次世代パワー半導体「r-GeO₂」の可能性を拓く!『びわこ半導体構想 技報』創刊

2026年8月6日、Patentix株式会社は、産学官連携のオープンイノベーション拠点「びわこ半導体構想」の最初の成果として、『びわこ半導体構想 技報』創刊号を発行したことを発表しました。この技報では、同社が開発を進める次世代パワー半導体材料「ルチル型二酸化ゲルマニウム(r-GeO₂)」について、その開発背景から最新の技術成果、そして未来の社会実装に向けた具体的な計画が詳しく解説されています。
なぜ今、新しいパワー半導体が必要なのか?
地球規模での脱炭素化やエネルギー危機が叫ばれる中、電気自動車の普及や再生可能エネルギーの導入拡大が加速しています。これらの技術を支えるのが「パワー半導体」という部品です。パワー半導体は、電力の変換や制御を担う、いわば電気の司令塔のような役割を果たします。しかし、従来のシリコン(Si)を主材料とするパワー半導体では、性能向上の限界が見え始めていました。
そこで注目されているのが、Patentix株式会社が開発を進める「ルチル型二酸化ゲルマニウム(r-GeO₂)」です。この新材料は、従来の半導体では実現が難しかった「高耐圧(高い電圧に耐えられる能力)」と「低ON抵抗(電流を流す際の抵抗が非常に低いこと)」、さらには「pn両伝導性(プラスとマイナスの両方の電気を効率よく使える性質)」という優れた特性を兼ね備えています。これにより、電力損失を大幅に減らし、機器の小型化や高効率化に貢献することが期待されています。
世界初の技術成果と実証の進捗
『びわこ半導体構想 技報』創刊号では、r-GeO₂に関するこれまでの画期的な研究成果が紹介されています。特に注目すべきは、世界で初めて「6インチSi基板(現在の半導体製造の主流材料であるシリコンの土台)上へのr-GeO₂単結晶膜成膜(材料を原子レベルで規則正しく並べて薄い膜を作る技術)」に成功したことです。これは、既存の半導体製造インフラを活用しながら、高性能なr-GeO₂デバイスを製造する道を開く重要な一歩です。
また、p型伝導性の実証に向けた検証が進められているほか、高耐圧SBD(高速で電流のON/OFFを切り替えられる半導体部品)やMOSFET(電流のON/OFF制御や信号増幅に使う半導体スイッチ)の動作実証にも成功しています。これらの成果は、r-GeO₂が理論上の優位性だけでなく、実際のデバイスとして機能することを示しており、実用化への期待を高めるものです。これらの技術は現在研究開発段階にあり、将来の製品化を目指して検証が進められています。
社会実装に向けたロードマップとオープンイノベーション
Patentix株式会社は、r-GeO₂の量産化と社会実装を見据え、具体的なロードマップを描いています。主要な開発ターゲットとして、「ヘテロエピ基板(シリコンの上にr-GeO₂の薄膜を成長させた基板)」「転写基板」「バルク基板(ミニマルファブ対応:小規模で柔軟な生産が可能な半導体製造システムに対応した基板)」の3つを掲げ、それぞれの特性に応じた展開戦略を進めています。
これらの取り組みは、「びわこ半導体構想」という産学官連携の枠組みを通じて推進されています。参画機関や支援機関との協力により、サプライチェーンの構築とオープンイノベーション戦略を進めることで、次世代パワー半導体の早期実用化と、それに伴う社会課題の解決に貢献していくことを目指しています。
Patentix株式会社は、今後も「びわこ半導体構想」を通じて、より多くの企業や機関との連携を深め、革新的な半導体技術の開発を進めていくことでしょう。
関連情報
本プレスリリースおよび技報に関する詳細は、以下のWebサイトで確認できます。
- びわこ半導体構想事務局: https://www.biwakosemiconductor.org



