未来のモノづくりを支える「自動光学検査装置」とは?市場が2035年に約80億ドル規模に拡大予測

製造業の品質を革新する「自動光学検査装置」の未来

現代のモノづくりにおいて、製品の品質は非常に重要です。特にスマートフォンや電気自動車(EV)のような精密機器では、わずかな欠陥も許されません。そこで活躍するのが「自動光学検査(AOI)装置」です。これは、カメラやセンサーを使って製品の表面や内部を自動で検査し、人間の目では見落としがちな微細な傷や不良を高速かつ正確に検出する装置のことです。この技術が、製品の均一性を保ち、信頼性を向上させるために不可欠な役割を担っています。

SDKI Analyticsが2026年6月23日に公表した調査によると、この自動光学検査(AOI)装置市場は、2025年には約40.5億米ドルだった市場規模(収益額)が、2035年には約80億米ドルに達すると予測されています。この期間を通じて、年平均成長率(CAGR)は約7%で推移すると見込まれており、今後も大きな成長が期待されています。

自動光学検査(AOI)装置市場の調査結果

市場成長を牽引する二つの大きな波

自動光学検査装置市場の成長は、主に二つの大きな要因によって後押しされています。

1. 工場の自動化の加速

世界中で工場の自動化が進み、産業用ロボットの導入が拡大しています。国際ロボット連盟(IFR)の報告によれば、2024年には世界で542,000台もの産業用ロボットが導入されました。このような自動化された生産ラインでは、高速で信頼性の高い品質検査が求められます。自動光学検査装置は、製造業者がリアルタイムで欠陥を検出し、目視検査の負担を軽減し、製品の均一性を向上させることで、最新の自動化生産ラインの効率的な稼働を支援しています。

2. インターネットユーザーの急増と電子機器需要の拡大

世界的なインターネットユーザーの急増も、市場成長の重要な要因です。国際電気通信連合(ITU)の報告では、2024年には約55億人がインターネットを利用しており、これは世界人口の約68%に相当します。これにより、スマートフォン、ネットワーク機器、データセンター、通信機器といったコネクテッド電子機器への需要が爆発的に高まっています。

これらの需要に応えるため、メーカーは電子機器の生産を拡大しており、検査精度の向上、欠陥の削減、そして安定した製品品質の確保が必須となっています。自動光学検査装置は、このような背景の中で、生産効率と品質を両立させるための鍵として、その利用が拡大しているのです。

進化し続ける検査技術:最新動向

自動光学検査装置の分野では、技術革新が日々進んでいます。いくつかの企業が、より高度な検査能力を持つ製品を市場に投入しています。

例えば、オムロン株式会社は2024年4月に、EV(電気自動車)や先端電子機器の製造向けに、3D CT自動X線検査装置「VT-X850」を発売しました。この装置は、1回の検査で300枚以上の断面画像を生成し、高い信頼性が求められるはんだ接合部の品質管理に対応するよう設計されており、すでに実用化されています。これは、従来の検査では難しかった製品内部の精密な欠陥検出を可能にし、製造品質をさらに高めるものです。

また、Viscomは2024年7月に開催されたSMTA International 2024において、自動光学検査(AOI)の最新技術やAIを活用したソフトウェア開発の成果を発表しました。AIの活用は、検査の精度と速度を飛躍的に向上させ、より複雑な欠陥パターンも自動で学習・検出できるようになるなど、今後の発展が期待される研究開発段階の領域です。

市場を支える技術と地域ごとの動向

技術別セグメンテーション

自動光学検査装置市場は、技術別にインラインAOIシステム、オフライン/デスクトップAOIシステム、手動/ロボットAOIシステムに分けられます。この中で、インラインAOIシステムが予測期間中に55%の市場シェアを占め、主要な地位を確立すると見込まれています。

「インラインAOIシステム」とは、製造ラインに直接組み込まれ、製品が生産されている最中にリアルタイムで検査を行うシステムのことです。データセンターインフラの継続的な拡大に伴い、サーバー、ネットワーク機器、電子部品の生産量が増加しています。メーカーが生産規模を拡大する中で、大量生産時におけるリアルタイム検査の実施、製品品質の向上、および欠陥の低減を実現するために、インラインAOIシステムへの需要が高まっています。

地域別セグメンテーション

地域別に見ると、予測期間中、アジア太平洋地域が世界市場において32%を超える圧倒的なシェアを占め、主導的な地位を確立すると見込まれています。この地域の電子機器輸出の拡大が、市場成長の大きな要因です。

例えば、インドの電子機器輸出額は、2024年同期の156億米ドルに対し、2025年4月-9月期には41.9%増加し、222億米ドルに達しました。スマートフォン、半導体、電子部品の生産規模が拡大する中で、製品品質の確保、不良品の削減、そして国際的な輸出基準への適合を図るために、自動光学検査装置の必要性が高まっています。

日本の自動光学検査装置市場も、産業オートメーションの導入拡大に伴い、世界市場において著しい成長を遂げると予想されています。2024年に日本国内で導入された産業用ロボットは44,500台に上りました。こうしたロボット技術やスマートファクトリー技術の利用拡大が、自動光学検査装置への需要を喚起し、メーカーによる品質管理の向上や不良品の削減、さらには高精度な自動生産の実現を支援しています。

市場を牽引する主要企業

世界の自動光学検査装置市場における主要企業には、Nordson Corporation、Viscom AG、Camtek Ltd.、Mirtec Co., Ltd.、ViTrox Corporation Berhadなどが挙げられます。日本市場においては、Omron Corporation、Saki Corporation、Yamaha Motor IM Division、Parmi Corpus.、Mek Marantz Electronics Ltd.が上位5社として注目されています。

未来を形作る品質管理の要

自動光学検査装置は、現代の製造業において、品質管理の精度と効率を劇的に向上させる不可欠な技術です。工場の自動化が進み、精密電子機器の需要が高まる中で、この技術は今後さらに進化し、私たちの生活を支える様々な製品の信頼性を保証してくれるでしょう。AIの導入など、新たな技術革新も進んでおり、未来のモノづくりはよりスマートで高品質なものへと変革していくに違いありません。

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