なぜ木材の環境負荷を「見える化」するのか
近年、地球温暖化対策として「カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)」が世界的に重視されています。建築資材や家具に使われる木材も例外ではなく、その製造過程でどれくらいの環境負荷(二酸化炭素の排出量など)があるのか、透明性が強く求められるようになりました。
しかし、木材の流通は非常に複雑です。原木が伐採されてから、加工され、最終製品として消費者の手元に届くまでの全ての段階で、正確な環境負荷データを把握するのは簡単なことではありません。この課題を解決するために、今回の共同研究がスタートしました。
LCAで木材の環境負荷を評価
この研究では、森未来が持つ木材流通に関する豊富な知識と、東京農工大学の加用千裕教授が専門とするLCA(ライフサイクルアセスメント)という手法を組み合わせます。
LCAとは、製品やサービスが生まれてから廃棄されるまでの全ての段階(原材料の調達、生産、輸送、使用、廃棄・リサイクルなど)で、どれくらいの環境負荷があるのかを総合的に評価する手法です。これにより、木材の流通経路に沿った正確な環境負荷を算出できるモデルを構築し、信頼性の高い「見える化」と、実効性のある「デューデリジェンス(企業の活動における環境・社会的なリスクを事前に調査・評価すること)」の基準作りを目指します。
共同研究の具体的な進め方(フェーズ1)
研究は段階的に進められます。最初のフェーズでは、以下の3つの点に重点を置いて取り組む予定です。

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研究の位置づけ
加用教授が長年研究してきたLCAの手法を活用し、木材のデューデリジェンス基準を策定するための最初のステップとします。 -
研究内容
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サプライチェーンのフロー図策定とシステム境界の厳密化
森未来の過去の取引事例を詳しく分析し、原木の調達から製品の納品までの具体的な流通経路を明らかにします。これにより、LCAで評価する範囲(システム境界)を正確に設定し、精度の高い算出の土台を築きます。 -
LCA算出におけるデータ項目の明確化と収集手法の検討
評価範囲に基づいて、どのデータを集めるべきかを特定します。既存のデータベースで補えるデータと、現場で直接集めるべきデータを区別し、特に現場でのデータ収集については、5Gなどの次世代通信技術を使った効率化や自動化の可能性も探ります。
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フェーズ2以降に向けた検証と研究内容の策定
フェーズ1の結果を踏まえ、次の段階では実際の事例に基づいてLCAの算出方法を比較検証し、その算出結果を公開することが市場でどのような価値を持つのかを検証していく計画です。
東京都のスタートアップ支援事業との連携
この共同研究は、東京都が実施する「Tokyo NEXT 5G Boosters Project」の一環である「Next 5G Social Innovation Program」の支援を受けています。

このプロジェクトは、東京のスタートアップ企業が5Gをはじめとする次世代通信技術を活用し、都民の生活の質(QOL)向上に役立つ新しい技術やサービスを生み出すことを目指しています。開発プロモーターである株式会社eiiconが、採択されたスタートアップと連携事業者の協働を推進し、事業開発から社会実装までを支援します。
本事業の詳細については、以下のウェブサイトをご参照ください。
Tokyo NEXT 5G Boosters Project
研究を推進する専門家と企業
国立大学法人東京農工大学 大学院グローバルイノベーション研究院 教授 加用 千裕氏
森林経営学、木材利用学、環境システム学を専門とし、LCAを用いた森林・林業・木材産業の環境影響評価において、国内で有数の研究成果を持つ専門家です。
加用研究室のURL:
https://sites.google.com/go.tuat.ac.jp/rinkei/
株式会社森未来
「Sustainable Forest」をミッションに掲げ、木材のプラットフォーム運営やBtoBマッチングを展開しています。持続可能な木材調達の支援を通じて、森林経営と社会を繋ぐDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。
株式会社森未来 コーポレートサイト:
https://shin-mirai.co.jp/
森未来が提供するサービス:
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BtoB向け木材プラットフォームeTREE:https://www.etree.jp/
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木材特化型AIアシスタント Laurel:https://laurel-ai.jp/
未来への展望
今回の共同研究は、複雑だった木材の環境負荷を明確にし、より透明で信頼性の高い木材調達を実現するための重要な一歩です。LCAと次世代通信技術の組み合わせにより、データ収集が効率化され、これまで見えにくかった環境への影響が具体的に把握できるようになるでしょう。これにより、消費者はより環境に配慮した木材製品を選べるようになり、企業は持続可能なサプライチェーンを構築しやすくなります。この研究が、森林資源の保護とカーボンニュートラル社会の実現に大きく貢献することが期待されます。



