廃棄物リサイクルと脱炭素の融合
広島県呉市で、産業廃棄物処理・リサイクル事業を展開する株式会社こっこーが、廃棄物リサイクルを脱炭素の最前線へと押し上げる画期的な実証実験を2026年7月下旬より開始します。このプロジェクトは、太陽光発電の余剰電力を使って製造した「グリーン水素」を、鉄スクラップ加工の溶断ガスとして利用するというものです。企業活動における脱炭素化と資源再生を組み合わせた、国内外でも類を見ない先進的なモデルの確立を目指しています。

未利用エネルギーを「グリーン水素」へ
リサイクルの現場では、マグネットクレーンやプレス機などの稼働により、電力消費量が数秒単位で大きく変動します。このため、設置されている自家消費型太陽光発電システムでは、電力需要の急激な変化に追従できず、発電可能な電力の約半数(年間約40万kWh)が有効活用できていないという課題がありました。
この課題を解決するために注目されているのが、未利用の余剰電力と水電解装置を使って製造・貯蔵する「グリーン水素」です。グリーン水素とは、再生可能エネルギー(太陽光や風力など)から作られた電力で水を電気分解して製造される水素のことで、製造過程で二酸化炭素(CO2)を排出しないため、「グリーン」と呼ばれています。このグリーン水素を、従来プロパンガスで行っていた鉄スクラップの溶断燃料として活用する実証実験が行われます。
実験段階では、水素系燃料混合ガス「HL-1」を使用する予定です。水素は燃焼時にCO2を排出しないため、この技術が実装されれば、従来のプロパンガス100%での作業と比較して、同センターにおけるガス溶断のScope1排出量(事業者自らによる温室効果ガスの直接排出量)を、置換率に応じて年間約12~23トン削減できる見込みです。

CO2削減と作業環境改善を両立
株式会社こっこーは、2023年に中小企業向けSBT(Science Based Targets:企業が地球温暖化対策の国際的な目標達成に貢献するため、科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出削減目標を設定すること)認定を取得し、2030年までにGHG排出量を42%削減(2022年度比)するという目標を掲げています。この目標達成のため、グリーン水素の活用は重要なステップとなります。
溶断における水素混合ガスの利用は、CO2削減だけでなく、現場作業の効率化と環境改善にも貢献すると期待されています。具体的には、「逆火が起こりにくく安全性が高い」「ススが少なくノロ(溶融カス)が取れやすいため作業効率が向上する」「輻射熱が小さいため作業者への熱負担が軽減される」といったメリットが挙げられます。

同社の過去の取り組みについては、以下の記事で詳細が紹介されています。
https://note.com/cocco_ksk/n/n88a8b495b9ed
サプライチェーン全体の脱炭素化と地域貢献へ
この取り組みは、同社だけでなく、製造業が集積する呉市全体のサプライチェーンの脱炭素化(Scope3削減)にも貢献します。リサイクル工程が低炭素化されることで、資源を供給する取引先企業の環境価値向上に直結するからです。また、解体業務を行う同社にとって、建物のライフサイクルカーボン(LCCO2:製品や建築物の「資源採取から製造、輸送、施工、使用、そして解体・廃棄に至るまでの生涯全体」で排出される二酸化炭素の総量)を考慮した取り組みは不可欠です。
将来的には、社内で消費しきれない水素を周辺の企業や公共施設に供給する「地域脱炭素」への貢献も見据えており、地域一体となったカーボンニュートラル実現への推進役となることでしょう。

株式会社こっこーは、「かぎりあるものを、かぎりなく」をスローガンに、この実証実験を皮切りに、グリーンエネルギーを資源再生プロセスに融合させる「脱炭素型資源再生プロセス」の確立を目指します。カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミー(循環型経済)を同時に実現させるこの呉市発の先進モデルを通じて、地域社会と共に持続可能な未来を創り上げていくことが期待されます。
株式会社こっこーの公式サイトはこちらです。
https://www.cocco-at.jp/




