重要だと説明しました。NANOホールディングスは、その実現に向けた価値創造のプラットフォームとして、以下の4つを柱に案件を育成していると述べました。
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優れた技術の発掘
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資本との接続
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開発・価値設計(Edit)
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Exit(イグジット:投資回収。事業提携・ライセンス・M&Aなど)の創出
複数の有力な米国投資家との協議を進め、グローバル製薬企業との提携や大型ディール(大規模な取引)の創出を通じて、日本発のイノベーションを世界へ届けることを目指しているとのことです。

Neil博士は、「NANOホールディングスが日本の技術を世界へつなぎ、事業開発と投資機会を創出し、世界へのゲートウェイ(玄関口)として、グローバル製薬企業との提携や大型ディールを実現することで、日本発サイエンスの価値を最大化し、最終的には優れた科学を優れた医薬品へと育て、世界中の患者へ届けることが目的である」と締めくくりました。
プレス向けQ&Aセッションから見えた展望
特別対談に続き、プレス向けQ&Aセッションでは、NANOホールディングス株式会社 代表取締役会長兼社長CEOの松村淳氏、取締役CIOの飯野智氏も加わり、活発な質疑応答が行われました。

投資対象として魅力的なアセットとは?
Neil博士は、複数の治療領域を検討しているとした上で、特に重要なのは「有望なヒト臨床データ」を持つアセットであると説明しました。米国投資家は、投資判断にあたり臨床データを重視するため、一定の有効性や可能性を示すデータがあることが、投資を呼び込むうえで重要になるという見解です。
注目領域としては、自己免疫疾患、神経疾患・神経変性疾患、認知症、アルツハイマー病、統合失調症などが挙げられました。これらは、いまだ十分な治療法が確立されていない「高いアンメット・メディカル・ニーズ」が存在する領域です。一方、オンコロジー領域(がん治療分野)にも興味深いアセットはあるものの、競争が非常に激しいため、投資対象として魅力を持たせるには、極めて質の高いデータが必要だと指摘されました。

投資規模と今後の案件は?
取締役CIOの飯野氏は、投資金額については案件によって異なると説明しました。創薬関連では10億円から15億円規模になる可能性がある一方、ヘルスケアデータ関連などでは、そこまで大きな資金を必要としないケースもあるとのことです。今後は、ヘルスケアデータ、製造関連、創薬パイプラインなど複数の分野において案件を検討しており、年内にも数件の具体的な投資案件が生まれる可能性があると説明されました。

日本市場の魅力は限定的ではないのか?
Neil博士は、「日本企業がより大きな価値を生み出すには、日本国内市場だけでなく、グローバル市場を活用することが重要だ」と述べました。さらに、日本のアセットを新たな事業構造に組み替え、米国資本へアクセスし、グローバルに開発を進めることで、日本企業の市場機会を拡大できると説明しました。
代表取締役会長兼社長CEOの松村淳氏は、日本の製薬会社が自社の優先順位や資本力の制約から、すべてのアセットを自社で開発することが難しいという現状の課題について述べ、「NANOホールディングスはこのジレンマのギャップを埋める役割を担おうとしている」と説明しました。

中国投資から日本が学べる点
Neil博士は、中国で多くのディールが行われているのは、主に米国の大手製薬企業であると説明しました。米国製薬企業は、自社の研究開発パイプラインを補完するため、中国企業のアセットを活用し、臨床データを取得してグローバル開発につなげようとしているとのことです。しかし、FDA(米国食品医薬品局:食品や医薬品の承認を行う政府機関)は、中国でのみ実施された臨床データの品質を厳しく確認するようになっており、中国データだけでは承認上十分とみなされないケースもあると指摘しました。
また、一部では、中国企業からライセンスを受けたアセットについて、実際のデータ品質が期待通りではなかった事例もあり、投資家の間には中国投資に慎重な姿勢も生まれているといいます。そのため、投資家や製薬企業は、中国以外にも質の高いアセットを求めており、その候補として日本に注目が集まりつつあると説明されました。
日本発サイエンスの未来
この特別対談とQ&Aセッションを通じて、日本の優れた科学技術が米国投資家から大きな期待を寄せられていることが明確になりました。NANOホールディングスのような「ゲートウェイ」の役割を果たす企業が、日本のイノベーションをグローバル市場へつなぎ、世界中の患者に新たな医薬品を届ける未来が期待されます。
関連リンク
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特別対談 公開サイト: https://youtu.be/1K2Kgw6NNNE
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NANOホールディングス株式会社HP: https://www.nano-hd.com/




