日本の「体外診断(IVD)」市場が2035年に77億ドル規模へ拡大予測!

株式会社マーケットリサーチセンターが発表した調査資料「体外診断(IVD)の日本市場(2026年-2035年)」によると、日本の体外診断市場は今後大きく成長する見込みです。
2025年時点で42.2億米ドル規模に達しているこの市場は、2026年から2035年にかけて年平均成長率(CAGR)6.2%で拡大し、2035年には77.0億米ドルに達すると予測されています。この成長の背景には、高齢化による診断ニーズの増加、慢性疾患や感染症の拡大、そして医療技術の進化があります。
体外診断(IVD)とは?
体外診断(IVD:In Vitro Diagnostics)とは、私たちの体から採取した血液、尿、組織などの検体(サンプル)を、体の外で分析して病気の診断、健康状態の確認、治療方針の決定に役立てる検査のことです。例えば、健康診断で行われる血液検査などもIVDの一つです。
なぜ市場が拡大するのか?
日本のIVD市場が拡大する主な要因は多岐にわたります。
1. 高齢化と慢性疾患の増加
高齢者人口が増えるにつれて、糖尿病、がん、心血管疾患などの慢性的な病気が増えています。これらの病気は早期発見と継続的な管理が重要であり、IVDは定期的な検査を通じてその役割を担います。
2. 感染症と個別化医療の進展
感染症の診断技術は日々高度化しており、病原体を素早く正確に特定することが求められています。また、患者さん一人ひとりの体質や病状に合わせて最適な治療法を選ぶ「個別化医療」が進むにつれて、より詳細な情報を提供するIVDの重要性が増しています。
3. 先端技術の導入
AI(人工知能)を組み合わせた検査や、病院以外で手軽に受けられる「在宅・ポイントオブケア(POC)検査」の拡大も市場を後押ししています。POC検査は、患者さんの近く(診察室や自宅など)で迅速に結果が得られるため、特に感染症や急性疾患の診療効率を大きく改善できます。
注目の技術と診断
感染症診断の進化
感染症の分野では、薬剤耐性菌(AMR)対策が喫緊の課題となっています。2024年7月には、Shionogiがグラム陰性菌感染症治療薬「Fetroja」に対する細菌の感受性を評価する検査製品「Shionogi MIC Dry Plate Cefiderocol」を国内で発売しました。これは、単に感染の有無だけでなく、どの薬剤が有効かを迅速に判定することで、適切な抗菌薬選択を支援し、AMR対策に貢献する実用化された技術です。
がんの早期発見と分子診断
がん診断も重要な成長領域です。2023年6月には、Toray Industriesが膵がん診断を補助する「Toray APOA2-iTQ」について厚生労働省から製造販売承認を取得しました。これは、早期発見が難しい膵がんに対し、APOA2というタンパク質の2種類のアイソフォーム(分子の異なる形)を測定する日本初のIVDキットであり、新しい診断手段として注目されています。
「分子診断」は、病気の原因を遺伝子やタンパク質といった分子レベルで特定する技術です。特にPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)は、感染症の病原体検出やがん遺伝子解析などで広く利用され、個別化医療の進展とともにその重要性が高まっています。
AI統合型診断の可能性
検査装置から得られる大量のデータをAIで解析することで、異常パターンの検出や診断候補の提示が可能になるでしょう。特に、複数のバイオマーカー(生体内の指標)を同時に扱う分子診断やがん診断では、AIによる解析支援との相性が良いと考えられます。しかし、AIの導入にはデータ品質の確保やアルゴリズムの検証、医療機器としての規制対応など、慎重な運用が求められる研究段階の側面も持ち合わせています。
検査の場所も変わる
病院や診断センターが引き続き主要な利用者ですが、今後はPOC検査や在宅診断の伸びが重要になります。高齢者や慢性疾患の患者さんにとって、毎回病院へ行かずに自宅で検査ができれば、身体的・時間的な負担を減らすことができます。将来的には、簡便な自己検査キットとデジタルアプリを組み合わせ、結果を医療機関と共有するようなモデルがさらに増えていくと予想されます。
市場を支える主要企業
この巨大な市場を牽引するのは、Roche、Bio-Rad Laboratories、bioMérieux、Abbott、Sysmexといった国内外の企業です。
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Roche(ロシュ):幅広い診断領域で検査薬・機器を提供し、総合的なIVDプラットフォームを持つ強みがあります。
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Bio-Rad Laboratories(バイオ・ラッド・ラボラトリーズ):極めて微量な遺伝子変異や核酸量を高精度に定量できる「Droplet Digital PCR(ddPCR)」技術に強みを持っています。
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bioMérieux(バイオメリュー):感染症分野、特に病原体の同定や抗菌薬感受性試験で高い専門性を誇ります。
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Abbott(アボット):高処理能力と迅速な検査結果を提供する免疫測定装置などで知られています。
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Sysmex(シスメックス):日本の企業として、血液学や検査室の自動化分野で重要な存在です。
日本のIVD市場が向かう未来
日本のIVD市場は、単に検査件数が増えるだけでなく、1回の検査から得られる情報量と臨床的な価値が高まることで成長していくでしょう。
従来の「異常か正常か」を判定する検査から、病原体の薬剤感受性、がんの分子特性、薬剤反応性まで判断する精密診断へと進化することで、市場はより高付加価値化します。2035年に向けては「感染症診断」「分子診断」「がん早期診断」「AMR対策」「個別化医療」「ポイントオブケア」「在宅診断」「AI統合型検査」が主要なテーマとなり、日本のIVD市場は、中央検査室中心の検査から、病院、診療所、自宅をまたいでデータを取得・解析し、治療選択まで支援する分散型・精密診断市場へと発展していくと考えられます。
本レポートに関する詳細情報は、株式会社マーケットリサーチセンターのウェブサイトで確認できます。



