ドライビングシミュレータの役割が進化
かつてドライビングシミュレータは、主に車両の運動性能や試乗評価に使われていました。「実車にどれだけ近い評価ができるか」という可能性の確認が中心だったのです。
しかし現在では、その役割は大きく広がっています。先進運転支援システム(ADAS)の開発や、人間工学的な評価、そして物理的なモノやプロセスのリアルタイムな仮想モデルであるデジタルツインの活用、電気自動車(EV)の開発、さらには車内の空間設計や操作環境の検証など、研究開発を支える重要な基盤へと進化しています。
自動車業界では、電動化やADASの高度化、デジタルツインの活用が進む中で、開発プロセスが大きく変わってきています。これまでの試作車を使った検証から、開発の初期段階でバーチャル環境での検証を行う動きが加速しています。

人間中心の開発へシフトする自動車業界
この2年間で特に顕著なのが、人間工学やドライバー評価に関する技術相談の増加です。現在、技術相談全体の約40%を人間工学関連のテーマが占めていると報告されています。人間工学とは、人間の特性に合わせて製品や環境を設計する学問のことです。
先進運転支援システム(ADAS)や自動運転支援機能は、ただ正しく作動するだけでは十分ではありません。例えば、車線変更支援が自然に感じられるか、警告のタイミングが適切か、ドライバーに不安や違和感を与えないかといった「ドライバーがどう感じるか」という点が非常に重要視されています。

これにより、自動車開発は従来の車両性能中心から、ドライバーの認知特性や操作感覚まで含めた「人間中心」の開発へと、その範囲を広げています。開発の早い段階からバーチャル環境で検証を行うことで、課題を早期に発見し、改善につなげることが可能になります。
広がるドライビングシミュレータの活用領域
ドライビングシミュレータの活用は、自動車メーカーだけでなく、部品メーカー、タイヤメーカー、電気・電子デバイスメーカーなど、幅広い業界に広がっています。
自動車メーカーからはADASや人間工学評価、車両全体の性能最適化に関する相談が多い一方、部品メーカーからは、部品の変更が運転感覚や車両の挙動に与える影響の検証など、より具体的な開発課題に関する相談が増加しています。
また、タイヤ開発では、ドライバー評価や評価シナリオの開発、技術者教育などにも活用が進んでいます。実機では再現が難しい条件や危険を伴う作業環境をバーチャル空間で再現することで、人と機械の関係性を含めた検証が可能になっています。

ドライビングシミュレータは今や、単なる自動車開発のための設備ではなく、人とモビリティ、人と機械の相互作用を深く理解し、製品開発に反映するための研究開発プラットフォームへと進化を遂げています。
次の2年へ:未来のモビリティ開発を支える
この2年間で、ドライビングシミュレータの活用検討は「導入できるか」という段階から、「どうすれば最大限に活用できるか」という段階へと移行しました。電動化やADASの進化、デジタルツインの活用拡大は、車両開発に大きな転換期をもたらしています。
今後は、車両の性能だけでなく、人がどう感じるか、どれだけ使いやすいかといった「人の感覚」まで含めて、開発の初期段階から検証することがますます重要になります。S&VLは、バーチャル技術と人間理解を融合させることで、顧客の開発課題解決と、より良いモビリティの実現に貢献していくとしています。
S&VL株式会社に関する詳細情報はこちらをご覧ください。



