Veritas In Silicoと三菱ガス化学が「lncRNA標的核酸医薬品」で共同特許出願!がん治療に新たな可能性を開く技術とは

核酸医薬品とは?

まず、核酸医薬品とは、遺伝子の情報を伝える「核酸」という物質を利用して病気の原因となる遺伝子の働きを調整するお薬です。特に今回用いられる「アンチセンス核酸(ASO)」は、標的となる遺伝子(mRNA)と結合し、タンパク質の生成を阻害したり、mRNAの分解を促進したりすることで、病気の進行を抑える働きが期待されています。

lncRNAが新たな標的に

これまで、医薬品開発の主な標的はタンパク質やmRNAでしたが、今回の共同研究では「lncRNA(long non-coding RNA)」という、タンパク質を作らない比較的長いRNAを標的としました。lncRNAは細胞内で遺伝子の働きを細かく調節する役割を持ち、その異常が様々な疾患、特にがんの発症や進行に関わることが近年明らかになってきています。lncRNAを標的にすることで、より幅広い治療効果が期待できるとされています。

H19を狙う、ファーストインクラスの可能性

今回標的とされた「lncRNA H19」は、胚発生時に高発現し、がん細胞の増殖、浸潤、転移、治療抵抗性に関与することが報告されています。H19を標的とした核酸医薬品は、腫瘍の進行抑制や既存治療との併用効果が期待され、さらに正常細胞での発現が極めて低いことから、副作用のリスクが少ない有望な創薬対象と考えられています。この医薬品は、既存薬がない「ファーストインクラス」となる可能性を秘めています。

Veritas In Silicoの技術力

Veritas In Silicoは、独自の創薬プラットフォーム「aibVIS」を活用しています。aibVISは、mRNAを標的とする創薬に必要なデジタル技術と創薬技術を統合したもので、AIやスーパーコンピュータ「富岳」を駆使した構造解析が可能です。この技術を応用することで、mRNAだけでなくlncRNAも標的にできることが示され、創薬の領域が大きく広がると考えられます。

独自のドラッグデリバリーシステムとの連携

今回特許出願された核酸医薬品は、Veritas In Silicoが独自開発し、2025年12月に特許取得済みのドラッグデリバリーシステム(DDS)「Perfusio(パーフュージオ)」との組み合わせにより、将来的に高い薬効と副作用の低減が期待できる治療方法の実現につながる可能性があります。ドラッグデリバリーシステムとは、医薬品の有効成分を、治療したい特定の臓器に効率よく届けるための技術です。Perfusioは、カテーテルを用いて対象臓器に直接医薬品を届け、さらに全身への拡散を防ぐユニークな方法を採用しています。

開発期間と今後の展望

この医薬品候補の開発期間は8~10年を想定しており、まずはlncRNA H19が関与するがん患者を対象に、パートナー企業との連携も視野に入れながら、比較的小規模な臨床試験による承認を目指す計画です。承認取得後は、適応症の追加やグローバル展開も進められる予定です。研究の初期段階から「QbD(Quality by Design)」という、製品設計時から製造時の品質を考慮する考え方を取り入れ、早期の製造方法確立と迅速な臨床試験への進展を目指しています。

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